「失礼します」そう言って眠りにつくこいつ
寝顔は昔のままだなと少し安心する俺
先程までのキリッとした顔とは裏腹に
落ち着いたかのように、可愛い寝息をたて眠っている
スッとした鼻
可愛い唇
シュッとしたまつ毛
全てが綺麗だと思う俺は頭でもぶつけたのだろうか
🦄「スースー」
気持ち良さそうに眠るこいつは、昔と全く変わらない
それに比べて俺はどうだ
どれだけ変わった
性格だけでなく、人生まで変えた
それでも、幸せとは程遠い
数年前、いつだったか
ホソガと”幸せ”について話した事があった
その時、ホソガは
🦄「大好きな人と一緒に居て、自分がしたい事ができる事じゃないかな?」
と言っていた
俺は「そうかもな」と言った
俺は答えなかった
答えなかったというか、答えられなかったというほうが正解だろう
“幸せ”という物が分からなくなって来ていた時期だった
親からの重圧、家庭教師からの熱心な教育
今思えば
ホソガと話していたあの時間は、俺にとっての唯一の”幸せ”だったのかもしれない
今となっては、過ぎた話だ
今の立場、人生、性格はもう変える事はできない
何も答えなかった時、ホソガは何も問わずに笑っていた
俺の気持ちに気付いていたのかもしれない
なあ、ホソガ…
お前が知ってる俺は、
どんな顔をしてた?
どんな性格だった?
幸せそうだったか?
眠っているホソガに、心の中で問い続けた
伝わるはずのない問いを
教えてくれ…ホソガ…
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