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大介 side
翔太💙『ンッ…』
こんなんだから康二にやられるんだよ…あれは絶対ヤッただろう。
翔太も亮平も幸せボケしてるのか、すんなり康二の言う事を間に受けたみたいだけど…
まぁ2人がそう思いたいのは理解できるし、今更穿り返す必要もないだろう。
熱のせいで目は潤んで息は荒く、頰をピンク色に染めた可愛い翔太を見れば理性なんてものはどっかへ行っちまう。
辛うじて残っているは〝嫌われたくない〟ただそれだけ。
キスした感じだとさほど嫌がってはなさそうだ。むしろ気持ち良さそうにしている。
舌を挿し込めば、熱くなった口内に蠢く俺の舌が気持ちいいのか、探すように追いかけてきて舌を交じ合わせると、俺のシャツを掴んだ翔太は力なくそのまま気を失った。
大介🩷『マジで世話の焼けるヤツ』
そのまま抱き抱えてタクシーに乗り込むと病院へ向かった。点滴を終えて亮平のマンションに向かう。タクシーの車内で翔太は俺の膝の上に頭を預けて身体を団子虫のように縮こまらせて寝転んでいる。
翔太💙『ごめんね』
大介🩷『お礼は焼肉でいいぞ』
翔太💙『ふふ…了解…あのさぁ…言い辛い事言っていい?』
翔太はまだ熱が下がらず耳まで真っ赤だ。〝何?〟頭を撫でると気持ち良さそうに目を細めている。
〝鍵…持ってない〟
大介🩷『はぁ?また無くしたのか?』
どこまで手が掛かるんだ。〝ごめんなさい…家に置いてきちゃった。亮平と一緒に帰れると思って〟
これを天然と言うのか、注意力の欠如なのか…とにかくぼーっと生きてる事だけは確かだな。
亮平に電話をするがまだ仕事中のようだ。時間を見ると亮平の仕事が終わるまでにはまだ2時間以上ある。
大介🩷『亮平には連絡入れとくから、取り敢えず迎えが来るまで俺の家な』
翔太💙『すみません』
何度も謝る翔太に少し言葉がキツかったかなと反省をする。足も結構重症のようで簡易的だが固定されてしまった。俺も身体が大きい方じゃない。正直翔太を抱えるのは体力がいる。
マンションに着き支えながら部屋までのエレベーターを上がっていく。通い慣れた俺の家を今どんな気持ちで翔太は向かっているだろうか。きっと嫌な思い出しかない…
中に入るとソファーに横にする。〝お粥でいいよな?〟翔太は〝辱い〟などとふざけた事を言っている。ほんの少し前まで翔太の気持ちを心配したのを後悔する。
久しぶりの翔太にツナ、シャチがソファーの周りを尻尾を立てて彷徨いている。時折翔太の顔にシャチが長い尻尾を当てては意地悪をしている。
翔太💙『躾がなっとらんぞ』
大介🩷『ほらよ…これ食って薬飲んで寝ろ』
翔太💙『やっぱり食べたくない…食欲ない…喉痛い…頭も痛ぃ…足も痛いよ』
大介🩷『ツナシャチより手が掛かる…』
ソファーに沈む翔太を起こそうと抱き上げると身体中がバカ熱い。
亮平にメッセージを残して身体を冷やすものを頼んだ。取り敢えずタオルを氷水で濡らし頭に乗せた。
大介🩷『少しでいいから食べな。ほら口開けて』
翔太💙『ヤダ…亮平に食べさせてもらう』
あぁもう我慢の限界かも…
翔太💙『ンッ…んんん!』
唇を重ねるとさっきより随分と熱が上がっているのが分かる。さっきと違って抵抗している。弱々しいけど俺の胸を押している。体力がなく、すぐに力なく腕を下ろすと〝ごめんなさい…〟と言った翔太は苦しそうに涙を流した。
