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放課後の教室。日が落ちかけた窓から差し込むオレンジ色の光が、机や椅子の影を長く引き伸ばしていた。
Hoolaは自分の進路希望調査票をじっと見つめ、ため息をついた。
「うーん……将来ってさ、ほんと何が正解かわかんないんだよねぇ」
「また悩んでんのか?」
声をかけたのはHyehehe。彼もプリントを片手に、Hoolaの隣の席にどかっと座った。
「だってさー、将来って言われても……ずっと遊んでられる職業とかないの?」
「あるわけねーだろ」
「じゃあHyeheheは?」
「……まぁ、音楽系かな。笑えるような仕事。人を驚かせたり、楽しませたり。……俺らしいだろ?」
ふいに真剣な目を向けられて、Hoolaは少しだけ胸がドキンと鳴った。
「……うん。めっちゃ似合うと思う。Hyeheheがいたずらしながらニコニコしてる世界って、楽しそうだし」
「お前は?」
「えー、あたしはさぁ……」
Hoolaは少し考えてから、小さな声で答えた。
「ずっと自由でいたい。でも、それだけじゃ誰も納得してくんないじゃん。だから……誰かと一緒にいたいなって思うの。誰かのそばにいながら、楽しいことをずっと続けられる未来がいい」
「……ふーん」
Hyeheheは口の端を上げて、からかうように笑った。
「じゃあ、俺のそばでもいいってことか?」
「〜〜っ!!」
Hoolaは真っ赤になって、手元の紙でHyeheheの顔を軽くペシッと叩いた。
「そういうとこだぞ!!そーいう言い方ずるいんだってば!!」
「はは、でもお前、顔真っ赤だぞ?」
「うるさい!!」
そのとき、教室のドアが開いて、Floogullがひょこっと顔を出した。
「おぉっと、イチャイチャしてるとこ失礼〜〜。……あ、Hoolaちゃん、進路まだ出してないでしょ?先生が待ってるよ〜」
「えっ、やば!!ありがとうFloogullくん!急がなきゃ!」
小走りに職員室に向かうHoolaを見送りながら、Hyeheheは肩をすくめた。
Floogullがくすっと笑う。
「……ほんと、良い関係だね。君たち」
「……まぁな。面倒だけど、そういうのって楽しいんだよ」
夕焼けの教室に残されたHyeheheは、進路票にそっとペンを走らせる。
“エンタメ系/音楽系”と書いたその横に、小さな字で、こう書き添えた。
「できれば、あいつと一緒に」
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