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体育館に拍手と歓声が響いていた。
白衣を着た5人の男たちが、まるでライブのような勢いでマイクを握っている。
❤️「やまと!」
💚「ゆうた!」
💙「ゆうま!」
💜「ひゅうが!」
🧡「あむぎり!」
5人「コムドットです!!!」
💚「今日は〜!?」
生徒たち「保健特別授業〜〜!!!」
❤️「全然声出てないぞぉ!今日は〜!?」
生徒たち「保健特別授業ーーーー!!!」
💙「はい優勝!みんなテンション高くて素敵です!」
ステージ上の5人は、生徒たちと楽しげなやり取りを続けながら、じわじわと本題に入っていく。
💜「まあね、こう見えて僕ら、全員“国家資格”持ってますからね!」
🧡「実は、ちゃんとした歯科医です!」
会場、どよめき。
💚「YouTuber兼、歯医者。すごない?」
❤️「今日はそんな俺らから、歯の大切さについて、ちゃんと学んでもらいます!」
💚「じゃあさっそく、インタビューいこっか!」
💜「うぉ、急に!w」
🧡「誰にする〜?」
❤️「じゃあ……記念すべき1人目は……3組!後ろの列の……髪、長い子……○○!」
○○「……っ!!え、うち!?」
──名前を呼ばれた瞬間、○○の心臓が跳ねた。
教室内がざわめく。
「なんで名前知ってんの?」
「え、あの子って……?」
「うそ、ほんとに?」
○○「……(まずいって……)」
💜「その場でいいからね〜」
○○は、おそるおそる立ち上がる。
❤️「じゃあ、○○。虫歯になったことある?」
○○「……えーと……ないです。」
短く、静かに答える。
次の瞬間、やまとの口角が、すうっと上がった。
❤️「へぇ〜〜〜〜、そうなんだ?」
その言い方が、何かを知っているような気がしてならなかった。
やまとは笑ったまま、軽くマイクを下げると、次の瞬間──
❤️「……でも、事務所のゴミ箱にさ、痛み止めのパッケージ……めっっっっちゃ入ってたけどね?w」
○○「……ッ!」
生徒たち「えっ?」
「え、どういうこと?」
「痛み止め……?」
○○は慌てて座ろうとする。
💜「え〜ちょっと!インタビューまだ終わってないよ〜w」
💚「あっはは、逃げんなってw」
○○「……はい。」
💚「じゃあ改めて。○○ちゃんは虫歯ないってことでOK?」
○○「……はい……」
❤️「……ふーん。そうなんだ〜。」
一拍、沈黙。
❤️「でもさ、最後に痛み止め飲んだの、たしか……7時間前じゃなかったっけ?」
○○「……え?」
○○(やばい、もうバレてる)
❤️「ロキソプロフェンだよね?君が最近愛用してるやつ」
○○は何も言わず、目線をそらした。
❤️「今、切れてるでしょ?そろそろ痛くなってきてるんじゃない?」
○○「……」
❤️「水もあるよ。ほら、飲んどく? 今日まだ授業あるし、そのあと部活でしょ?」
──なぜか、身体が勝手に動いていた。
まるで操られたように、○○の足はステージに向かって進んでいく。
ざわ……ざわ……
ステージの前まで行き、やまとの手から薬と水を受け取る。
一言も話さないまま、口をつける。
ごくっ、ごくっ。
体育館に、静寂が戻る。
💚「おおお〜〜!みんなの前で堂々とw」
💙「そりゃ痛いよね〜w 7時間も経ってるもんね!」
💜「ここまできたら逆にスゴいよw」
○○「……う、うん……」
○○(怒ってない……?)
❤️「飲み終わったら、自分の席戻りな。」
○○「……はい」
足早に、自分の席へ戻る○○。
全身の毛穴が、冷たく開いたままだった。
──コムドットは1人も「大丈夫?」とは言ってこなかった。
その一言が、どこまでも重たかった。
そして──
❤️「こうゆうことです。」
その一言だけを残して、やまとは笑顔のまま、次のインタビューに進んでいった。