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「ラムネ」
前期の期末試験が終わり、今日と明日でテスト休みになので 今日は曜日、関係なく「嘉村堂」に向かう事にした。
ちなみに、明日は岩田達との予定で埋まっている。
今日は学校から向かう必要はないので、いつもと逆方向の駅から向かっている。
先週の水曜はテスト期間中と言うこともあったが、雨が降っているのに傘を忘れてしまって、行くことが出来なかったので、10日ほど行けていなかった。
「嘉村堂」の前に行くと、4人の小学生くらいの男の子達が店前のベンチの上に座り、楽しそうにお菓子を食べながら、話していた。
最初は、小学生が平日の午前中にここに居ることを不思議に思ったが、同時に今日が祝日であったことを思い出し、一人で納得し、今日の金曜ロードショーが「となりのトトロ」だったことを思い出した。
今日の僕のラストイベントだ。
僕は「嘉村堂」には入り、菊さんに軽く挨拶した後10円、20円コーナーからチョコ菓子、スナック菓子を1個ずつ手に取って、小学生達が座っているベンチとは別のベンチにゆっくりと座った。
チョコ菓子の方を先に食べる事にした僕は袋を開けた。
その時、隣のベンチに座っていた小学生達が揃って同じ飲み物を飲んでいる事に気づき、小学生達に悟られないように、そっと何を飲んでいるのかを確認した。
小学生達が飲んでいたのは、ラムネだった。
それはとても懐かしい物で、僕の心を躍らせた。
ラムネ瓶の中にあるビー玉に太陽の日差しが当たり、キラキラと光を帯びて「カランカラン」と音を放っていた。
僕はそれを見て「ラムネ欲」が高まり、小学生達が帰ったのを確認した後、「ラムネってある?」と会計台に座って、ラジオを聞いていた菊さんに尋ねた。
「ラムネ?晴ちゃん、珍しいね。」と言い、ラムネをとって来てくれた。
「130円です。」僕はお金を支払うと、ラムネ瓶を手に外のベンチに戻って、座った。
名前の分からない道具使って、ラムネ瓶を開けると「ポン!!」と音が立ち、ラムネの香りが僕の鼻を襲った。
「カラン」と言う音と共にラムネを一口、口に含んだ。
僕の口の中で「シュワッ」と広がり、僕を幸福が包み込んだ。
「あ~うっめ~!!」思わず声に出してしまい、誰かに聞かれてはいなかったかすぐに、周囲を確認する。
幸い、誰にも聞かれていなかったので安心し、一口『やはり、旨い!!』と、心の中でまた感動に浸った。
久々のラムネはそれはそれは美味しい物で、テスト勉強を頑張った僕のご褒美であっても、僕は文句一つも言わないだろう。
ラムネを飲み終わり、店内に入って菊さんと話をした。
テスト内容が難しく、テスト勉強が大変だったことや明日、岩田達と遊ぶ事などいろんなことについて話した。
そんなことをしていると、辺りは暗くなったので店を閉めた後、菊さんが僕を駅まで送ってくれた。
電車に揺られながら僕はあのラムネについて考えた。
あの感動をもっと楽しむ方法を考えて、結局「今度、岩田達と飲みに行こう。」と言う考えに至った。
窓の外を眺めると、綺麗な月が夜空に浮かんでいた。