亮平 side
失恋すると分かっていて、デートする事が
嬉しいのか・・・と問われたら、迷いなく俺は
〝嬉しい〟と答えるだろう。
最初で最後のデート、思い切り楽しみたい。
蓮がメンバーに加入したあの日、俺の人生に色が付いた。
人と違う事で随分と悩んだけど、その辛さも〝この人に出会う為〟だったんだと思うと、どうでもいいことのように思えた。
蓮が翔太を好きだと気付いたあの日までは・・・
このひと月の俺は情緒不安定で、翔太には本当に酷い事をしてしまった。
そんな自分が嫌いだし、どんどん蓮が翔太を好きになっていくのが手に取るように分かって辛かった。
そんな日々も、今日終わりを迎える。
翔太は優しい。分け隔てなく。意地悪をした俺にだって・・・
蓮 🖤 『ごめん阿部ちゃん待った?』
ちょっと待ってよ!〝ベレー帽〟で来るとか聞いてない。あぁ可愛いし・・・カッコいい・・・
亮平💚 『大丈夫俺も今着いたとこ』
蓮はどんな時だって、取り乱さず優しく、紳士的で男らしい。そんな蓮が翔太のことを好きになるなんてずっと不思議だった。
今日は役者モードなのだろう。卒なく彼氏役を努めている。
蓮 🖤 『阿部ちゃん何に・・・』
亮平💚 『今日だけ亮平って呼んでもらっても?』
蓮 🖤 『分かった・・・亮平は何に乗りたい?』
最初で最後のデートなんだ。盛大に我儘を聞いてもらおう。
蓮と並んで歩くとお土産品店のガラス戸に二人写っている。夢見た景色がそこにあって泣きそうになった。
お昼になり、レストランで食事を摂る。
亮平💚 『蓮、聞いてもいい?』
蓮 🖤 『んっ?何』
亮平💚 『翔太のどこが好きなの?』
蓮 🖤 『先に俺からの質問に答えてくれたら答えてあげてもいいけど?』
亮平💚 『何』
蓮 🖤 『俺のどこが好きなの?』
何これ・・・公開尋問?翔太にした事への報復?
蓮 🖤 『はは、そんな難しい顔しないでよ!因みに翔太くんは俺のこと優しくて、カッコいい・・・』
亮平💚 『あぁもう!やってらんない!二人して俺の前で惚気ないで!』
蓮 🖤 『ごめん亮平そんなつもりはなくて・・・ごめん』
亮平💚 『・・・蓮、言葉で言うのは難しい・・沢山あり過ぎて。気付いたら好きだった。ずっとずっと好きだった』
蓮 🖤 『ありがとう。俺が翔太くんを好きな理由も同じ。気付いたら好きだった。男を好きになるの初めてで、随分と悩んだ』
亮平💚 『翔太から告白したって聞いた』
蓮 🖤 『あぁ・・・不甲斐ないけど・・・いきなり好きだ!ってね。ふふッ。俺たちが何年も思いを伝えられなくて苦しんだっていうのに、翔太くんはたった数日で、男だとか女だとか、ガン無視で俺に〝好き〟をぶつけてきたんだよ』
亮平💚 『はぁ、、、勝ち目ない訳だ』
蓮 🖤 『ごめんね、俺の彼女、破天荒なんだ・・・』
蓮 side
阿部ちゃんの気持ち・・・痛いほどわかる。俺は初めて好きになった同性は翔太くんだったけど、阿部ちゃんはこれまでに色々と辛い思いをしてきたみたいだ。〝普通と違う〟事がどんなに辛くて苦しいか、他の誰よりも理解できると思う。
理解と好意は別物だ。阿部ちゃんの事、好きになる事が出来ていればこんな〝平和〟なことはないだろうと思う。
蓮 🖤 『翔太くんは、全ての常識を超えてくるんだ。俺らが雁字搦めになって躊躇してしまうような事でも・・・』
亮平💚 『無知・・・・ってだけじゃないの?』
蓮 🖤 『うん・・・そうだとしても、愛おしいんだ・・・』
亮平 side
思いの外、清々しい気持ちで帰路に着く。涙が流れるのは、ただの生理現象だ。
悲しいとか、悔しいとか、辛いとかそういう感情ではない。
どちらかと言うと切なくて・・・でも嬉しい。
長い片想いに終止符を打った。
こんな清々しい気持ちになれたのはアイツのお陰。
亮平💚 『ほんと・・・翔太には敵わない』
普段はかっこいいのにどこか抜けてて放っておけない・・・
亮平💚 『俺に感じてる時の翔太は可愛いかった・・』
蓮に会って、改めて気付いた。自分の中で少しずつ芽生えていた・・・
新たな恋の火種が灯った・・・
手に入らないと分かっていても好きになってしまうのは自分の性分なのかも知れない。
難攻不落の山こそ踏破したくなるのが人の心だ。
コメント
2件
え、しょっぴー💙のこと好きになっちゃった??? 最高😆