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舌先で、まだ嘘をつく

5 - 最終話 ふたりきりの牢屋

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2025年05月14日

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最終章:ふたりきりの牢獄






それから俺たちは、外では「理想の先輩後輩」だった。


挨拶は丁寧に。笑顔は清潔に。

誰が見ても微笑ましいって思うくらいの関係を、完璧に演じた。


でも寮の部屋だけは、別だった。


「スマホ、見せて」


「…うん」


毎晩チェックされる。

誰と話したか、どこにいたか、全部言わされる。


でもそれが嫌じゃない。むしろ――安心する。


誰かに見張られてるってことは、誰より深く見つめられてるってこと。

他の誰かになんて、理解されなくていい。

この人に壊されるなら、それでいいって、今は思ってる。


「なあ、俺さ」


ベッドの中、先輩が呟いた。


「お前がもし俺を裏切ったら、きっと殺してでも取り返すと思う」


「……俺がもし逃げたら?」


「逃げらんねぇように、足折るかもな」


ふざけた調子で言ってるくせに、目は笑ってなかった。

ゾクリと背筋をなぞる感覚――それすらも、心地いい。


「じゃあ俺は」


「ん?」


「先輩が俺以外を見たら、その目、潰すね」


笑ってそう言った俺に、先輩は目を細めてキスを落とした。

苦しみと快感が溶け合った、牢獄みたいな口づけだった。


鍵はかかってない。逃げようと思えば、いくらでも逃げられる。

でも、俺たちはここから出ない。


だって――ここが、一番安心できる檻だから。

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