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1-A
宮野 澪 ミヤノ ミオ
容姿はお好きな様に🫶
放課後の教室は、やけに静かだった。
窓の外では夕焼けがにじんでいて、世界が少しだけ優しく見える時間。
本当は、とっくに帰るつもりだったのに。
「……まだいんのかよ」
背後から聞こえた声に、肩がびくっと揺れる。振り返らなくてもわかる、その乱暴でぶっきらぼうな声。
爆豪勝己。
「か、帰るところだったの」
嘘だった。ノートを広げたまま、ただぼんやりしていただけ。
「は?その顔で?」
ドカッ、と隣の席に乱暴に腰を下ろす音。心臓がうるさくなる。
「……別に、なんでもない」
そう言った瞬間、腕をぐいっと掴まれた。
「嘘つけ。顔、死んでんぞ」
思ったより強い力に、息が詰まる。でも、その手はどこか熱くて、振りほどけなかった。
「……ちょっと、疲れただけ」
「“だけ”でそんな顔になんねぇだろ」
逃げ場を塞ぐみたいに、ぐっと距離が近くなる。鋭い赤い目に射抜かれて、言葉が出てこない。
「……誰だよ」
「え?」
「お前、そういう顔するときは大体“誰か”が原因だろ」
驚いて、目を見開く。
どうしてわかるの。
何も言ってないのに。
「……別に、誰でも」
「はぐらかすな」
低くて、でも少しだけ優しい声だった。
その瞬間、胸の奥に押し込めていたものが、じわっと溢れてくる。
「……ちょっと、うまくいかなくて」
「何が」
「いろいろ……」
言い切れなくて、視線を落とす。
自分が情けなくて、涙が出そうになるのを必死にこらえる。
すると、不意に額を軽く小突かれた。
「いっ……」
「しょーもねぇことで一人で抱え込んでんじゃねぇよ」
ぶっきらぼうな言葉。
でも、不思議と胸が少し軽くなる。
「……爆豪くんには関係ないでしょ」
少しだけ強がって言うと、彼は一瞬黙った。
それから、ふっと鼻で笑う。
「関係ねぇと思うなら、そんな顔で俺の前にいんじゃねぇ」
「……え」
「気ぃ散るだろうが」
言い方は相変わらずなのに。
その後、ぽつりと付け足された一言が、全部を変えた。
「……ほっとけねぇだろ」
一瞬、時間が止まった気がした。
夕焼けの光が彼の横顔を照らして、やけに綺麗に見える。
「……なんで」
「は?」
「なんで、そんなこと言うの」
自分でもわからないまま、口からこぼれる。
爆豪くんは面倒くさそうに頭をかいた。
「知らねぇよ」
「……ひどい」
102
「でも」
その一言に、息が止まる。
「泣くくらいなら、最初から頼れや」
視線が合う。
まっすぐで、逃げ場なんてどこにもない。
「俺が全部ぶっ壊してやる」
物騒なのに、不思議と怖くない。
むしろ、どうしようもなく安心してしまう。
気づけば、こらえていた涙が一粒こぼれていた。
「……ほんと、乱暴だね」
「うるせぇ」
でも、その声は少しだけ柔らかかった。
そっと、頭に手が乗る。
思っていたより、ずっと優しい手つきで。
「……泣くな」
その一言で、完全に堪えきれなくなった。
夕焼けの教室で、静かに泣く。
隣には、不器用で優しいヒーロー志望の少年。
「……ありがと」
小さくそう言うと、彼は少しだけ顔を背けた。
「礼とかいらねぇ」
「じゃあ、なにがいいの」
意地悪で聞いてみる。
すると、一瞬だけ間があって——
「……次からは、最初に俺んとこ来い」
その言葉に、胸がぎゅっと締め付けられる。
切なくて、でもどこかあたたかい。
「……うん」
小さく頷くと、彼は満足そうに鼻を鳴らした。
窓の外は、もうすぐ夜になる。
でも、不思議と怖くなかった。
隣にいるこの人が、きっと照らしてくれる気がしたから。
休止はもうちょっと待っててね🫶
回復してきた!
コメント
2件
かっちゃんを選ぶとはセンス良ツ! 流石に月夜ちゃん書くのがうまい✨️
あぁぁぁ…かっちゃんやっぱ君ヤベェよ うん、月夜ちゃんやっぱ神🫵💕