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コメント
5件
めっちゃおもしろかったです!ほんとに最高でした!
続きありがとうございます!今回もめちゃくちゃ面白かったです!
〜黄視点〜
赤「き、きぃにっ、」
俺の名前を呼ぶ声。小さくて、不安そうで――
でも、それにどう返せばいいのかわからなかった。
黄「……なに」
声が冷たくなったのはわざとじゃない。けど、赤はびくっと肩を揺らして、僕の服のすそをそっと掴んだ。
黄「……なんで、泣いてるんですか」
赤は答えない。ただ、うつむいたまま、服の端をぎゅっと握ってる。
黄「別に怒ってないし。……ってか、僕になに求めてんの?」
問いかけても、赤は黙ったまま。
その沈黙がなんか、やけに重たく感じた。
(泣くなら、桃にぃのとこ行けばいいのに)
そう思った。……でも、赤は僕の名前を呼んだでこっち に来た。
黄「……」
(僕のこと、頼れるとか思ってんのか? いや、違うか。ただ甘えてるだけか)
(お兄ちゃん達はみんな赤に騙されて甘やかして、赤は僕からお兄ちゃんを取ったんだ。)
思考がぐるぐる回る。けど、その小さな手をふりほどくことはできなかった。
赤「……ごめんなさい」
ぽつりと落ちた言葉に、僕は思わず目を向けた。
黄「……何が?」
赤は、また答えない。まるで、なにを謝ってるかも分かってないみたいに。
黄「……はぁ。よくわかんないですけど……僕に言っても意味ないし」
赤は、ただ、僕の服のすそを握ったまま俯いてる。
しゃくりあげるような小さな息が聞こえて、僕はなんとなく目をそらした。
黄「……泣くなら、あっち行けば」
そう言って立ち上がろうとしたとき、赤が小さく、僕の袖を引っ張った。
赤「い、いかないで……」
(……)
黄「……意味わかんない」
けど、なんとなく、そのまま、立ち上がるのをやめた。
ほんの少しだけ、心の奥がざらっとする。
赤のこと、嫌いなはずなのに。
(なんで僕なんだよ……)
誰にも言えないまま、赤を自分の膝の上に座らせた。