第2話
しばらく歩いて、デパートの外に出てしまった。
「………あの、ほんとにどこに行くんですか?」
「もう少しだよ。」
男性はまだ歩き続けた。
(もう嫌だ。本当に怖い。誰か、助けて。)
足が震えて、歩きにくい。周りを見たら、デパートの外にでたからか、人が数人いる。
(「助けて」って叫ぼうかな………)
でも、怖くて声が出なかった。
ブルブルッ
さっきから携帯がなっている。おそらく、絵梨花だろう。
「あの、携帯なってるんで、出てもいいですか?」
「………逆に、いいと思う?」
何も言い返せなかった。それに、出たら絵梨花に何されるか分からない。下手に動くことは出来なかった。
「よし着いたよ。」
前を見ると、1人の男性が車の前に立っている。その男性も、ガタイがよく、マスクをしているが、それでも整った顔をしていることが分かる。ん、それにしても、どこかで見たことがあるような………
「ごめん、待った?」
「遅すぎだ。まあ、良いが。………で?その子は?」
男性が私を見ている。
「この子、可愛いでしょ?」
「………そうだな。で、どうしたんだ?」
「うん。連れて帰ろうと思って。」
「は?」
は?と私も同じ事を思った。
(連れて帰るって、どこに?まさか、家に?)
マスクをした男性は私と彼を交互に見て、
「知り合いか?」
と言った。
「ううん。知らない。でも、可愛いかったから。………一目惚れしちゃった。」
「………」
驚きのあまりマスクをしている男性も声が出なかった。
「私、嫌です。嫌ですから。」
兎に角ここを離れよう。そう思って、手を振りほどき走り去ろうとした。 その時、
「うっ、」
「はいはい、暴れないでね。」
先程まで私を掴んでいた男性は私の口にハンカチを押さえつけた。そして私は、眠ってしまった。
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更新されるか分からないけどいつまでも待ちます!