それでは、どうぞ!
2日後 昼休み 1年5組 剣持視点
生徒《おい、剣持》
ty[……なんですか?]
生徒《分かってんだろ?今日もアソコに……》
ガラガラガラガラ
hr「失礼しま〜す…」
ty[…え…?甲斐田くん…?]
hr「あ…!もちさん!」
あんの、ば甲斐田!なにサラッと来てんだよ!!
生徒《あ゙?お前、昨日来たやつじゃねぇか》
hr「あ、どうも〜…」
hr「てか、もちさん!久しぶりに一緒に食べよ!」
生徒《あ〜w残念だけど、コイツは俺らと一緒に(笑)食べんだよ!》
hr「え…?そうなんですか……?」
生徒《ごめんね〜w先に約束してたもんでw》
hr「そっかぁ…最近いつものところに行っても1人だったから来てみたんだけどな……」
ty[甲斐田くん…]
そうだよね、最近ずっと一緒に居てあげられなかったし…
それに甲斐田くん前、あぁ言ってたし……
生徒《悲しんでるとこ悪いけど、俺らはそろそろ行くから》
hr「…はぃ…分かりました……(シュン」
甲斐田くん……結構落ち込んじゃってるな…
どうしよう…僕がなんとか言って、どうにかできたら良いんだけど…
でも、もし余計なこと言って噂が本当だったとか言われたら、せっかく得た証拠を使っても僕の場合通らない…
どうしたら良いんだろう…どうしたら……
hr「せっかく友達ができたのに…ッ」
生徒達《………》
ty[ッど、どうにか、出来ないですかね…?]
生徒《あ゙ぁもう、わ〜ったよ!!》
ty[ぇ…?]
hr「…!!良いんですか!?」
生徒《良いよ!さっさと行け!》
hr「やったぁ…!ありがとうございます!」
ty[え?ぇ…え……?]
アイツらが、負けた!?!?
えっ、ちょ…どど、どういうこと!?いまいち状況が飲み込めないんだけど!?
hr「ほら、行こう!もちさん」
ty[ぁ…う、うん…?]
ま、まぁ…甲斐田くんが喜んでるなら良い……か?
防音室
ガラガラガラガラ
hr「あ!不破さん、社長〜!連れてきましたよ!」
fw『…ま、マジか……』
kg〔本当にちゃんと連れてきましたよ…あの人…〕
ty[え?ちょ、どういうこと?]
hr「えっと…実は僕、みんなと昼休みの時も話せるようになるために弱点見破ってきたの!」
ty[弱点…?]
hr「うん!先週の金曜日、僕みんなのところに行ったでしょ?」
kg〔そういえば、あの時なんで無事に私達を運ぶことが出来たんですか?〕
fw『それ、俺もずっと疑問に思っとった』
ty[確かに…なんで?]
hr「あぁやって噂を聞いて頭にきて殴ったり虐めたりする人達って、元々は悪い人達なんかじゃない」
hr「ただ、今まであった出来事とその噂が突然一致した事によって”本当だ”と勘違いし怒りが爆発しただけ…」
hr「ということは、あえて弱々しくなる事で本来の良心を引き出す!!」
fw『そうすることによって、危害も加えられずに済むっつ〜ことやな!』
hr「そう!」
kg〔おぉ〜!本格的な解説…すごいですよ、甲斐田さん!〕
hr「と言っても、ただの僕の推測なんだけどね」
ty[だとしても、ここまで具体的に言える人はそうそう居ないよ]
hr「…!ありがとう!」
fw『マジで本格的に研究者みたいになってきたなぁ、お前』
hr「そう、なのかな…?」
ty[とりあえず、さっきの甲斐田くんの推測と証拠を使ってどうにか終わらせられるようにしよう]
kg〔そうですね、早めに終わらせてバンドに専念できるようにしましょう!〕
fw『そうやな!甲斐田の将来のためにも、俺らのこれからのためにも頑張らんとな!』
hr「みんなぁ…っ!」
hr「っよ〜し!僕も頑張っちゃうぞ〜!!」
fw『にゃははっ、よろしゅうな甲斐田〜!』
ワシャワシャ(撫
hr「んわっ…!んへへ、アニキぃ〜!!」
ty[なんだこいつら((((]
kg〔まぁまぁ、久しぶりなんですし許してあげましょうよ〕
kg〔にしても、てぇてぇですね。撮っときましょうか〕
カシャッ
ty[社長っていつから頭おかしくなったの?()]
kg〔仲間とはそういうものですよ〕
ty[絶対、違うって]
kg〔あ、撮った写真送りますか?〕
ty[話聞けよ!いるけど]
hr「もちさんも同類…(ボソッ)」
fw『それは心の奥に閉まっとけ、甲斐田』
ty[ん?なにか言った?]
