家に帰り、森に行く。もう…このまま、森の中で、消えようかな…。
「ーっ!」
どうして?森に着いた途端、涙が…
「それはね、誰かに助けてもらいたいからだよ。」
「幽季…」
誰かに…
「助けてくれる人なんて…いないよ…。」
「周りを見てご覧。きっと、君の味方はいるよ。」
「そんな人いるわけない!」
「いいや、いるよ。ここにも…ね。」
「助けて…くれるの…?」
「ごめん。助けられない。」
「だったら…だったら!」
私は、逃げた。幽季からも。誰も、助けてくれないのなら、私は、消えちゃうほうが良い。ごめんね。幽季。
それから、どのくらい経っただろう。光は、わずかに届く月光だけ。ほとんど、闇。どこから来たのか、分からないよ…。このままが…良いな…
「花織ー!」
幽季の声…どうして…見つけられるはずないのに…… 。
「花織…見つけた…やっと…。」
「来ないで!私は…このまま、消えたいの!」
「消えたいなんて…言わないでよ…花織。」
「何?誰にも助けてくれないと分かっていながら、それでも我慢するの?無理だよ。そんなことするなら、ここで消えたほうがマシ。それでも幽季は私に消えないでって言うの?」
「それでも私は…消えないでって言うよ。」
「どう…して」
「消えちゃったら、ずっと、この森の中だもん。」
「…知ってるの?」
「あれ?知らないの?ここの森の中、幽霊が出てくるって有名なんだよ?」
「そうなんだ…人が来ないなら良いかな。」
もう…信用できない。人なんて…!
「もう一度、行って。学校に。」
「助けてくれる人がいなかったら?」
「いるよ。」
「なんで言い切れるの!?」
「…言えない…ごめん。」
「…」
「でも…!」
「分かったよ…でも、あと一回だから。」
「良かっ…たぁ。」
どうして…だろう。少しだけ、期待してしまった。裏切られることが、分かりきってるのに。
「それはそうと、ここから出れるの?」
「もちろん!」
「どうやって?」
「皆〜。いる〜?」
「え?誰?」
「幽霊だよ?」
「あ…本当にいるんだね。」
「君には見えないけどね。」
「ふーん。」
「それじゃあ、行こっか。こっちだよ。」
ついて行く。本当に、幽霊の姿は見えない。そのまま歩き続けると、森から出ることができた。
「それじゃ、またね。」
「うん…また。」
私は家に帰った。月が明るい夜だった。