「さとみくん。」
声が掠れる。
彼までもが休止してしまったらグループは、会社は、俺が引っ張っていけるのだろうか。
今までは彼が最年長として、最古の仲として、ささやかだけど大きく支えとなってくれた。
俺がやらかしても笑い飛ばしてくれた。
そんな彼が休止なんて。
「りいぬ。」
「、なんで、、むりだよおれ、さとみくんがいなくちゃ、」
メンバーに話す一足先に休止の事実を告げられたみたいだ。
急にそんな事を言われても、沢山の不安が心を巡る。
涙でぐしゃぐしゃになった俺をさとみくんの大きくな身体が優しく、強く抱きしめる。
「できないよっ、おれむりだって、どうするのまた4人になっちゃうよ」
「まだ、上手くまとめられないしっ、なあくんもいないんだからね 、」
さとみくんの腕に抱かれながら次々と弱音を並べる。泣きすぎて声は上がるし上手く話せないし。
そんな俺を前にしてさとみくんは
「うん、ごめんな莉犬、ごめんほんと」
声を震わせながら謝り続ける。
泣いているのだろうか、笑っているのだろうか、どっちとも取れる声色で謝る。
「ね、笑ってるの、、」
若干怒りを含ませた声で聞いてみる。
「んふ、ごめんね莉犬」
「泣いてたはずなんだけど涙ボロボロで弱音マシンになってるりいぬがなんか可愛くて、笑」
「。。。」
「はあ!?」
「はあーーーー。ほんとに!ほんとに辛いんだからなおれ。」
「誰のせいで泣いてるの思ってんだよ、、」
こんな時でもいつもの調子の彼には俺でも気が狂いそうなる。
でも、なんだかおかしくて、
『ぷっ』
『あははっ!』
笑みが溢れる。
「あーーーしんど、笑い過ぎた。」
俺が笑い涙を拭っていると、ふと肩の重みを感じる。
泣いている。
さとみくんが俺の肩に顔を埋めて泣いている。
「どーしたのよ、」
慌てて抱き締め返して問う。
「ごめんね莉犬、ごめんな、、、」
えらく鼻声で話し出すさとみくん。
「俺知ってるよ。莉犬が毎日遅くまで会社残って作業してること、こんなちっせえ体で何十人もいるメンバーを引っ張ろうってがんばってんのも、ワンマン頑張ろう、夏頑張ろうって、毎日必死なのも」
「ぜーんぶ知ってる、分かってる。」
「だからこそ、苦しい。すとぷりを、莉犬を、ころんを、るぅとを、ジェルを、」
「置き去りにしてしまうこと、本当に申し訳ない。」
「お前に沢山背負わせちゃうな、りいぬ。」
ごめん、ごめんと俺の事をぎゅっともっと強く抱きしめる。
頬を伝っていく涙のせいで何も話せない。
出来ることは、ただ、たださとみくんの身体をいっぱいに抱きしめること。
ここが俺の家で良かったとつくづく思う。
なぜならこんな情けない俺達を咎める人は誰もいないから。
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