hr「なっ…んでもないよぉ〜!!」
kg〔話すだけじゃ勿体ないですし、食べましょ〕
ty[うん]
fw『あぇ?もっち〜弁当箱変えた?』
ty[ううん、これは社長が作ってくれたやつ]
hr「えぇぇ〜!?!?社長の手作り!?」
kg〔はい!昨日、家の前でばったりと会った時に言ってたので作っちゃいました〕
ty[本当に、朝この弁当箱差し出された時はびっくりしたよ]
fw『社長すげぇ〜…俺らなんて同じマンションなんに、ばったり会うことですら無いからな』
hr「いや、それは僕らがそもそも外に出ることが無いだけじゃない?」
ty[外に出て動くことも大切だよ?]
fw『んや、登下校で動いとるから大丈夫かな〜思て』
kg〔歩いてるだけじゃないですか〕
hr「歩くことが1番の運動だよ〜」
ty[引きこもりみたいなこと言ってるよ、甲斐田くん]
hr「はぁ!?本当のことだし!」
kg〔はいはいw〕
fw『なぁ、甲斐田!久しぶりにアコギでなんか弾いてや!』
hr「良いよ?なに聴きたい?」
ty[僕、あれがいいな…〇〇〇〇って曲]
kg〔良いですね!私も好きです〕
hr「OKOK〜!任せろ!まずは、チューニングして…」
hr「よし!じゃあ、いくよ?」
ty[うん]
hr「~~~~♪」
kg/ty/fw〔[『………』]〕
…本当に久しぶりだなぁ……この感じ
みんなで昼休みに一緒に集まって、ワイワイと話しながら弁当を食べて、最後は甲斐田くんにアコギ弾いてもらって…
前まではこれが”いつも通り”、だなんて思ってたけど…いつも通りじゃなくなって分かった気がする
僕は、こうしてみんなと一緒に過ごせる時間が、とても大切なんだな……と
この大切な時間が突然なくなってしまって、1人なにも知らされずにポツンと過ごすことになってしまった甲斐田くんを想像すると、心が痛む
どれだけ寂しい思いをしながら、僕らと一緒に過ごせる日々を待ち望んでいたのだろうか…?
あまり本音を吐き出そうとしない彼の事だから、きっと”寂しい”という言葉を口に出さず心の奥に閉まって耐えていたのだろう
僕らがいつ戻って来て良いようにと、涙を堪え、暗い顔を一切せず、無理やり明るい気持ちにさせて”大丈夫”を装っていたのだろう…
ty[………]
甲斐田くんを寂しい思いにさせてしまうなど、本当は分かってたはずなんだ
だけど、甲斐田くんだけは、どうしても巻き込みたくなかった
今まで親に将来の夢をまともに叶えさせてくれようともされず、妨害ばかりされ続けていた彼
僕などには到底、想像もできないほど苦労してきたのだろう
そして唯一、自分の将来を叶えさせてもらえるかもしれないという希望に満ちた気持ちで手を伸ばし、ひたむきに努力してきた
オリジナル曲を作る時には、積極的に案を出して全員が納得できるようなモノになるまで頑張った
そうして掴んだ希望が突然__崩れた
やっとの事で掴んだはずの希望が…手の中から溢れ出て無くなっていく
その感覚が…どれほど悲しく、苦しいものなのか僕には分からない
けれど彼は……甲斐田くんは、心の底でずっと待っていた…信じていてくれてた
その僕らへの重苦しいほどの信頼と、強い決心が実を結んで、今がある
…本当に、いくら感謝してもしきれないくらい今回は甲斐田くんに助けてもらった
もし甲斐田くんが居なかったら、今頃……
hr「えっと…み、みんなぁ〜?」
ty[…あれ……?もう、演奏終わってた…?]
