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朝、登校して教室に入ると、四人の奴隷たちが犬のように駆け寄ってくる。
一人に大きなうちわで扇がせて、一人に巻き髪の手入れを、一人にメイクを、そして美紅には熱い紅茶とお茶菓子を用意させるのが毎日の日課になった。余は腕を組み、足を机の上に投げ出して、椅子の上でふんぞり返っている。ティーカップを余の口に運ぶのも美紅の役目だ。
本当はタバコも吸いたいが、教師に通報されたら用意した者も含めてみんな家庭謹慎処分になるそうだ。めんどくさそうだからそれはやめた。
ある日、いつものように教室で奴隷たちに奉仕させていると、いかにも真面目そうなクラスメートの女子が話しかけてきた。
「毎日毎日、どういうことなの?」
「どういうこととは?」
「森さんは嫌がらせしてくる相川さんたちをずっと無視しようとしてたはずなのに、完全に立場が逆転したように見える。いったい何があったの?」
相川は美紅の名字。つまり美紅たちは余が転生する前から森音露に嫌がらせしていたということか。これは追加のお仕置きが必要だろう。
「おまえは何者だ?」
「クラス委員長ですけど」
委員長というのがよく分からないが、長の字があることから察するに市長レベルの重要人物なのだろうか?
「結局、余に何が言いたいのだ?」
「相川さんたちの弱みを握ったか何かで、嫌がらせをされた仕返しをしてるんだろうけど、学校の風紀を乱すからやめなさいと言ってるの」
「ほう。余に意見するとはたいした度胸だが、おまえは余に嫌がらせをしていた美紅たちには嫌がらせをやめろと言ったのか? 言ってないなら、相手を見て態度を変えるだけの臆病者ということになるが」
「覚えてないの? 相川さんたちにも嫌がらせをやめるように何度も言わせてもらったよ」
美紅に確認すると確かにその通りだという。委員長の名は海瀬由香里。警察官の兄がいて、正義感が強いのはその影響だとも教えてくれた。
「そうか。臆病者と言ったのは間違いだったようだ」
「分かってくれればそれでいいの――ごふっ」
立ち上がって腹に蹴りを入れたら、委員長の体は数メートル吹っ飛んで教卓に直撃した。
「臆病者は嫌いだが、弱いくせにつけ上がる身のほど知らずはもっと嫌いだ」
教室は静まり返り、奴隷たちに奉仕を継続させた。委員長はしばらくしてフラフラと立ち上がったが、それからは何も言ってこなかった。