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「キャプテン、氷のないポイントに着きました!」
「浮上しろ」
浮上したところで、俺の耳に複数の爆発音が聞こえてきた。俺は狐の面をつけ、息をのんだ。
「俺も行く」
「……髪も隠しておけ」
ローの言葉に頷き、俺はフードを被った。
ポーラータング号のドアを開け、甲板に出る。
「麦わら屋をこっちへ乗せろ!」
「あ? ムギワラヤ? 珍妙奇天烈な呼び方しやがって…てめえ誰だ? 小僧!」
「麦わら屋とはいずれは敵だが、悪縁も縁。こんなところで死なれてもつまらねえ。そいつをここから逃がす! いったんおれに預けろ!」
「なに!?」
「俺は、医者だ!」
「ふざけてんのか? コラ! 刀持った医者がどこにいる? 潜水艦に乗って往診にでも来たってのか~?」
そう俺たちに言うのはバギー。バギーはルフィとジンベエを抱えていた。俺は自分の手が震える。
「お願いだから預けてくれ! 頼むよ!!」
俺の声は情けないほどに掠れていた。だけど、ここで言わないとルフィまで死んでしまうかもしれない。それだけは何としても避けたかった。
「グズグズするな、早く渡せ!」
「だ~からどこの馬の骨だってんだよ!?」
バギーが宙に浮いたまま、俺たちに叫ぶ。
「キャプテン! 軍艦が沖から回り込んできた!」
「急げ! 2人ともこっちに乗せろ!」
海軍の大砲が俺たちの乗るポーラータング号に向けられ、砲弾が放たれるのだが、突然海が揺れ、ポーラータング号には当たらなかった。だと祖いても海が波打ち、津波のようにうねり、普通ならばあり得ない動きをするのは砲弾よりも危険だと言えよう。
「道化のバギー! はやく2人をこっちによこせ!! お前だってそこで浮いてるだけじゃ逃げ遅れるぞ!!」
俺がそう叫んだ瞬間、光が走る。ボルサリーノさんの能力がバギーを掠めたのだ。
「ボルサリーノさん…ッ」
「早くこっへに乗せろ!」
「よし任したぞ馬の骨ども! せいぜい頑張りやがれ!」
その言葉と共に、2人が降ってくる。ジャンバールが2人を受け止める。
「海へ潜るぞ!」
「ボルサリーノさんの能力が来る、早く全員船に乗れ!!」
光が今にも俺たちの元へ届こうとした時、誰かの悲鳴とも呼べる叫び声が響いた。
「そこまでだ~!!」
全員の視線が叫び声の主、若い海兵、コビーに向く。
「もうやめましょうよ!!! もうこれ以上戦うの!!! やめましょうよ!!! 命がも゛ったいだいっ!!!」
涙でぐちゃぐちゃになりながら、コビーはそう言った。
「早くルフィを中に運べ!」
「急いで中へ!」
「アイアイ!」
ルフィが運ばれていくのを見ながら、俺は唇を噛んだ。血の味が口の中に広がっていく。
「出航!」
ポーラータング号が動き始める。
「オペの準備を! 2人とも、出血の量が多すぎる!」
「輸血の用意を!」
手術室では慌ただしい空気が流れる。
「キャプテン! やばいよ! 四皇珍しいけど、早く扉閉めて! キャプテン! ジェイデンも!」
ベポがローと俺に呼びかけるが、ローは動かない。もう少し、バギーがルフィの麦わら帽子を持ってくるはずなんだ。
「早く先行しないと攻撃されちゃうよ! お願いだから扉閉めて~!」
「あぁ、行くぞジェディ」
「…待って」
「もう待てない!!!」
バギーが俺たちの方に何か、麦わら帽子を投げる。ベポが俺の腕を掴もうとしていたのだが、俺はそれを軽く振り払ってその麦わら帽子を受け止めた。
「取った! 扉閉めよう!」
「これを待ってたのか」
「そうだ。これはルフィの宝物だから。俺は操縦室の方にいる」
俺はそう言って、操縦室のドアを開けた。
操縦室にジャンバール、ハクガンと共にいたのだが、船が大きく揺れ、船内に警告音が鳴り響く。
「氷が迫ってきている。急速潜航する!」
氷から逃げるように、ポーラータング号は海の深くへと進んでいく。
「振り切ったか…」
「まだ安心するな! 次はボルサリーノさんの能力が来ると思う! もっと深い海底へ!!」
俺の言葉通り、ボルサリーノさんの能力で放たれた光の弾がポーラータング号を襲う。だがしばらくして攻撃は闇、俺たちは危機を脱することができた。