hr「うん、すこし前に」
fw『なんか…色々と考え事してもうたわ…』
kg〔はい……私も…〕
hr「その、みんな大丈夫?悩み事だったら、聞こうか?」
kg/ty/fw〔[『………』]〕
hr「み、みんな〜??(焦)」
ty[…甲斐田くん]
hr「ん…?なに……」
ナデナデ(撫
hr「ぇ…?」
ty[よく、頑張ったね…]
hr「…!もちさ……?」
kg〔甲斐田さん、あなたは本当にすごいですよ…〕
fw『ホンマに…偉いぞ』
ナデナデ…
hr「え、ぇ…な、なにこれ…?一体どういう状況なの……?」
hr「なんで僕、みんなに撫で回されてるの……?しかもみんな無表情だし…怖いってぇ…!」
ty[なんだろう…なんて言ったらいいんだろう?この感じ……]
fw『おん…なんか、すんげぇ安心するというか…なんというか……』
kg〔なんでしょうね…これ…すごく、心の奥が暖かく感じます〕
hr「えぇ…?どういうこと…??」
fw『なんやろうなぁ…とにかく、めちゃくちゃ幸せなんよな…』
kg〔そう、ですね…とっても……幸せです〕
ty[幸せすぎて、どうしたらいいのか分かんなくなっちゃったんだ…僕ら]
hr「な、なるほどぉ…??」
hr「ちなみに、幸せすぎるのと僕の頭を撫でるのって関係ある?」
kg/ty/fw〔[『ある/あります』]〕
hr「あ、はい…」
kg〔もし嫌でしたら、すみません…〕
hr「ううん…!それより、みんなが幸せそうでなによりだよ」
あぁ…本当に、そういうところだよ
それだから…僕らは……
ナデナデナデナデナデナデ…(高速)
hr「えっ…!?ちょ、髪の毛ボサボサになるってぇ〜!みんな〜…!!」
放課後
ガラガラガラガラ
fw『あ、社長!やっと来たで!』
hr「社長と不破さん!」
ty[ごめんね、ちょっとしつこくて…]
kg〔大丈夫ですよ、それより早速始めましょうか〕
ty[全然やれてなかったから、腕落ちてるかも…]
hr「僕もあんま練習してなかったからな…」
fw『まぁまぁ、それはこれから練習して腕上げてくしかないやろ!』
hr「うん!」
kg〔では一度、頭から通してやってみますか?〕
ty[そうだね]
fw『んじゃ、社長カウントよろ!』
kg〔分かりました!では、ワン!ツー!ワンツースリーフォー!〕
ROF-MAO〔「[『はぁっ、はぁ…』]」〕
hr「一通りやってみたけど…」
ty[ん〜…やっぱり落ちてるね]
fw『さすがに、ここまでやってないとなると、そうなるよなぁ…』
kg〔以前やった時は、これから上げてくという感じでしたけどね…〕
ty[マイナスまで落ちたか…]
hr「でも、これから頑張っていけば、絶っ対に大丈夫だから!一緒に頑張ろう!」
fw『ははっ、甲斐田の言う通りやな』
ty[それじゃ、もういっちょ頑張るか!社長!]
kg〔はい!ワン!ツー!ワンツースリーフォー!〕
数十分後
hr「はぁッ、はぁ…ッ」
ty[ふぅ〜ッ…疲れたぁ…っ]
kg〔最後ら辺ッょくなかったですか?〕
fw『そうやなぁ…よかったッ』
hr「はぁ…っふ、はははっ…」
fw『なにわろてんねん甲斐田…』
hr「いやぁ?昼休みに、みんなが幸せすぎるってこういうことなんだなぁ…って思って」
kg〔…!ふふっ、それなら良かったです〕
ty[…ねぇ、甲斐田くん]
hr「なに?」
ty[僕も今、幸せだよ]
hr「…!!」
fw『俺も』
kg〔私も、幸せです〕
hr「みんな…」
fw『1人だけ幸せになっとる思ったら大間違いやで〜?俺らも、今がめっちゃ幸せなんやからな』
kg〔はい…こうして、みなさんと一緒に居られてバンドが出来てる今が、とっても幸せです〕
ty[ね?甲斐田くんがあの時、僕らを助けようとしてくれたあの行動が、今の僕らの幸せを生んでるんだよ]
ty[だから、ありがとう。すっごく幸せだよ]
hr「…っ!!み、んなぁ゙…!」
kg〔今はたくさん泣いて大丈夫ですよ、お疲れ様です。甲斐田さん〕
fw『あと本音は全部吐き出しとけ〜?溜めてばかりやと、ストレスになってまうからな』
hr「ぅあ゙ッ…僕ッッ僕…っッ!ポロポロ」
hr「ッ本当に゙っ、寂しかったッッ…ポロポロ」
hr「ずっとッッ、ずっとずっとッ!寂しがったぁ…ッッ、ポロポロ」
hr「でもっ゙ッみ゙んなを助けるためにッッ、って頑張っで…ッ、ポロポロ」
fw『おん…そうよなぁ、ごめんな?甲斐田、ありがとう』
ギュゥッ
hr「あ゙ぁ゙ッ、ぅ゙…ふッ゙ッ゙……っッッ゙、ポロポロ」
fw『大丈夫…もう、大丈夫やから……』
fw『これからは、俺らも協力するから。もう1人で背負い込まんでな?』
kg〔大丈夫です。私達は、ここに居ますから〕
ty[今まで本当に、よく頑張ったね、甲斐田くん]
hr「っははッッ、これじゃぁ゙…苦しい゙のか、嬉しいのかッ、分゙がんないよ…ポロポロ」
ty[甲斐田くんの顔、すごいことになってるよ?]
kg〔はい、これ。私のハンカチでよければ使ってください〕
hr「ありがとゔ社長ッ、ポロポロ」
fw『んよし、そろそろ帰るか〜』
kg〔そろそろで下校時間ですしね〕
ty[それじゃあ、帰ろっか]
hr「グスッ、うん!」
それでは、次回!
コメント
1件
ろふまおのみんな可愛ええな…