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俺の習慣、ボロ喫茶の隣の階段で座り込む。
それだけ。
不憫だと思うだろ。
あぁ、俺も思うよ。
どうぞ憐れんでくれ、何をされたってこの凝り固まった決意は揺るぎはしない。
俺は今日、死んでやる。
「ね、なにしてんの」
目の前にしゃがんだのは明らかに怪しげな、顔が無駄にいい男。
「べつに」
そんなやつと親しむ気分にもなれない。
素っ気なく返してさっさと退かせようと思ったんだが、なんなんだこいつは。
俺はべつにと言ったはずだ、それで普通はどこかに行くだろ。
なんでこいつは目の前で10分も20分もしゃがみ込んでいるんだ。
「用があるなら話せよ」
あまりの怒りで口が滑った。
「別に用はないよ、ひまだから自殺願望がありそうな君を見ているだけさ」
その言葉に息を呑む。
「そんなこと一言も言ってない」
「君の時計がそう言った」
そう言いながらこいつは胸元から汚い銀の時計をチラつかせた。
確かに俺は腕に時計をつけている。
だからなんだ、時計で相手の思考が読めるとでも?
「適当なこと言ってんじゃねぇよ」
「適当じゃないさ、君がそんなに思い詰めている原因も知っているよ」
「なぜって?僕が探偵だからさ」