テラーノベル
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「ん、ッはぁ……っ」
角度を変えて啄まれる度に、ぽやりと思考が溶けていく。ただ粘膜を合わせているだけなのに、どうしてこんなにも幸福なんだろう。
ベッドの上で向き合って、ただ口吻に揺蕩う。
気づけば彼の膝の上に乗せられていて、促されるまま彼の首に腕を回す。
「ふ、…はふ、………んんッ……」
随分久しいせいか、上手く息継ぎが出来ない。
鼻に抜けるような吐息を漏らすと、彼は愉しげに喉奥で笑った。
「キス、下手になったな」
「ッ……ひさしぶり、だから…」
「ははっ、可愛いやつめ」
一途だな、とからかうように顔を覗き込まれて、気恥ずかしさに目を反らした。
「なち、……っ♡」
「こら。違うだろう」
彼の名を呼べば、彼は子を叱るように甘く囁いた。
あの頃と同じ。
でも、昔は独逸じゃなくて『ナチス』が正解で、今はナチスじゃなくて『ドイツ』が正解らしい。
「今のお前にナチスなんて呼ばせたら、流石に怒られてしまうからな」
そう言って彼は寂しげに笑った。
確かに、昔の私たちは、お世辞にも善だとは言えないだろう。勝てば官軍負ければ賊軍、敗戦国の我々はむしろ『悪』でしかない。
『過去の直視』を唱えて、オーデル・ナイセ線すら認めて、プロイセン領さえ手放す覚悟を決めた今の彼に、旧名は相応しくないのも事実。
でも。
「今夜だけは……お願いです」
「日本……」
「どうか、あの頃のままで」
あの頃のまま、日帝と呼んではくれないか。
「そうだな。今夜だけは、あの頃のままでいよう」
ナチス。日帝。
かつての名で呼び合って、小さく笑う。
「んッ♡ふ、ぁ……♡〜〜〜〜ッ……♡♡」
舌がそっと入ってきて、歯茎をなぞる。
口の中を探られるような感覚に、遠い過去の記憶が蘇ってきて、躰に熱がこもった。
口を蹂躙されている間に、彼の手はいつもどこかを弄ってくる。首を擽り、背をたどり、腰を撫ぜる。
「ッは♡はや、く……っ♡♡」
焦らすような動きに耐えられなくなって、とうとう媚びるようにシャツを掴む。
背から滑り降りてきた手は、いつの間にか腹を滑っていた。
さわりさわり、と熱を刷り込まれて、更なる刺激を求めた腰は勝手に揺れ始める。
「ははは、今日はやけに素直じゃないか」
「貴方が、ッじらすから……」
「そうか。ならば、お望み通り犯してやる」
低い声が脳髄まで響いて、耳が孕みそうだ。
ぞくりと背筋を震わせていると、あっという間に下着を脱がされた。
そうして潜り込んできた指先が敏感な所を掠めて、びくりと肩を揺らす。
「期待してるな?」
「だ、だって……ひゃッ♡♡」
「嗚呼、解っている。こういうのも、随分久しいのだろう?」
緩く首をもたげた陰茎に触れられる。
久しいのだろう、と問われてコクコクと頷いた。久しい、というよりむしろ、彼との最後からは一度もなかった。
今まで性欲すら感じなかったのに、彼がただ触れるだけで勃ってしまうのだから驚きだ。
「はッ……♡ぁ♡あぁ……ッ♡♡はぁッ♡」
裏筋をぢぢ、となぞられて、亀頭を指先で何度も弾かれる。ぴりりとした電流のような快感に、腿はぶるぶると震えて背筋が伸びた。
静かな部屋に自分だけの声が響く。
恥ずかしくて耐えようとするけれど、我慢できず漏れる息遣い以上言葉未満の声。
「ぅ、あッ♡♡はっ……は、ぁッ♡あぁ……っ♡♡」
大きな手全体で包まれ上下に擦られると、ぞわぞわと背筋が粟立ち震えた。
血流が急激に上がって、ごおと耳鳴りが聞こえる。情けなく腰を揺らすが、果ては訪れない。
「ほう、どうした?快楽に弱いお前なら、そろそろ達してもおかしくないはずだが」
