雨空 雨空 雨空
自分がなんだか分からなくなって
空っぽの色を付けたくて
「その色おくれよ」
目の前の黒猫に手を伸ばした
ーーにゃあ
可愛らしい猫は 手に触れてはくれなかった
パチンッ
弾ける音
飛んできた光の粒が眩しくて目を瞑る
パァッ
瞼越しに光るそれは、色鮮やかで
「こんな所、もういたくないよ、」
静かにしゃがんだ
薄らと目を開くと
キラキラと個性をもって、色彩を纏った
美しい人達がいたんだって。
【初めまして!】
君は最初の色をくれた。
暖かい、薄紫色だった。
何時しか自分は君が大好きになって、
「ーーーーーーーーーーーー」
<笑顔が似合うなぁ>
次の色は
濁りのない、しろ色だった
静かで大人っぽくて、格好いい
大好きな尊敬している人だった
〈こんにちはっ〉
次に色をくれたのは
元気な、黄色だった。
可愛くて、可愛くて、仕方がない
大好きな親友だった
『あのっ!友達になってくれへん?!』
次に飛んできたのは青色
いや、水色だろうか。
頼れる、大好きな人だった。
[あ、あの!]
最後は赤色だった。
元気そうで、沢山の闇を抱えていて。
「大丈夫だよ」ニコッ
空っぽな自分は、君の頭を撫でた
自分はまだ入るから
君の闇を奪い取ってしまいたかった。
依存癖があろうが、自分にはどうでもよかった
なんにしろ、空っぽだったから。
依存されても、君に触れる事は出来なかった。
……でも
みんなは、色をくれたから
心は彩りで満たされて行った。
【ごめんね、もう一緒にいられないや】
パリンッ
溜まった色が、全て漏れ出た気がした
「なんで、っ」
手を伸ばしても、君は色をくれなかった
いや、くれなかったんじゃない
【……】スゥ
君にはもう、色がなかったんだ
「い、色をあげるから、」
あげるからお願い、どこにもいかないで。
そんな声は届くはずがない
最後に、君は笑った
【出会ってくれてありがとう】
【また会おうね!】
最後に、沢山の色を、色を、色を
残った、ありったけの愛をくれた
「っ、」ポロポロ
「うぁあぁあぁあぁっ、」
なんでそこまで優しいんだ
絶対君をまた、見つけるから、
雨空は何時しか快晴に……は ならないが
割れた心のガラスには
君色の絆創膏が貼られて
<大丈夫、?!>
[いっぱい、あげるからね]
『いなくなんないで!』
助けてくれた嬉しさと、
求められた幸せと。
【…もう、大丈夫だね】ニコッ
なんて呟く君を
追いかけられない苦しさと。
「もう少し、ここにいてみるね」
隣で寝転ぶ白い戌をぎゅっと抱き寄せた
コメント
5件
なんか前までの君に似ている主人公だね
おぉ!今回のも凄い、 最後の白い戌ってあまねさんのファンネ?