テラーノベル
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目が覚めると別の病室のベッドの上にいた。
ジェルくんはもう隣にはいなかった。
まるで、昔の景色を見ているようだった。
随分も前の話だというのに、今でも鮮明にことを覚えている。
るぅと「莉犬、、?」
莉犬「るぅちゃ…」
隣にはるぅと君がいた。
るぅと「ごめん、ごめんね…ポロポロ」
お母さんと重なっていく。
莉犬「ううん、るぅちゃんは悪くないよ」
莉犬「俺こそごめん…」
過去の自分と重なっていく。
これは言っちゃいけない。しちゃいけない。
笑っちゃいけない。泣いちゃいけない。
自分で自分にブレーキをかける。
るぅと「ジェルくん、違う部屋にした、、」
莉犬「そっか、」
るぅと「ごめん、ごめんね、本当に、、」
るぅと「怪我なんかさせたくなかったのに、」
莉犬「痛くないから、大丈夫、」
莉犬「大丈夫だから、ね、? 」
笑っているから大丈夫。
そう思って欲しかった。
勘違いしてて欲しかった。
るぅと「うん…笑」
悲しそうに、寂しそうに、顔を曇らせていた。
莉犬「にこっ」
もう一度笑ってみせる。
るぅちゃん。俺、もう大丈夫だよ。
俺、もう充分幸せだから。
これ以上のものなんて望んでなんかないから。
大丈夫だから。
早くまた、笑って見せてよ。
るぅと「莉犬、辛そうだよ」
るぅと「莉犬……隠さないで?」
莉犬「……な、にを」
るぅと「強がってる顔も、」
るぅと「無理してる笑顔も。」
るぅと「僕にはもう隠せないよ」
一瞬、息を詰まらせた。
視線を逸らして、いつものように笑おうとする。
でも、その笑顔は最後まで形にならなかった。
莉犬「……俺、ほんとは、怖かった」
莉犬「ジェル君がいなくなって…」
莉犬「また、置いてかれるんじゃないかって」
お母さんみたいに。さよなら。
そう言って、帰ってこなかったお母さん。
ジェルくんも、もう帰ってこないんじゃないか。
もう、二度と会えないんじゃないか。
そう思った。
ぽつりと零れた声に、るぅと君はぎゅっと俺の手を握りしめる。
その手は俺よりも大きくて、俺の全てを包み込んでしまうように感じた。
るぅと「置いてかないよ。」
るぅと「僕はここにいるから」
莉犬「……ほんとに?」
るぅと「ほんと。だからもう、隠さないで」
るぅと「莉犬、、莉犬、、」
るぅと「莉犬と会えて本当に良かったぁ、」
るぅと「莉犬は僕の太陽なんだよ」
るぅと「最初にあったあの時から。」
るぅと「小さくて。でも暖かくて。」
るぅと「大切にしたいって思えたんだよ。」
るぅと「だから、莉犬は僕が守るから」
るぅと「莉犬がまた心から笑えるように」
るぅと「莉犬のことを守り続けるから。」
るぅと「莉犬の隣に僕もずーっと居たい」
るぅと「莉犬といっぱい話して、笑って。」
るぅと「遊んで、歌って、配信して、…」
るぅと「莉犬と離れたくない…」
俺の名前を呼び続ける、るぅとくん。
俺よりも少し大きな体で俺を抱きしめる、るぅとくん。
いつもは俺なんかよりも大人びていて、かっこいいるぅとくん。
俺を抱きしめる、るぅとくんはまるで昔の俺のようだった。
さようなら。
そう言って、玄関のドアを開けるお母さん。
その時俺は、行かないで。そう言ってただ泣くことしか出来なかった。
本当は、行かないで。
そう言ってお母さんを力いっぱいに抱きしめたかった。
殴られても。蹴られても。
何をされてもいいから、行かないで。ってずっと抱きしめていたかった。
嫌なことを言われても。
嫌なことをされても。
俺のお母さんはこの世でたった1人だけだから。
俺の普通は周りの人とは違うのかもしれない。
でも、俺には変わらない日常が欲しかった。
皆が望んで、過ごしていく、日常じゃなくてもいいから。
家族皆で笑って、お出かけして、、。
そんな、大きな幸せなんて望まないから。
大好きだよ。
そうやって俺を抱きしめて欲しかった。
偽りの愛でもいい。
どんだけ軽い愛でもいい。
俺が欲しかったのは、小さな愛だけだったのに。
普通の家庭にある極普通の愛。
本来誰しもが受けるはずの親からの愛。
俺はそんな普通が欲しかった。
その願いが叶うことは無かった。
コメント
7件
いつもありがとうございます! 続きたのしみにしてます
見るの遅れだっっ… いやぁぁぁ… 神様仏様ひよこのおやつ様ですね 神ですかっ… ジェルくんもりぬくんも2人とも辛いんですね… フラッシュバックして… 次回も楽しみにしています!
泣く泣く泣く泣く(´;ω;`)