大介🩷『何で〝ごめん〟なの?』
翔太はそのまま静かに目を瞑っている。〝亮平が…かなしむ〟俺は翔太の頭をクシャクシャッとすると〝頭いたい〟と返ってきて〝悪かった〟と言うと俺のシャツをギュッと握った。
翔太💙『ごめんなさい…これだけゆるして』
〝ごめんなさい〟亮平に投げかけている言葉が、アイツの居ないリビングに響いた。
俺は数回翔太のおでこを冷やし、首筋に光る汗を拭った。スヤスヤ眠る翔太を他所に、握られたままのシャツで身動きが取れない俺はソファーに寝転ぶ翔太にずっと寄り添った。
大介🩷『お前ずるいヤツだな…亮平の影チラつかせるなよ…』
亮平 side
顔色が悪いのは具合が悪かったのか…体調が悪い事にも捻挫した事にも気づかなかったなんて、彼氏失格じゃないか。それに翔太に何も言わずに次の仕事に行くなんて、きっと不安だったに違いない。
佐久間からの連絡に気づいたのは22時を回ったところだった。ドラッグストアで買い物を済ませてタクシーに乗り込んだ。佐久間は定期的に連絡をくれて、熱は上昇する一方で、食事もしないから薬も飲ませられないとの事だった。
佐久間のマンションに着きインターホンを押す人差し指が震えた。付き合っていた頃に足繁く通ったこの場所は俺にとっては幸せな場所だった。
翔太はどんな気持ちでこのインターホンを鳴らしていたのだろう。そんな事を考えたら、今一緒に居てあげられない事がすごく悔やまれた。
大介🩷『おぅ入れよ』
時が戻ったかのように、昔と変わらない返事が返ってくる。行き慣れたその階へ辿り着く。部屋の前でもう一度インターホンを押し中へ入る。
ソファーに寝かせられた翔太は寝ているものの息は苦しそうだ。佐久間のシャツを掴んでいる。
亮平💚『何で上裸なんだよ?』
大介🩷『ご覧の通り離してくれなくてね。脱いだのよ。キス以外してねぇよ』
亮平💚『はぁ?キス許したつもりないけど』
大介🩷『許可取るつもりないけど』
どいつもこいつも何なんだよ。〝勝手に人のモノに手を出すなよ〟介抱してくれた人に失礼なのは承知の上だ。嫌なものは嫌だ。
大介🩷『ふっ迷惑料だよ。キス2回分で我慢したんだ。足りないくらいだよ』
2回だって…あぁ頭痛くなってきた。何でこうも振り回されるんだ。〝いちいち言うなよそんなに俺を怒らせたいのかよ〟佐久間を睨みつけるとらしくない答えが返ってきた・・・最後は余計だ💢
大介🩷『翔太がまた悩むだろ…お前に言えない事されたら。セックスしたらちゃんと報告するよ亮平くん』
翔太💙『ンッ…』
殴るより先に翔太が起き上がった。
亮平💚『翔太!翔太大丈夫?』
〝亮平さん…おかえり…ごめんなさい〟抱きしめると体は熱く汗を掻いていてシャツが湿っぽい。
〝帰ろう翔太立てる?〟とても立ち上がれる状態じゃない事は明白だった。ここに居たくないただそれだけで無理に翔太を動かそうとしている。
大介🩷『今日は2人とも泊まっていけ。嫌なら俺はどっかホテルにでも泊まるから』
亮平💚『いい人演じるのやめなさいよ…ごめん…お言葉に甘えて今晩泊まらせてください…』
佐久間は温め直したお粥を差し出すと〝お前じゃなきゃ食わねえって。借りてきた猫じゃあるまいし〟そう言って風呂場へと向かって歩いて行く佐久間の背中に〝ありがとう〟を言うと〝素直じゃないね亮平くんは〟手をひらひらと振ってニヤリと笑った。
翔太に向き直り身体を起こすと〝翔太お粥さん食べようか?お口開けて〟小さな口を弱々しく開けると少しずつ食べた。両手で俺のシャツを掴んでいる。