「わかってる、くせに……っ♡♡んぁ”ッ♡♡」
酷く愉しげに尋ねてくる彼は、きっと確信犯だ。
私が前だけでは達せないことを知っておきながら、弄ぶようにそう言う。私の射精機能を狂わせたのは、他でもない彼なのに。
「何を望む?言ってみろ。ほら」
「〜〜〜ッ♡♡ゃッ♡」
「言わなきゃ分からないぞ。そしたらお前は、ずっと辛いだけだ」
ぐちゅ、ぐぷ、と彼が手を動かす度に、水音が響き渡る。どうやら私の躰は、節操なく我慢汁を流しているらしい。
ぐり、と鈴口に爪を立てられて、腰が浮く。でもいけない。辛い。いきたい。
「うしろっ……ッ♡♡さわって、くださぃ”ッ♡♡」
「Gut gemacht」
良く出来ました、と、例の言葉に腹が疼く。
とんとん、と腰を優しく叩かれた。腰を上げろという意味か。
「ん、はぁ……っ♡」
指示に従えば彼は満足げに微笑み、後孔の縁をするりと撫でて、声もなく次の動作を知らせてくる。
いつの間に用意したのか、気づけば彼は、手にローションを纏わせていた。
「いつのまに……」
「ん?ああこれか。準備していただけだ。お前が起きたら、問い詰めて抱き潰そうと思っていたから」
「!?!?」
「だってそうだろう?まさかここまで私に気づかないとは。どれほど待ったと思ってるんだ。なかなか寂しかったんだぞ?」
「す、すいません……」
「別に構わん。ツケは身体で払ってもらうからな」
「ひぇ…」
どうやら私は、文字通り抱き潰されるらしい。
明日も一応仕事があるのだが、果たして私の腰は持つのだろうか。余計なことを考える。
「ん”ッ……!!♡♡ぅ”、ッぁ♡ふっ……♡♡」
指がゆっくりとナカに入ってくる。
長い間使われていなかったそこは、突然の異物に、きゅうと驚いて縮こまった。
随分と健気な反応だな、と耳元で囁かれる。恥ずかしくて俯いた。
「つまらん。顔見せろ」
「ッぁ”ぐっ…♡♡はずかし、ッぁ”♡♡」
「そんなの今更だろう。それに、これからもっと恥ずかしいことをするんだぞ?」
「う、うぅ……」
至極真っ当な論理で諭されて、恐る恐る顔を上げる。視線が絡む。
熱を孕んだ紅い瞳が、すぐ近くに迫っていた。
超至近距離で向き合っているため、私の情けない顔はあちらから丸見えだろう。
「は、はっ♡はあ”ッ♡♡ん”ッ……♡♡」
一本二本、そして三本と、具合を確認しながら指が増えていく。
生き物のようにばらばらと蠢く指は、数十年来だと言うにも関わらず、私の弱みを良く理解しているらしい。
敏感な部分を掠める度に、括約筋に力が入った。
「久しい割には、ちゃんと覚えているようだな」
「くぅ……ッ♡♡はっ♡は…ッ♡♡」
「ほら、ここが好きなんだろう」
「──ッあ”ッ!!♡あぁあッ♡♡そこ、ゃ♡あ”ッッ♡♡」
ぐり、とわずかに押し込まれただけで、腹がひくひくと痙攣を始める。
目の前が霞んできて、全身が絶頂に身構えた。
おとがいを反らして歯を食いしばる。ひっくり返りそうになるのを、彼の肩にしがみついて耐えた。
「きもち、ッ……♡♡ぃぐッ♡♡」
「可愛いな。でも、まだ『待て』だ」
「……っえ?」
ナカから指が出ていく。僅かに広がったのか、ひやりとした空気が微かに入り込む感覚がする。
イけなかった。なぜ。目を白黒させている間に、硬い熱を押し当てられる。
「今のお前には、こっちの方が良いんじゃないか?」
「ぁ……はッ…♡は……ッ♡」
ズボンの前を寛げた彼が、煽るように嗤う。
腿に押しつけられたそれは、相変わらず凶悪な質量を有していた。
ま、待て待て。こちとら数年来清いままだった身だぞ。リハビリ中なんだぞ。
「ちょ、ちょっと……時期尚早では…?」
