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俺がどうして良いか迷っていると、彼の視線が俺に刺さる
「僕達まだ自己紹介してなかったですね。僕は剣持刀也です。あなたは?」
「‥‥‥‥‥‥」
「あ、そうか‥‥喋れないですよね‥‥じゃあ」
立ち上がりペンと紙を持って来た
そんな俺‥‥ペンなんか握った事無い
ペンを手に取り握ってみる
どうやって書くのか‥‥
恐る恐る剣持さんを見ると、彼は何かを考えていた
「僕の言葉は理解してるよね‥‥だったら字は読めるのかな」
「‥‥!」
俺は何度か頷くと剣持さんは本を持って来た
それには言葉が並んでいて、それを俺に差し出して来る
「名前‥‥指でさせる?」
俺は並んだ文字から『ロウ』を指差した
「ロウ君?」
「‥‥!」
頷くと剣持さんが俺に笑った
「意思疎通なんて伝わったらそれで良いんですから」
俺を理解しようとしてくれる事が嬉しかった
この人は俺達が知っている人間とは違う
そう俺が感じ始めていると、剣持さんから聞きたくない質問をされた
「ねぇ、僕達前に会った事ない?」
一瞬だったけど俺の事見てたし‥‥
やっぱり覚えてたんだ
それでも俺は首を横に振るしかなかった
「そう‥‥だよね。だって君には足があるし‥‥」
ヒレまで見られたんだ
絶対に俺だと思われたら終わる
この足があって良かった
「余計な事言いました。早く食べましょう」
俺達はまた食卓で向かい合った
そうだ
俺‥‥この食事を頂いても大丈夫なんだろうか
まだ白い湯気がたちのぼっている
剣持さんを真似してスプーンに白い物を掬った
そっと口を付ける
温かくて美味しい‥‥
これは何て言う食べ物なんだろうか
「‥‥‥‥‥‥」
俺はこっそり剣持さんを見た
剣持さんはそれを察したのか、今食べた物を指差した
「これはリゾットだよ。美味しい?」
俺は小さく、でも何度も首を縦に振った
こんな美味しい物を人間は毎日食べているんだ
他のものも食べてみたい
「お肉‥‥食べれる?」
お肉‥‥
このまま食べて良いのかな?
大きい一枚の肉をスプーンで掬おうとしてみる
「あ、待って!ちょっと待ってて」
俺の前から皿を取ると、その肉を細かくナイフで切り分け戻してくれた
そしてスプーンではない物を手に持ち俺に教えてくれる
「これはフォーク。これで刺して食べて」
そう言うと剣持さんが先に食べて見せてくれる
なるほど
こうやって食べるのか
これまた美味しい食べ物だ!
俺が美味しそうに食べていると剣持さんがニコニコと見ている
口にお肉を頬張るとソースが口の端に付いてしまった
「慌てなくてもまだあるから」
そう言って指でソースを取るとそれを舌で舐めた
何故だかその行為を見ると顔が熱くなる
「どうかした?」
「‥‥‥‥‥‥」
首を横に振って目を逸らす
何だ?
この気持ち
胸がドキドキしてる
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コメント
4件
剣持頭いい〜 こや それは恋って言うんだよ(●´꒳ `●)**
ふぅ、ごちそうさまです!゛意思疎通なんて伝わればいい゛名言っすね!