テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
人間の「愛のかたち」というのは様々であって、「愛の伝え方」というのもまた十人十色である。
けれども人間というのは、その愛を伝えるために、必死に労苦するものなのだろう───。
一年半前の夏…。
「あ〜〜、つまらん〜〜〜」
どかっとベッドに倒れ込むのは、16歳の女子高校生である珠花だ。
部屋は薄暗く外からの光は何も入ってこない。その中に散らばるのは、学校から配られたのであろうプリント類や、食べかけのお菓子の袋だった。
彼女の机にはカラフルな封筒に入れられた多くの手紙が置いてある。
《珠花ちゃんが早く学校に来れるように頑張るからね》
《数学の範囲はここまで終わったよ》
《今日の給食は〇〇だったよ》
……どれも全部、担任の先生からのものだ。
もちろん、というか一応珠花はその手紙類には目を通していたし、あっちは少しでも返答を望んでいるのだろうけれど、珠花はその気にはなれなかった。
だって、行けばそこには珠花の居場所なんてないのだから。
毎日無視をされ続け、大切なものさえも壊された。
当然、行く気にはならないわけだ。
(よく、“返事が欲しい”なんて言うよね……)
その心の声は、苛立ちとも諦観ともつかないものだった。
「あんた、そろそろ学校行ったらどうなの」
「知ってると思うけど、学費も高いのよ」
「こんなにぐだぐだしてたら、大学にも行けないね」
……母から発せられるいつもの言葉。
これももう慣れてしまって、適当に受け流すようになってしまった。
どうすればいいの?
その単純な問いが、脳を駆け巡っていく。
珠花にあらたな光と混乱が降り注ぐのは、この日から一週間も経たない頃のことだった。