「怖いか」
「まあ……少し…」
そんなにデカいの、そうやすやすとブチ込まれて堪るか。もうちょっと待ってくれ。裂けてしまう。
戦慄きながら頷くと、何がお気に召したのか、彼はくすくすと愉しげに笑う。
「だけどお前、目、釘付けになってるぞ」
「はっ!?……なってない、です!!」
「ふ、ふふっ、本当に嘘が下手だな」
慌てて目を逸らした。釘付けになんてなってない。物欲しげに見つめてなんていない。本当だ。
ちゃんと否定したというのに、彼は更に笑ってくる。嘘じゃないってば。
むっとした私に気づいた彼は、笑いながらすまない、と口先だけの謝罪を返してくる。
「だが、私もそろそろ限界なんだ」
「……っ…」
「ゆっくりでいい。良い子だから、おいで」
そう言って蕩けるような笑みを浮かべた彼は、そっと私の腰を引き寄せる。
彼の言いたいことは自ずと解った。要するに、自分で挿れろと云うことだ。
敢えて急かさず私に任せてくるのは、優しいのか、それとも酷なのか。
「酷い、御方だ……っ」
「そんな酷い奴に惚れたのは、何処の誰だろうな?」
「…………。」
「はは、そんなに睨むな。興奮するだろう?」
非難の目を向けても、彼は飄々とした笑みを崩さない。それどころか、まるで惚れた弱みだとばかりに勝ち誇ってみせる。
嗚呼そうだとも。私の負けだ。一生勝てっこない。
せめてもの反抗に睨みつけてみるが、彼を更に昂らせただけだったらしい。解せぬ。
「〜〜〜〜〜ッはッ♡♡♡」
甘えるような視線に逆らえず、そっと彼の魔羅を握ると、自ら後孔に押し当てた。
その大きさに、またも男としての敗北を知る。……ちょっと負け過ぎじゃないのか?私。
「ぐ、ぅ”ッ♡♡〜〜ッ♡」
ずぶり。
自重で腰がゆっくりと落ちていく。
「ぁ、あ、ぁ……ッ!!♡♡は、ッ♡♡ふぅ”…ッ♡♡」
ぐりっ♡と前立腺が押しつぶされた後、くぷん、と全てを飲み込んだ。
彼の膝の上で、浅い呼吸を繰り返す。
挿れただけだというのに腰はグズグズに溶けていて、もはや彼の支えなしでは座り込んですらいられない。
「ッ〜〜〜〜ッッ♡♡♡は、ッ♡♡はあ”ッ!!…♡」
「んッ……今イったな?」
「わ、わかんにゃっ……ぁ、う”っ…♡♡」
知らぬ間に甘く果てたらしい。が、何も吐けない。情けないもので、もはや私は男としての機能を大分失ってしまったようだ。
どれもこれも、彼が丁重にぶっ壊してくれたお陰である。悔しいのに、どこか嬉しい自分がいる。
「腹、膨らんでるな」
「はッ……♡ほんと、ですね……おっき…」
はふはふと呼吸を繰り返す。大きすぎて辛い。むしろ今日は良く飲み込めたと思う。
ぽこりと不自然に膨らんだ腹に手を添える。どく、と彼の脈動を感じる。
何の故か、彼は小さく唸って笑った。そして腹の中の質量を、一層膨らませる。
「ッあまり、煽るな。手加減できなくなる」
幼子を諭すように言われて、宥めるような接吻が降ってくる。
しかし、手加減……か。むむ、不服だ。
そんなの要らない。此方も数十年おあずけだったのだから。
「……いらないです」
「日帝?」
だから、言ってやった。
出来るだけ妖艶に、ありったけの愛を込めて。
彼の首に腕を巻きつけて、額をくっつける。そして、ゆるゆると唇の端を持ち上げた。
「手加減なんて、要らない、から」
だから、はやく、来て。
「そうか───では遠慮なく」
気づけばくるっ、と視界が反転していて、四つん這いの格好で彼に抱きすくめられていた。
野性味を帯びた声に、頭の中で警報が鳴る。
所有権を主張するかのように肩に噛みつかれ、動かないように腰を抱えられた。
「あ、ちょ、待っ」
「断る」
あれ。
もしかして、やり過ぎた───?
