「久地先生、そろそろ行きませんか?」
とうとう、レストランに行く約束の時間になってしまった。あぁ、緊張する……。
「あ…!行きましょう!」
久地先生が荷物をまとめる。
その動作一つ一つが、美しい。
「どこのレストラン行きます?」
「あ…、」久地先生とレストラン行くのが楽しみすぎて、考えてなかった…。
「考えてなかったです…」
「ですよねー…僕も松村先生とデート…、。いやっ!!松村先生とレストラン行くのが楽しみすぎて考えてなかったです…」
え??今、何て?僕とレストラン行くのが楽しみすぎて…?
僕の顔が赤面していく。
「もう、いっそのこと居酒屋行っちゃいます?」
え??久地先生の酔った顔…見たい…
「え、一応先生なのに??まぁ、確かに居酒屋いいかもしれませんねー!行きましょう!」
「でもこのあたりには居酒屋無いですよね…
タクシー、呼びます?」
「はい!」
「とりあえず校門出ましょう!」
僕は久地先生と校門を出て、タクシーをつかまえた。
タクシーの中で流れる絶妙な空気…。
まずい、何か話さなくては…
「あの、今は学校ではないんですし、タメ口で話しません?その、年もあんまり離れてないんですし…」
久地先生がタメ口で話さないかと誘ってくれた!
もちろん答えはyes!!
「あ、はい!じゃあ、タメ口で話す……ね?」
「うん!そのほうが松村先生って感じ!」
タメ口に切り替えたおかげか、会話がはずんだ。
時間がそのまま止まってほしかった。
このまま、この時間が一生続けばいいのに…。
「お客様、着きましたよ。料金は1500円です。」
「あ、はい!カードでお願いします!」
久地先生がサッとカードを出した。
「え、ちょ……」
「松村先生、俺が払うよ」
「え、じゃあ後でお金渡しますね?」
「いいから、いいからー」
久地先生はカードでスマートに払った。
なんて……かっこいいんだろう。
心臓の動悸が早まった。
このまま一生、久地先生を見ていたかった。
(第三話へ続く)