テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
春の風がキャンパスをすり抜け、教室の窓を揺らす。
大学__
どこかからかすかにギターの音が聴こえてくる。hoolaは、少し乱れた黄色い髪を手で整えながら、早足で廊下を歩いていた。
「ん〜……今日の教授、また話長そうぅ……私もうちょい寝たかったのに〜……」
ツンとした口調でぽつりと呟きながらも、その足取りは軽やかだった。今日は午後からpomilyのみんなとカフェに行く約束がある。その前に、講義さえ終われば――。
「おはよ、hoola」
教室に入ると、すでにpompomが席についていた。ピンク色の毛が朝日を反射してキラリと光る。
「おはよ、pompom。……って、また席とっといてくれたの?サンキュ♡」
「まあね、いつも寝坊気味なんだもん、hoolaちゃん」
近くではsoozaが優しげに微笑んでいた。
「講義、ノートちゃんと取っておくから…もし眠くなったら言ってね?」
「ふふっ、私そんなに眠たそう?も〜みんな優しすぎ〜…!」
と、そのとき。
「――いた。」
ひょい、と背後から何かが飛んできた。hoolaの頭に、ぺたりと何かが当たる。小さな紙切れ。開くと「今日のランチ、学食のB定食にする?」という文字と、見覚えのある乱雑な字。
「あっ……hyeheheのやつ……!」
振り返れば、少し離れた席から、hyeheheがこちらを見て、ニッといたずらな笑みを浮かべていた。
(なぁにニヤついてんの……ウチのことからかってんの?)
そう言いながらも、hoolaの口元は緩んでいた。hyeheheとのやりとりは、高校の頃から変わらない。大学に入って、ほんの少しだけおとなしくなったつもりだったけど、やっぱりこの感じは落ち着く。
講義が始まり、教授の声が響き始めると、教室の空気は一変する。だが、その空気を破ったのは――。
“……ぴよぴよぴよ……”
小さな音。どこかの机から鳴り出した謎の効果音。
「……は?」
周囲がざわつく中、hoolaの机の下――hyeheheがそっと忍ばせた、音声メッセージ付きのぬいぐるみ(らしき物体)が転がっていた。
「なっ……!」
「ピヨピヨって、うちのこと鳥扱いしてんのかこら……!」
ぷくっと頬を膨らませてhoolaが睨むと、hyeheheは「知らな〜い」みたいな顔をして白を切っている。
「しっかりしてよね、もう……」とpompomはため息をつきつつも、笑って後始末を手伝ってくれた。
講義が終わる頃には、hoolaはすっかり笑顔だった。
⸻
午後。カフェにて。
「でさ、あのぬいぐるみ、わざわざ前日に仕込んだって、聞いたよ〜?」
roobaがアイスティーを飲みながら肩をすくめる。
「……さすがに手が込みすぎよねぇ」
soozaも苦笑している。
「でも、hoola笑ってたじゃん……ふふ、やっぱり好きなんだ〜♡」
tootooが無邪気に言うと、hoolaは思わず頬を赤く染めた。
「わ、私が笑ってたのは、…そんなんじゃないし!?……ま、まぁ……そんくらいしてくれるって、嬉しい……かも……だけど……」
恋とイタズラ。ふたつが入り混じった大学生活の1日。
hoolaにとって、静かなようで騒がしい、でもやっぱり大切な日常だった。
⸻