「────ッ……?♡♡♡」
ぐぽっ♡と嫌な音が聞こえたのは、その数秒後。
「……ッ??♡…っっ!?!?♡ぃ゛ッッ~~~~~!!!♡♡」
結腸、抜けた。
理解よりも早く、報酬系が麻薬じみた快感に反応して弾ける。きゅぅぅっと肉壁が収縮し、媚びるように彼のものに舐り吸い付き離さない。
ちかちかと瞬く視界は意味をなしていないし、失神しているのか覚醒しているのか、それすらも分からない。
「お”ッ……??♡♡ふぐっッ!!♡♡♡ッじぬ”ッ…!!♡♡しんじゃ、ぅ”ッ♡♡♡ゆるひ、〜〜〜ッッッ!?!?♡♡」
「ッはーっ……♡今のはお前が悪い」
腕の力はとうに抜け、枕に突っ伏して悲鳴を上げる。
腰だけ掴まれて支えられているから、傍から見ればまるで動物の交尾だろう。
ぎゅうぎゅうと締め付けているはずなのに、当の本人である彼はまだ余裕がありそうだ。ひどい。
「あ♡あ”♡ぃいぐっ♡♡い゛ッッッ……ぉ”ッ!?♡♡」
がつんっ!!がつん!と抉られ穿たれて、その度に視界に星が散る。
最奥に鬼頭が出入りする度に、ぐぽぐぽと人体から聞こえてはならない音がした。
律動は自分本位なのに、合間合間に優しく接吻を落とされるのだから、落差で訳がわからなくなる。
「かひゅッ♡♡い”ったッ♡ぃ”ぎましたッ!!♡♡ん”ッ♡いってる、からぁ”〜〜〜〜ッッ♡♡♡」
「そうだな、可愛い」
申し訳程度の精液を吐き出した後、私は潮ばかりを噴き出して、シーツに潮溜まりを作っている。
止まらない重たい斬撃に、脳の電気回路が焼ききれそうだ。
「日帝、っ、好きだ。愛してる」
「ぅ、あ”ッ♡♡ッ…!!♡♡〜〜〜ッッ♡♡♡」
何度も何度も全身に噛み付かれたり吸い付かれたりしながら、飽きるほど愛を囁かれる。
あんなに重くて苦しかった『愛してる』が、今はこんなにも嬉しくて。とぷとぷと心が満たされた。
「あはっ……愛しすぎて狂いそうだ」
「ぇ”ッ♡あ?ぁ……?ッ♡♡あ”ッ!!♡♡ぉ”っ、おくッ♡おくだめッ♡」
「浮気は駄目だぞ?もしされたら……そうだな、またファシ化してアンシュルスするかもしれない」
ごんごんと突かれて責められて、視覚と聴覚は快感で馬鹿になった。何もかも良く分からない。
勝手に跳ねる腰を掴まれて抑えつけられるものだから、快楽を上手く逃がせない。
「次死ぬ時は一緒に死のうな、なぁ日帝」
「??はぃ”っ♡♡??ぃ”ッいぐッ♡♡も、らめッ…♡い”ぐ、ッ〜〜〜ッ♡♡♡」
好きな声が脳に直接注ぎ込まれているようで、頭の中がぼんやりする。もしかすると今私は、彼の声だけで達しているのではなかろうか。
終も近い。彼が強く抱きしめてくる。鼓動が重なって、漸く一つになる。
「日帝……っ日帝、愛してるっ…」
「わたし、もっ……!!♡♡ぁ”ッ♡あ〜〜ーーッッ!!♡♡」
「ッ出す、ぞ……っ」
きゅんきゅんと後孔が絶えず締まる。そのせいか、彼が短く息を吐いた。
果てを悟って、回らぬ舌で頼みこむ。顔を見たい。瞳を見たい。
愛する貴方の存在を、ちゃんと確かめたい。
「まっ……ッ♡♡♡かお、みたい、からっ……♡♡」
息を呑んだ彼が、早急に私をひっくり返す。
視界が回転した瞬間、唇をふさがれていた。
あの頃のように彼に足を絡めて、もう離れないように抱きついて。
「ん”ッッ♡んんっ♡なちッ♡♡〜〜〜〜ッ!!!♡♡♡」
「っ、日帝……!」
果てる、と声を詰めた時。
幸せで、幸せすぎて少し、泣きたくなった。
コメント
7件
なんてえっちなんだ!!!! 煽っちゃう日帝かぁいい。 手加減なしのナチはえっろい! もう素晴らしいです。ありがとうございます😭
再開できて良かったね!!!(泣)尊いぃぃぃい!!!
あうあうあう(声にならん声)いや、最高すぎる。え?続きはありますよね?え?最&高。神降臨。泣いちゃうじゃん(泣)