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武道たちは、情報の整理とこれからについてまとめる為、一度探偵社に帰った。
瑞薫(私は行く所があるので。また後で
それと、事件についてまとめた紙を渡しておきます。その紙を江戸川乱歩という方に預けてください。
瑞薫は異能特務課に帰った。遥雅透について調べる為に。
途端に懐かしい匂いがした。
瑞薫(自炊……するんですね
そこには咖喱があった。織田作さんが好きだと言っていた咖喱。もしかしたら
瑞薫(今日は織田作さんの…..命日…..だから
安吾(勘が鋭いですね
確かに今日が命日というのもありますが、最近は泊まり込みで仕事をしていたものですから。
瑞薫(久しぶりのご飯と……
織田作さん…….安吾さんとの初めての任務で会った人。
四年前、私は十六歳だった。織田作さんが育ててた子供たちと一緒に遊んだりして、楽しい、面白いと心から笑顔になれた時間。その後は、私が居ながらも子供たちを助け出す事が出来なかったことが悔しくて辛くて、織田作さんに申し訳なくて、私から笑顔が消えたこと。今でも鮮明に覚えている。
織田作さんが亡くなったと聞いた時泣いて良いよと声を掛け続けてくれて、赤く腫れた目元を優しく拭ってくれた安吾さん。
私はいろいろな人に支えられて生きていることを、改めて実感した日。
安吾(きっと彼も今頃はお墓参りに来ているでしょう。
瑞薫は、会いにいかないのですか?と聞きそうになったが、この状況を考えると会いに行けないのだろう。無謀な質問だ。
瑞薫(私も作るの手伝いますよ。
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瑞薫(……辛っ….水、水ください。
いやいや辛すぎるでしょ。しかも安吾さんめっちゃ余裕で食べてるし。
もしかして馬鹿舌?
安吾(今失礼なこと考えたでしょう?
なんで分かんの?
安吾(………辛いですよ。でも彼はもっと辛い咖喱を食べていました。…….懐かしいですね。
安吾は小さく笑った。
毎日張り詰めた顔をしている安吾さんの笑顔を見るのは、何時ぶりだろうか。
天人五衰がやっと終わった時は、嬉し涙を流しながら、綺麗な顔で笑っていた。でもなんとなく、その笑顔が偽物な気がした。
私がこんなにも人を信じられないのはどうしてだろうか。
愛を知らないから?自分で言うのも悲しいが、心が無いから?
嗚呼こんな事、考えるだけで反吐が出る。こんな事、もう忘れてしまおう。
安吾(……..何故泣いているのですか?
瑞薫(いや、安吾さんが笑ったなって
安吾(僕だって笑いますよ
やっぱり、貴方の笑顔は綺麗な偽物の笑顔だ。
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遥雅透。可哀想な少女である。
両親に捨てられ、宛もなく歩いていた所を偶然が重なり、佐野万次郎に助けられた。
でも喧嘩や犯罪を好まない透にとっては、梵天の皆を信じる価値など存在しない。
何で私を拾ったんだ。どうせ利用して、使えなくなったら棄てられる。
犯罪を犯してまで生きようともがくくらいなら、シンだ方がいい。
そんなことを思うくらいに、透も人を信じようとしない。
境遇は違えど、似たような人生を送って来たものは、思考回路も似る。
瑞薫と透はいい例と言えるだろう。
瑞薫(遥雅透。九月二十六日産まれ。
梵天の姫。
公になっている情報はこれだけか。
薄暗い部屋にタイピングの音が響く。
特務課での瑞薫は、所謂引きこもりだ。
だらしない部屋着に、ぼさぼさの髪。そして、眼鏡をかけている。
そう、とてつもなく引きこもりだ。
瑞薫(誕生日は記載されているのに、身長やその他もろもろの記載はされていない。
何故?
いい所を突いてきた。
誕生日というのは、直接聞きに行くのがとてつもなく難しい。
自分の意図が分かりやすいからだ。
警察でも内情を把握出来ていないのに、名前と立場、加えて誕生日。
態々教える必要のない誕生日を公にする理由は……。
瑞薫(誕生花……
九月二十六日の誕生花は蓮。
蓮の花言葉は
瑞薫(………「救済」………
遥雅透は救いを求めてる。
ご名答だ。
実際の誕生日は違う。でも偽ってまで伝えたかったこと。
本来の誕生日は六月二十一日。
誕生花はアスチルベ。
アスチルベの花言葉は「自由」
裏を返せば、私に自由をくださいと願っているようなものだ。
だがしかし、瑞薫は本来の誕生日を知らない。故に自由を叶えてあげることは難しいだろう。
でも、救済という言葉まで辿り着いたのなら、頭のいい瑞薫は楽勝だろう。
瑞薫(……救うべき人が、増えてしまったな..。
それは、悲しい笑顔だった。
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不愉快な着信音が探偵社内に鳴り響く。
皆は気付いた。それがいつもの音と違うことに。
つまり、犯罪組織からの電話ということに。
敦(…….出た方が良いでしょうか?
