テラーノベル
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【サジェス視点】深夜1時過ぎを指している時計。病的なほど白い腕に走る数本の赤い線、近くに置かれたカッター。嗚呼、またやってしまった……こんな事を続けてはいけないと頭では分かっているのに、体は言うことを聞いてくれない。ワタシは神だから、これくらいの傷で死ぬことない、でも、この傷がバレてしまったら、理由を聞かれてしまうだろう、そういうことになり、もし、理由を聞かれても答えることはできない。ワタシも分からないんだ、体が勝手に動いてしまう。別に特別嫌なことがあった訳でもない、疲労がたまっているわけでもない。只、勝手に体が動くだけなんだ。そう言っても信じてくれないんだろうか
そんな事をずっと考えてしまった。いつの間にか時間が過ぎるのは早く、時計の針が朝の6時を指していた。もうすぐ仕事に行かなくてはならない。ふと、視線を移すとまだ赤い線の走ったままの腕が視界に入って手当を忘れていたことに気付いた。急いで包帯を軽く巻いて、袖で包帯を巻いた部分を隠して。服を着替えて家を出た
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「お!サジェス!今日も遅かったな、何かあったのか?」
「あぁ…おはよう…ウィンディ、少し寝すぎてしまってね…」
“寝すぎた”とありきたりな嘘を付く、本当は自傷をしてその事についてずっと考えていたせいで遅れたなんて言えるわけないのだから。
「本当にそれだけか?最近はずっと遅れてるだろ?嘘は付いてないんだよな?」
「勿論、ウィンディに嘘なんて付かないよ、、じゃあ、仕事を始めるから…」
疑いの目を向けられているようだ、仕事を理由に会話を打ち切って、早速仕事を始めようと分厚くて重い知恵の本を手にとって、いつもの場所へと移動する。少し包帯を巻いた腕が痛んだような気がしたけど、気づかないふりをした。
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【ウィンディ視点】
サジェスの様子が最近おかしい気がする。
前は誰よりも早く来ていたサジェスが遅れてくることが増えたし、遅れてきた理由を聞いても先程の様に“寝すぎた”なんてありきたりなことしか言わない、前のサジェスならそんな事は言わない。怪しくも思えるだろう。これ以上詮索しても彼は答えぬだろうから、いまはただ見ているだけにした。
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「おや、もうこんな時間かい、そろそろワタシはそろそろ失礼させてもらうね。」
「お、サジェス、帰るのか。俺もそろそろ帰ろうかね〜、」
時計の針は夜の23時過ぎを指していた、これくらいの時間になれば残っているのはワタシとウィンディ、フォルス様だけ。2人に帰ると報告をして颯爽とその場を去った。
家に帰れば。1人で暮らしているので当然だが、帰っても“おかえり”の一言もなくて、電気が灯ってない、そんな空気に少し寂しさを感じたりもする。今日はなんだか疲れたなぁ…そう思ってすぐに荷物を置いて、ベッドに倒れ込むように寝転がった。そうしてしばらくぼーっとしていたら。ふとした瞬間に何か思いついたように、体が勝手に動くようにベッドから起き上がって、棚の上へ置かれていたカッターへ自然と手を伸ばしていた。
それで、気が付いたらまた腕に真っ赤な線が浮き出ていて、眠気のせいなのか少しぼんやりとした頭で数分程考えてやっと認識した。嗚呼、またやってしまったんだと。それを自覚した途端急に寂しくなって、誰かに会いたくなって、手当ても忘れて十文字にも満たない短文をウィンディに送った、大体は“寂しい”だったり“会いたい”みたいなものだ。迷惑になるとは分かるけどそんなものを何通も何通も送った。今日はそれから寝られなかった
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