翔太💙『ごめんね。心配ばっかりかけてる…情けない』
亮平💚『ホント大変。休む間もない』
翔太💙『ごめんなしゃいううっう゛』
亮平💚『あらら泣かないの。ごめん今のは意地悪。俺じゃなきゃ食べないなんて甘えん坊さんだね?俺の前以外でも可愛くなっちゃダメでしょ?』
お粥は半分ほど残して、ゼリーを食べさせ薬を飲ませた。客間に翔太を寝かせるとリビングに戻る。
佐久間は風呂上がりのパンイチ姿で現れた〝何か着なさいよ〟顔を背けて言うと〝ココ俺ん家な!〟ごもっともだがイライラする。
佐久間は新しい下着を2組とシャツ2枚を渡してきた。〝翔太汗かいてるから着替えさせろ〟
すいませんと頭を下げて受け取ると〝お風呂借りても?〟と言うと〝あちらになります…あぁ知ってたっけ〟ニヤつく顔にさらにイライラした。
お風呂から上がり翔太を着替えさせようと寝室に入ると、そこにはすでに着替え終わった翔太が寝ていた。
亮平💚『あれ?』
大介🩷『あぁ気持ち悪そうだったから、丁寧に拭いてあげましたよ。亮平忙しそうだったから』
亮平💚『嘘…何してんのよ💢まさか…』
大介🩷『やだぁもちろん全身隈なく拭きました』
布団を剥がすとシャツとパンイチ姿の翔太。真新しいパンツを着ている。頭を抱える俺を見て楽しそうな佐久間は〝爪が甘いよ亮平だから翔太が傷付く〟
寝室の扉をバタンと閉めた。仲良く慣れそうにない。
大介🩷『亮平、飯まだだろ?お前まで倒れたら誰が翔太診るんだ?あっ俺かぁ〜』
亮平💚『おい調子に乗るなよ💢早く飯だせ』
大介🩷『手の掛かるカップルだね?』
2人分の出前が用意されていて、意地悪な言葉の割に見え隠れする優しさが返って俺を苦しめた。いつかまた翔太が好きになるんじゃないかって・・・
亮平💚『ご馳走さま。本当に今日はありがとう。それに先日の康二の件も、翔太を助けてくれてありがとう。感謝してもしきれません』
大介🩷『その割に今日の態度は頂けないねぇ。まぁ翔太の裸見れたしいっか』
亮平💚『最後まで嫌な奴で良かった』
〝言うねぇ〟少し悲しい表情した佐久間は〝先に寝るよ…うちでヤルなよ?〟いちいち一言余計なんだよ。寂しそうに1人で寝室へ向かう佐久間を見送った。
翔太の部屋を覗くと規則的な呼吸音を響かせて眠っている。ベランダに出て涼んだ。よくここで、街の灯りが消えていくのを眺めてた。
大介🩷『相変わらず好きなの?夜空見んのが』
〝起きてたのかよ…〟佐久間は俺にビールを差し出してきた。〝一杯付き合えよ〟2人ベランダで並んで飲んだ。懐かしさもある…苦手なビールを佐久間に合わせて背伸びして飲んでた事は未だに知らない。ベランダで俺が星空じゃなくて街の灯りを見ていた事も佐久間は知らない…その程度の恋だったんだ。
大介🩷『少しは好きになった?ビール』
亮平💚『えっ?』
大介🩷『街の明かりも季節によって時間帯違うんだよな〜消えてくの』
言わなくても分かる。それくらいの年月を共に過ごし愛し合った。忙しくすれ違う中に生じた軋轢がいつの間にか大きくなって別れたはずだった。いつだって俺は視野が狭く、自分善がりだった。
どうしてかは分からない。自然と流れた涙は頰を伝ってベランダに落ち、優しく拭う佐久間の手を取るとどちらからともなくキスをした。
翔太💙『何してるの…嘘…だよね?』
コメント
4件
康二くん!!! 朗報です🧡 チャンスきたーーーーーー🫣💦💦