テラーノベル

テラーノベル

テレビCM放送中!!
テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

ジェシーが襲撃に合ってから、十日後。無事、お茶会が開かれた。


開催前、主催者であるミゼルに、襲撃されたことを話した。すると、


「お茶会を中止しましょう!」


迷うことなく、そう言い放たれてしまった。


一応、ジェシーの置かれた状況を把握してもらった方が、ホストであるミゼルにとって良いだろう、と判断したのだ。

もしお茶会で何かあった場合のことを考えると、後々説明するよりも、遥かに対処し易いだろうと思ったからだ。


何故なら会場が、当初予定されていたケニーズ伯爵邸ではできなくなってしまったからだ。

最初に予定した人数よりも、招待客が定員を越えてしまったため、王城の一角を使用することになったのだ。


「王城には、ジェシー様を狙った者がいるんですよ。そんな危険な場所に、ジェシー様をお連れすることはできません!」

「大丈夫よ。向こうのテリトリー内と言っても、こっちには警備を厳重にできるロニがいるのだから。それに招待客が多い場だと、王に容姿が似ている彼には、不利な状況だと思うの」

「しかし、直接ではなくとも、やりようがあることを、ジェシー様はご存知ではないですか」


確かにミゼルの言う通り、人目など関係なく、暗殺が遂行された事例は数多くある。しかも、招待客の中には、シモンたちランベールの側近がいた。


「そこは貴女たちの腕の見せ所じゃない?」


まぁ、そのためにミゼルたちを差し向けたわけじゃないのだけれどね、とジェシーは内心思った。が、ミゼルは別の受け取り方をしたようだ。突然、顔を赤くした。


「わ、分かりました。シモンによく言っておきます」

「何かあったの?」


明らかに様子が可笑しかった。


「実は、その……。来月、婚約することになりまして」

「シモンと?」


他に誰がいるのか、といった質問だったが、ミゼルは気にしていない様子だった。そればかりか、恥ずかしそうに俯き、頷くだけで精一杯のように見えた。


「申し訳ありません。ジェシー様を差し置いて、先に婚約など」

「おめでたい話に先も後もないわ。それに私がミゼルに言ったのよ。シモンを探って欲しいって」


なるほど、それでこんないっぱいいっぱいの様子なのね。気にしなくても良いのに。

気にしないといけないのは、むしろミゼルではなく、ロニの方よ。あれから『大事な話』はないんだから。


「ありがとうございます。実を言うと、私一人ではシモンから情報を、なかなか引き出せなかったんです。ヘザー嬢の助けがなかったら、ジェシー様に顔向けできないくらいに。それなのに、どういうわけか、その……そういう関係になってしまいまして……」


これは、私に責任があるわね。ヘザーへの頼み事の一つに、コリンヌとミゼルのサポートを挙げていたから。

ただ、元々二人をくっつけたかったみたいだから、頑張ったのね、と褒めるべきなのかしら? これは。


「いいのよ。ヘザーにはそう言っておいたのだから。それと一応聞くけど、ミゼルは後悔していないのよね。婚約に承諾したということは」

「勿論です」

「それが聞けて良かったわ。だけど、事が済んでいない以上、相手がシモンであっても気をつけてね。身の安全もそうだけど、こちらの情報もあまり与えないように」


そう、ミイラ取りがミイラになるな、ということをジェシーは言っているのである。

コリンヌの場合は、自らの世間体の改善と立場を考えると、ジェシーへの依存度が高くなるため、可能性は低かった。


しかしミゼルは、幼なじみが相手だ。ジェシーも人のことが言えない立場故に、心配だった。


「大丈夫です。最近、ヘザー嬢に会う度に言われていますので」

「……さすがね」


己の欲望に直結していると思うと、頑張れるものだから。ただ、変な方に行かないと良いけれど。


巻き込まれた公爵令嬢は回帰前の生活に戻りたい!~犯人を捜していたら、恋のキューピットをしていた~

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

11

loading
チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