乱歩(嫌、出ない方が良い。
乱歩は気付いていた。その電話の出処について。
乱歩(……..無視が、今とるべき最善策だ。
乱歩はまるで、全てを知っているかのような物言いで、最善策を簡潔に話した。
乱歩(貰った紙に、学校に居た者から私たち、要するに瑞薫、敦、谷崎の記憶を消した、と書いてあった。つまり、探偵社に依頼をしたということを記憶から消去した。
そこから考えて、このタイミングでかかってくる電話というのは、梵天からの再依頼。
いま梵天は無限ループに嵌っている状況だ。
もしこの依頼を受けたとして、瑞薫の異能が無いから、梵天はこのループから抜け出せてしまう。そうすると、梵天側が有利になる。
この依頼という名の罠は無限ループにすることで成り立っている。
下手に行動を起こさない方がいい。
今は、瑞薫の立てた策戦に従おう。
意外だった。いつも自分が一番偉いという口振りで、自分に意見することを許さない人だと思っていた。
でも、そんなことは無かった。
先を見据えることが出来るからこそ、信ずるべき事と、そうでない事の区別がつくのだ。
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何度かけても出ない電話に苛立ちを隠せない、梵天幹部一同。
三途(…..チッ….んで出ねぇんだよ。
蘭(ねえ、もう探偵社に凸っちゃえばいいじゃん。
鶴蝶(こんなにかけても出ないってことは、出るなって教えてる奴がいるんじゃないか?
九井(要するに内通者か?
被害妄想の激しい方たちだ。
内通者なんかよりももっと小賢しいやり方で、梵天の作戦を邪魔している。
だがしかし、透の心は舞い上がっていた。
一度消されたはずの記憶が、ループという形で戻ってきたのだ。
助けを求める他ないだろう。
そう、透は生きる道を選び、天使を選んだ。
これから透は梵天にとって「裏切り者」の立場に降格する。
透(…………..この任務、私に一任させて下さい。
透の考えは実に単純だ。
この任務を自分の仕事にすれば、行動の範囲が広がる。つまり、潜入捜査をすると仮定した場合、簡単に助けを求められる。
また、盗聴器などで繋がれていることを仮定した時、それも作戦の一環として認められる。
単純だからこそ、勘づかれない作戦の完成だ。
マイキー(…..一任したい、理由は?
思いもよらぬ返答だ。
でも、人生はそう簡単に行くものでないと知っているから、先を見据えていたから、思いもよらぬ返答に対して、簡潔に自分の意見を述べられるのだ。
透(…………..首領に拾っていただく前、探偵社の人が、痩せこけた私の目の前を通ったんです。ですが、彼は私を救ってくれなかった。あからさまに死にかけていた私を、救ってくれなかった。
探偵とは、事件を解決しなお、人を助ける者だと思っていた私にとって、その行動は私に復讐心を芽生えさせました。
この任務は探偵社に復讐する絶好の機会。
お願いします。私に一任させて下さい。
勿論嘘だ。
探偵社が生き詰まっている人を見捨てる訳がない。
でも、中学、高校、ろくに勉強もせず、感情的であった彼らにとって、ポーカーフェイスの上手い透の心(嘘)を読むのは難しい。
故に…….
マイキー(…………俺は構わない。あとは他の奴らがどう思うかだ。
このような甘い決断をしてしまう。
ここで一つ、言っておかなければならないことがある。
姫という立場は、首領の次に偉い。
要するに、透が目で圧を送れば首領以外は皆、透に平伏す。
皆は首領に同意する他ないのだ。
それを踏まえてこの状況を分析すると……….
読者の方も分かるであろう。
姫が深々と懇願し、首領がそれを許した。
幹部たちの心が今、一つになった。
三途(….俺らは構いません。首領に同意します。
透は心の中で、不敵な笑みを浮かべながら、予定通り、と思うのであった。
主(初めて3000字も書いた。
※天人五衰の話は私の妄想なので、原作とは全く関係ありません。
𝕟𝕖𝕩𝕥➯➱➩「road to the past」
♡ちょうだい✧︎ ( o̴̶̷ o̴̶̷ ) ✧︎