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「あ”ーー……」
ベッドの縁に腰を下ろし、天を仰ぐ。
ツアーファイナルを無事に迎え、現在は会場付近のホテルに。
ライブ後の対応などにも一区切りついた所で、意味は無く若井の部屋に遊びに来た。
1つのライブを終えることにより、肩の荷が降りる様な感覚はやっぱり毎回あって。
好きでやっている事ではあるけど全て終えた後の解放感はどうにも心地が良い。
「お疲れ、今日も調子良かったね」
隣に腰を下ろした若井にペットボトルを手渡される。
「ん、ありがと。」
受け取ったペットボトルの水を流し込んで、深く息を吐く。
もう殆ど日は落ちきっているけど、何処か夢見心地な気分のままで。
沸き立つような歓声やステージ上からの景色が頭から離れず、思い出すだけで身体に熱が帯びる。
何となく隣に視線をやると、視線に気づいた若井が小さく口元を緩めた。
はにかんだ表情に、何故か胸が締め付けられる様な感覚に陥った。
僅かに感情が揺らいだ気がして。
不明瞭なこの気持ちが何なのかは特に気にも留めず、若井の肩に手を置いた。
「疲れた、もうほんと疲れた。」
「疲れたなら自分の部屋で休みなよ。笑」
「1人になりたい気分じゃないんで」
「我儘だな〜」
ほんとに疲れてるし、横になったら寝れる自信しかない。
それなのに何故かそうしたいとは思えなくて。
もう少しだけ話してたい、ような気がする。
若井の肩に頭を預けると、微かにシャンプーの甘い香りが広がった。
思えば、頬がほんの少し上気している。
「もうシャワー浴びたんだ」
「うん、元貴が来るちょっと前にね」
俺が来る前に、なんて聞いたらいつも通りに揶揄いたい欲が出てきて。
「じゃあもう抱かれる準備出来てるんだ?」
わざとらしく笑ってそんな事を言ってみる。
ただ、何気無く悪戯心から出た言葉。
冗談のはずだった、けど。
「…………………え、」
軽口を叩かれる訳でも、適当に流される訳でも無く。
じんわり赤く染った頬と小さく零れた彼の声は、冗談なんかでは無かった。
「……え?」
思わず声が漏れる。
予想していた反応と違ったから、だけじゃない。
予想もしていなかった様な感情が、自分の中にあったから。
可愛い、って。
この気持ちを誤魔化す言葉すら浮かばない程、心臓が煩く鳴り続けていて。
「………ねぇ」
吐き出した声には抑えきれない感情が滲む。
若井の手にそっと指先で触れると、熱を孕んだ視線がぶつかった。
「…期待していいの?」
この熱を冷ませる余裕なんて、もう何処にも無かった。
ライブ終わりの余韻だったり熱だったりがとにかく大好きなので、 しっかり今回も入れ込んじゃいました
ライブ後のシチュなんていくらあっても良いですからね!!!!
コメント
9件
これって色んな神ビジュに対応できる神短編…!?

好きです。いちさんがっっ!!! ツアーが終わった安堵の雰囲気がリアルなのと、そこから甘い雰囲気への流れ方がっ、もうっ、最高ですっ。 例えるなら、途切れない線香の煙の様にゆらゆらとしながらゆっくり流れてゆく。そんな感じなんですよ。(←伝わりにくい例え) 安堵からの眠気も、あんな反応されれば覚めますよ!ほんと罪な男ですよ、若井さんって!