コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「あれ、先生いないんだっけ」
保健室についても、といつもの馴染みの先生がいなかった。
保健室の先生は優しくて、頭痛いから帰りたいですって言っただけですぐに帰らせてくれるから好きなんだけど、今日いないと困る。 憂鬱で授業受ける気分にならないから帰らせてもらおうと思ったのに、こんな時に限って先生は出張に行っているみたいだった。
(じゃあベットで休んでよっと!)
そう思ってカーテンを開けると、見覚えのある髪型の女子が寝っ転がっている。
寝顔でも少しも不細工に写らない整った顔立ち。それに似合う少しピンクが混じったような銀色の髪。
「…ことね?」
ことねはそんな私の声に反応したかのように下がっていた瞼を開けた。普段は嬉しくなるところだったけれど、それはさっきまで私を悩ませていた種で。無意識に足が後ろに向かったところで、私はことねが少し赤い顔をしていることに気がついた。
「もしかして…熱?」
私がそう言うと、ことねは困ったように笑う。
「…やっぱり、朱璃にはバレちゃったか」
「〜っ、ことねのバカ!熱だしたなら言ってよね!!」
ああ、ことねは昔からこうなのだ。体育祭の前にはいつも決まって熱出すし、体育の授業もいつだって見学してる。…まぁ、その分真剣にやっているから、あのラブレター渡してきた男子みたいに惚れる人がいるんだろうけど。
とにかく、ことねはいつも鈍くさいのだ。だから、私がいつもことねの面倒を見ていた。
「ほら、水持ってきたから飲んで。飲めそう?」
そう言うと、ことねは素直に頷いて私が差し出したコップを受け取りながら、申し訳なさそうに下を見つめる。
「朱璃ちゃんには、いつもお世話になっちゃってるね」
「何言ってんの。お互い様でしょ」
私がそう言うと、ことねはまた困ったように笑って私を見つめた。
「…うんん、私は何も返せてないんだ。それに…、今日体調悪そうにしてたら、ローレンくんに保健室まで送ってもらっちゃったし。」
「!」
ローレンと言う言葉に反応したのか、ことねからローレンの話題が出たことに驚いたのか、私は目を見開いた。
(ローレン、ことねと付き合ったわけじゃないのか。…よかった。)
ホッとしてそんなことを考える。
でも、そんなことを思う私に何だか嫌気がさしてことねに向かって、「何かあったら私に頼ってね」とだけ言って笑った。
♡100