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〈smile side〉
きりやんがカミングアウトしてくれたことは信じ難くて、いまだに理解が追いついていなかった。
それに会話の内容的に俺が眠っていた時間にみんなには少し話を進めていたらしく、俺の知識は欠けたものとなっていた。
kr 「新しい噂どうしようか」
机を一つ挟んで向かい合わせになる。
メガネの隙間から見えるその瞳を覗いた。
kr 「なんか案ある?スマイル」
sm 「あぇ、、 」
目が合うだけで調子が狂う。彼の話す言葉がすんなりと入ってこないし、何よりもなんだか胸が熱い。
kr 「ぼーっとしてないで考えるよ。それとも体調悪い?熱ある?」
彼がそういうと視界がぼやけて高い鼻がぶつかる。おでこを重ね合わせてきた。
sm 「っ、!?」
ガタッ
sm 「びっくりした、熱なんてないよ」
kr 「でも顔暑いし赤いよ?」
sm 「いや、これはっ、、なんでもない。」
kr 「ほんとかー?無理すんなよ」
心臓が大きく動いて思わず席を立った。
でもまたこうしてお前は俺を子供扱いする。嫌なわけではないが、弟感が否めなくて悔しさが混じる。
そういえば、あの時がいちばんきりやんが兄のように感じたな。あの時のことを掘り返してもいいのだろうか
sm 「きりやんさ、前みたいに祓うところは見せてくれないの?」
口に出してからすぐ、この質問がするべきでなかったことを空気から味わった。
あー、と濁すように視線を外しながら漏らすその単的な音が全てを表していたと思う
kr 「あれは本当は人様の前では使っちゃダメなんだ。だからみんながいる時はやらないかな」
それでも嘘をつかないあたり本当に彼は誠実で綺麗だ。
sm 「そう」
それだけ呟いて新しい噂を考えることに集中した。
〈kiriyan side〉
スマイルは今起きてることにすごい好奇心を抱いているみたいだけど、できれば触れないでいてほしかった。
だってそれを知って、深くまで落ちていってしまったら?俺はどうやって取り戻せばいい。
ずっと待ってるんだよ。
お前の目がこちらを向いてくれるのを
でもそんなこと隣でつぶやいたって意味がないだろ?お前には届かないんだから
sm 「こんな噂とかどう?」
彼の声にハッと意識を戻した。
そうだ、彼はここにいる。それだけで十分ではないか。だから俺は甘い仮面をかぶって笑みを浮かべた。
kr 「どんなの?聞かせて」
あなたは知っていますか?
この学園に広まる古い御話。
理科実験室の人体模型の噂。
何年も前から使われなくなった理科実験室にはさまざまな備品がそのままの形で残されており、その備品を磨き元の場所に戻せば欲しいものが手に入ると言われています。
しかし教室に入ったら人体模型とは目を合わせてはいけません。
もしも目を合わせてしまえば、あなたの体がとられてしまうかもしれないから
でも大丈夫。このおまじないをかければ解除できます。
手順は簡単、目が合ってしまったらまずは瞬きを2回。その次に手で視界を覆い「あなたの臓器は揃っています。」と呟きましょう。
すると気がつけばあなたは隣の教室で目を覚まし、元に戻れるはずです。
形を変えるのではなく、原型に付け加えるような噂が彼らしいと思った。
kr 「うん、いいと思う」
sm 「よし、あとは噂を流すだけか」
奥深くに吸い込まれるような紫色の瞳がコロリと輝く。褒めても別に喜んだり、嬉しそうな素振りは見せない彼だけれど、表情はほのかに柔らかくなるのを俺はみていた。
kr 「スマイルはさ、怪異のことどう思ってるの?」
sm 「どうって、、悪い奴らなんだろうけど」
sm 「でも、そうじゃないこともあると思うんだ。むしろなんて言うか、寂しそうで悲しそうで手を差し伸べたくなるような」
kr 「この前の狐がそう見えたってこと?」
sm 「一瞬だけどそう見えただけ」
kr 「スマイルは助けたい?」
sm 「まだよくわかんない」
kr 「そっか」
kr 「よし、とりあえずシャークんとなかむよんできてくれる?」
sm 「ん」
多分、彼が話してることに嘘はない。
なぜそのように見えたのか、その事実が窺えたのか。もしもそれが確信へと変わってしまったらまずいと思った。
狐 「そこのガキんちょ」
kr 「霧雨様と呼びなさい」
狐 「知ったこっちゃないわよ」
狐 「、、、坊や。あの子は一体なんなの?普通の人間なら私たちが見えるどころか事実まで見えるわけがないでしょう」
kr 「そうだね」
狐 「何か隠しているわね」
kr 「、、、いや」
狐 「私、口は堅い方なのだけれど?
それにその顔。恋してるんでしょう?」
kr 「、、、しつこい奴」
狐 「女はどの動物も勘がいいのよ」
kr 「スマイルは、」
kr 「--------。」
狐 「そう、なのね 」
---実はぶるーく雷が怖いんだってさ
---言わずもがなシャークんもだよな?
---は?なかむだろ
kr 「ほらさっさと帰りな」