「私、結婚するよ 」
指輪のついた左手で頬杖を着きながら
一緒にコーヒーを飲みあっていた友達に
そう静かに告げた
どんな人でもいいから
結婚して幸せになって欲しいと
昔から私に言ってきた友達
父は遠い昔に死んでしまって
女手一つで育ててきた母ももう居ない
そんな私を友達はとにかく気にかけた
「お相手さんは?会える?」
「んー……ちょっと難しいかも」
「あの人忙しいからさ」
「そっか……でもよかった、幸せにね」
数年も前にうまっている彼女の薬指
そこに輝く指輪は幸せの証明
でも私の指に光るそれは違う
「プロポーズのセリフは?どんなのだったの?聞きてもいい?」
「ん?……あぁ、えっと……」
ワクワクした表情でそう告げてくる
でもそんなに期待しないで欲しい
プロポーズのセリフ
王道でいえば「僕と結婚してください」
ぐらいだろう
でも、私が選んだ彼は
「結婚しよう」の言葉もなかった
彼の口から出た言葉は
「籍はいれましょう
一応結婚ですから指輪はお揃いのものを。
でもそれだと鈴さんが働きにくく
なりますから、鈴さんだけ別の指輪を
買いましょう
結婚相手が僕だとか、鈴さんが僕の
結婚相手だとか知られたら
色々大変でしょうし……
それで……いいですか?」
結婚だなんて、そんなのただの建前
半分契約に過ぎなかった
お互いの利点のため、目的のため
二つ返事でその問に返した
なにも反対する理由もない
私の結婚は幸せでもなんでもない
ただの偽装結婚だった
コメント
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続き楽しみー!!
めちゃめちゃすきなんだが?!
真相をお話しますの公開日にしやした!(ハート)