テラーノベル
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続きです!
鏡越しに、NAOKOがこっちを見る。
「続きどうする?」
「え、あ……うん」
なんか急に落ち着かなくなって、私は誤魔化すみたいに歌詞を口にした。
「“誰が一番熱いか”、だから……汗拭ってる感じとか?」
「おぉ!いいねぇ」
「たとえばさ」
私はNAOKOの腕へそっと触れる。
「こういう感じで」
肘から、ゆっくり腕をなぞる。
そのまま脇腹へ滑って、腰のラインを触った。
「っ……ふ、ん……」
「……どうかな?」
「………」
急にNAOKOが両手で顔を覆った。
「え、どうしたの!?」
慌てて覗き込む。
「嫌だった?変だった?」
「……なんか、今日だめだぁ……」
指の隙間から、小さな声が漏れる。
「まひちゃんといると、変になる……」
「えぇ?」
「距離近いし、急に触ってくるし……」
「だって振り付けじゃん!」
「わかってるけどぉ……」
いつもはあんなに私を振り回すのに、今日はやたら弱い。
そんなNAOKOが珍しくて、つい笑ってしまう。
「なんか今日かわいい〜」
「あ……今、絶対変なこと考えたやろ」
「え、なんでよっ」
「声のトーンでわかる……」
「う〜ん、考えてるかもね」
「やっぱりぃ……」
NAOKOがじりっと後ろへ下がる。
その反応が面白くて、私はさらに一歩近づいた。
「な〜おちゃんっ?」
「っ、来んといてぇ!」
慌てて腕を前へ伸ばして、距離を取ろうとしてくる。
「今のまひちゃん、何するかわからんから怖い……」
「え〜?」
「いつもの可愛いマンネに戻ってよぉ……」
むすっとした顔で言われる。
「いつも通りだよ〜?怖くない怖くない」
「うそやぁ……」
NAOKOがじりじり後ろへ下がった、その時。
――ガチャ。
突然、スタジオの扉が開く音が響いた。
「っ!?」
二人同時に入口を見る。
けれど誰かが入ってきたわけじゃなくて、隣の部屋からスタッフさんが出ていっただけだった。
「あ、なんや……びっくりしたぁ」
NAOKOがへにゃっと力を抜く。
そのまま後ろへ体重を預けようとして――
「わっ」
思ってたより鏡まで距離があったのか、身体がぐらっと傾いた。
「なおちゃん!」
慌てて腕を掴む。
でも勢いがつきすぎて、今度は私まで前へつんのめった。
きなこ猫
紫宮 叶夢
「っ、ちょ、近……」
気づいた時には、NAOKOを鏡と自分の間に閉じ込めるみたいな体勢になっていた。
狭い隙間に押し込まれたせいで、NAOKOの足の間に私の足が入り込む。
「……んっ」
NAOKOの熱い吐息が、鎖骨に直接触れる。
「……」
「……」
外の音より、自分の心臓の方がうるさい。
さっきまであんなに騒いでたのに、急に何を喋ればいいのか分からなくなる。
「……なおちゃん、大丈夫?」
気まずさを誤魔化すみたいに、先に口を開いた。
「怪我してない?」
「へ、平気……やけど……」
NAOKOが息を詰めたみたいに肩を揺らす。
「……ちょっと、苦しいかも」
「え、ごめん」
離れようとしたけど、変に足が絡まって動けない。
「わ、待って、足……!」
「ちょ、ま、動かんといて、余計……っ」
動いた瞬間、絡まった足同士が擦れて、逆にもっと身体が密着した。
「っ、ご、ごめん!」
「ゃ……っ、まひちゃん、ほんま動かんで……」
覗き込むと、NAOKOの目がうっすら涙目になっていた。
近すぎるせいで、熱い呼吸が首元にかかるたび、頭がぼうっとする。
(……なおちゃん、めっちゃ焦ってる)
困ってる顔も。
逃げたいのに逃げられてない感じも。
なんか全部、もっと見たくなる。
「……なおちゃん」
吸い寄せられるみたいに、ゆっくり顔を近づける。
ほんの少し動けば、もう唇が触れそうな距離。
鼻先がかすりそうになった、その時。
「……っ」
NAOKOの指先が私の唇にそっと触れた。
「……マヒ」
掠れた声。
NAOKOの喉が、小さく上下する。
「……だめだって……」
止めるみたいに言うくせに、指先は震えていた。
押し返そうとしてるはずなのに、全然力なんて入ってない。
その距離感が、逆にだめだった。
私は、唇を塞いでいるその指越しに、そっと口づける。
「っ……!?」
NAOKOの肩がびくっと跳ねた。
直接じゃない。
でも、指先の向こうにある柔らかい熱がじんわり伝わってきて、頭の奥が変に痺れる。
「ちょ、ま、え、なにしてんの……!」
「だって、止めるならちゃんと離れないと」
「そういう問題ちゃうって!!!」
耐えきれなくなったみたいに、NAOKOがその場にしゃがみ込む。
顔を真っ赤にして頭を抱えてる姿が可愛すぎて、私はまた声をあげて笑ってしまった。
終わりです。
久しぶりに振り付け解説を見返したら、チカナオ、マヒナオ、モモナオをたくさん観測できて幸せになりました。
あと最近、ホラー系とかバッドエンド系の案がめちゃくちゃ浮かんでるので、そのうち書くかもしれません。
読んでくださってありがとうございました!
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コメント
1件
ドカメロで死にましたありがとうございます最高ですඉ_ඉ