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そうこうしているうちに、あっという間に夏季休暇が終わり、明日はいよいよホグワーツへ戻る日だ。しかし、情勢は混沌を極める一方で、各地で子供が相次いで失踪している。最後の晩の夕食どき、祖母が私に告げた。

祖母「明日、菊田先生が送って行ってくださるって」

イ「先生が?」

祖父「こんな世の中だからな。お前を1人で行かせる訳には行かない」

祖母「明日の朝、家まで来て下さるそうよ」

イ「ふーん、わかった」

夕食を終えてベッドに入る。そして祖父母が言ったことを思い返した。世間は今どうなってしまったのだろうか。もしかしたら、私の友人もいなくなってしまったかも。不安が堂々巡りして、その晩はなかなか寝付けなかった。

気が付くと、カーテンから漏れる朝日で目を覚ました。いつの間にか眠っていたようだ。

身支度を整え、荷物をまとめて1回に下ろす。祖父母と朝食を取り、いよいよ家を出る時間だ。

祖母「今度帰ってくるのはクリスマスかしら、待ち遠しいわね」

祖父「気をつけるんだぞ、頑張れよ」

イ「ありがとう!また手紙書くね」

祖母「待ってるわ」

そんなこんなしているうちに、玄関のドアが叩かれた。

祖父「時間通りだな。」

時計を一瞥した祖父がそう言うと、祖母がドアを開ける。

菊田「おはようございます」

祖父「久しぶりだな、先生」

菊田「お久しぶりです。お元気でしたか?」

祖父「お陰様でな」

祖母「おはよう、イーヴァをよろしくね」

菊田「もちろんです、イーヴァ、おはよう」

イ「おはよう先生」

菊田「では、行ってきます」

祖母「元気でね」

祖父「手紙忘れるなよ」

イ「いってきまーす!」

そう告げて私たちは駅へ向かう。

道中は他愛もない会話を続けていた。

菊田「休暇はどうだった?」

イ「2人が、あんまり外には出るなって。少し退屈だった。皆との文通だけが楽しみだったよ。先生は?」

菊田「あー俺?俺は…仕事が嵩んで忙しかったな」

イ「先生たちはどれぐらい知ってるの?」

菊田「知ってるって、なにを?」

イ「失踪事件のこと」

菊田「……まだハッキリとした情報が入ってないんだ。でも、既にホグワーツ生でも失踪者が出てる。」

イ「ほ、ほんとに…?」

菊田「残念なことにな…」

イ「みんな無事だといいけど…」

菊田「イーヴァも気をつけろよ」

イ「うん、わかってる…」

仲のいい友達がもし失踪事件に巻き込まれていたとしたら?そんな一抹の不安を抱え、列車に乗り込んだ。列車が発車してしばらくした後。揺れるコンパートメントの窓をノックする音でふと我に返った。するとそこには、大きな体躯を少しかがめて、私の様子を伺うような素振りを見せる有古くんがいた。彼の姿を見て、嬉しいと同時に安心感を覚えた。

イ(有古くんは無事だったみたい…)

有「ここ、座っても?」

イ「もちろん!」

この休暇の間、文通でのやり取りだけで、彼と顔を合わせることは出来なかった。そのためか、私は無意識に頬を緩ませていたらしい。

有「何かいいことあったのか?」

イ「えっ…なんで?」

有「その……笑ってる、から」

咄嗟に頬に手を当てて、誤魔化そうとした。

イ「いや…会えてよかったと思って」

そう言うと彼は一瞬目を見開き、耳を赤らめて俺もと答えてくれた。しかし、彼は僅かな違和感に気づいていたらしい。

有「何かあったのか?少し…不安そうな顔をしている…」

私の不安の種について、話そうか迷った。しかし、世の中がこれほど混迷しているのだから、有古くん然りホグワーツ然り事の重大さには気づいているだろうと思い、口を開いた。

イ「最近起きてる失踪事件のこと…知ってる?」

有「…ああ」

イ「ホグワーツの子も…」

有「そう、なのか」

イ「みんな無事だといいんだけど…」

有「学校に通っている場合じゃなくなるかもしれないな」

イ「せっかく新学期が始まってみんなに会えると思ったのに…でもいまは安全が優先だもんね」

有「でも、イヴァンナに会えてよかった。手紙が来るから無事だと分かったけど、少しでも遅れると不安だった…」

イ「実は私もだよ。皆の安否が不安で…」

有「どうなるんだろうな、これから…」

私たちの胸に不安が募り始めた。

貴女の瞳に幸せが映りますように

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