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今回に限り、前回のお話の続きです。
ひとつ前のお話を読んでからの方がよりわかりやすいと思いますが、このお話からでも特に問題なく読めると思います。
「」葛葉
『』叶
葛葉side
「うーん、、、」
大きくのびをして目を開ける。ここは俺の家、、じゃなかった。はっとして横を見ると行儀よくマスクをつけた叶がすやすや眠っている。
つい横を向き叶の寝顔を見てしまう。まぶたにかかる茶色の前髪がくすぐったいのか時折顔をしかめている。
思わず笑いそうになりながらまぶたにかかった髪をどけてやる。
『・・ん、おはよ、、』
まだ寝ぼけまなこの叶がほんの少しだけ目を開けて言う。
「おはよ、叶」
そう言う俺の声を聞くとまたまぶたを閉じて寝てしまう叶。
そんな叶を見ていると、前々から思っていたことが再び頭をよぎる。
・・叶と一緒に住めたらいいのに。
何度そう思ったかわからないが、決して口には出せない願望。
まずお互い配信業があるから別々の配信部屋が必要だ。それに加えてリビング、寝室、キッチン、、何個部屋があればいいんだ。
・・あと叶は俺だけじゃなくて、他のライバーにも好かれてるし、家に遊びに来ることだってある。現に俺も一緒に遊んだり、俺がいない時に他の奴が遊びに来ているらしい。
仮に俺と一緒に住んだ場合、叶のそういう人付き合いも多少は減らしてしまうことになるだろう、それは嫌だ。
・・でも一緒に住めばこうやって毎朝一緒に起きれるんだよな。
・・いくらするんだろう、そういう部屋って。ちょっと見るだけ見てみよう、叶もまだ寝てるし。
俺は叶の方を向いて片手で自分の頭を支えながら携帯で調べはじめる。
・・うわーめっちゃいいじゃん、こーゆーの、、たっか!!やっぱそんぐらいするよなぁー。あーこーゆーの叶好きそー、、やば、こっちのが高いじゃん。うわー、、、
なんだかんだ物件を見ているのは楽しく、俺はしばらくスマホを凝視していた。
そうしているうちに喉が渇き、飲み物を飲みにいこうとベッドを出る。叶はまだ寝息を立てて寝ている。
パタパタ・・・
叶side
・・葛葉が出ていった。1回起きてから葛葉がずっとこっち向いたままでいたからなんか恥ずかしくて目開けられなかった、、めちゃくちゃ寝たフリしちゃった。
葛葉なにしてたんだろう、ずいぶん熱心にスマホ見てたけど。あれ、スマホ置きっばなし、、
『え?』
「え?」
僕と葛葉の声がハモる。
「おまっ、、起きたの?」
『ああ、うん、今起きた』
僕は内心ドキドキして返す。
僕が葛葉のスマホチラ見したのバレた??僕が驚くのも無理ないよ、だって、、
葛葉side
っぶねーーーー。。
見てないよな?ギリ見てないよな?叶今起きたって言ってたし、大丈夫な、はず。
俺はドキドキしてスマホを隠す。
『葛葉、あの、』
突然叶に声をかけられる。
「な、なに?」
俺はまだ心臓がバクバクしていた。
『あの、僕の勘違いだったら悪いんだけど、その、あの、、』
「な、なんだよ」
『葛葉、一緒に住む?、、とか、、言ってみたり、、、』
そう言いながら布団の中に吸い込まれていく叶。あっという間に布団をすっぽり被っちまいやがった。
「・・お前、俺のスマホ見ただろ」
『ごめん、見えちゃって。僕の勘違いだった?それならごめん・・・』
「・・まぁあながち間違いじゃねーけど」
『えっほんと?』
突然布団から出てくる叶。
「いやでも、一緒に住んだら、その、お前が他のやつと遊んだりするのに不便かなって思って、、無理すんなよ」
『無理なんかしてない!!』
突然大きな声を出す叶。
『僕はっ、、僕はずっと葛葉と一緒に住みたかったよ、でも葛葉絶対嫌がると思ってずっと言えなかった、、だから葛葉のスマホ見た時僕嬉しくって、、』
「・・・お前まじ?」
『うん』
「やば」
そう言いながら俺は嬉しくなってつい笑ってしまう。
『嬉しい、、嬉しすぎる。』
叶もそう言いマスク越しだが笑っている。
『葛葉、そしたら近いうちに部屋探そう?僕はやく一緒に住みたくなってきた!』
「・・き、今日は?」
『え?』
「今日探さねーかって言ってんの」
『え、だって葛葉今日しごt』
「今日オフ、言ってなかったけど」
俺がそう言うと分かりやすく目がキラキラする叶。
『うん!今日探そう!!』
朝食か昼食かわからない食事を済ませ、2人でパソコンを見る。
『うわ〜こういうのめっちゃいい、、』
「それさっき叶好きそーって思ったやつ」
『バレてる、、あ!ここは?』
「どれ、、あーいいかも、でも高くね?!」
『うわ、たっけ、、』
叶とこういう会話ができていることが嬉しくて思わず頬が緩んでしまう。
『葛葉、ここはー?』
そう言いながら叶が振り向く。
俺はパソコンに目を戻し、指さされたページを見る。
「・・おーけっこういいじゃん、いいんじゃね?」
『あ、でもちょい高いか』
「まぁでもさっきほどじゃないし、いいじゃん。どうせずっと住むんだから。」
叶side
「・・どうせずっと住むんだから。」
葛葉からしたら何気ない一言なんだろうけど、僕からしたら、葛葉がずっと住もうと思ってくれていることが嬉しかった。
『・・そうだね。僕もいいと思う、よし、じゃあここ、行ってみる?』
「おー、この不動産に行きゃいいってわけだな、先電話してから行こうぜ」
『そうだね、僕電話してくる』
「・・ありがと」
こういう類の電話はたぶん僕の方が得意だ。不動産屋に電話をかけ、これから内見できるとのことだった。
『葛葉、今日内見できるって』
「内見ってなに?」
『あー、実際にこの部屋入って見れるってこと』
「まじ?行く行く」
『じゃあ準備しよ』
「おけー」
そう言いながら立つ葛葉の横顔は笑っている。本当にこれから葛葉と住むんだ、と実感がわいてくる。
(準備中)
「・・家具も買いに行かねーとな」
『あ、そうだね、ベッドとか流石に大きいの買おう』
「なんでお前は最初に出てくるのがベッドなんだよ、他にもあんだろ、変態が」
『だって僕の家のテーブル大きいからそのまま使えるもん、ベッドからすぐそういうこと連想する葛葉の方が変態だよ』
そう言うと葛葉は自分にしていたドライヤーを僕の顔に向ける。
『ゔわっ、、、やめてよ葛葉っ』
「わりぃわりぃ」
そう言いながら八重歯をのぞかせて笑う葛葉。
一緒に住んだらこういうのも毎日できるのかな、、そう思うと早く一緒に住みたくてしょうがなくなった。
『葛葉、行くよー』
「あーい」
お互い靴を履いて玄関を出る。外は昼下がりののんびりした時間だが、いつもより少しはやく歩いてしまう僕たちだった。
おしまい