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「ハイネ、今日の午前中は王子たちと書斎での勉強だったな」
「ええ、全員真面目に取り組んでいました。特にブルーノ王子の論文の仕上がりは──」
「ほう……そんなに、素晴らしかったのか」
(なんでしょう、声が一瞬低かったような……)
「それに、リヒト王子の接客マナーも、前よりずっとよくなっていて──」
「……ふむ」
「レオンハルト王子も──」
「……」
「カイ王子は──」
「………………ハイネ」
「はい、陛下?」
「君は私のことも、褒めてくれていいんだよ?」
「…………」
──数分後、食堂。
「レオ兄、さっき父上がめっちゃ不機嫌だったけど……また何かあった?」
「し、知らないぞ!!僕は何もしてないからな!!!」
「……嫉妬、じゃないか」
「へ?」
ブルーノが静かに呟いた。
「おそらく、自分たちの話ばかりを師匠がしていたから、“自分も構ってほしい”という感情が抑えきれなかったんだろう」
「え、それ……かわいすぎじゃない?」とリヒトが吹き出す。
「父上が僕たちに嫉妬……!?!?!?」
レオンハルトが皿を落としかけて大慌て。
その夜、王の書斎にて。
「……ハイネ」
「はい」
「私は、君が子どもたちと過ごしているのは喜ばしいことだと思っている」
「……ありがとうございます」
「だが、どうしても……」
ぎゅ、とハイネの手を取って、少しだけ拗ねた声で──
「君の心の中に、私だけの場所がほしくなるんだ」
「…………」
ハイネはため息をついた。
「……子どもですか、あなたは」
「うん。君の前では、そんなふうになってしまう」