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⚠︎口調違い、解釈違い⚠︎
「クラス何組?!」
「俺は…3組」
「あー僕、4組だ
でも、隣だから近いね!」
そう言ってるけれど極度に緊張していることを俺は知っている。
「でも、離れちゃった」
「だから!会いに行けるでしょ!」
俺はbroooockと一緒が良かった。だって、中学から一緒で、仲良くて…、仲良くて…
「お互い知らないクラスで頑張ろ!」
「そうだな」
未来に希望を見出す目と、どこか不安な気持ちもある挙動。その彼の矛盾さえ輝いて見えた。
青く葉っぱをつけた木の葉が揺れ、ジメッと湿気を含みだした風が俺たちにぶつかる。
この時期はようやくクラスで自分のコミュニティ、つまり居場所ができるころだ。
「ねぇ、スマイル大丈夫?」
「え、ぇぁだ、大丈夫」
クラスメイトで席が隣で仲良くなったnakamu。彼はぼーっと一点を見つめる俺の方を叩いて意識を戻してくれた。隣にいるクラスメイトのきりやんも俺を見ている。
「なんかあった?それとも……
熱中症?!?!」
「ちげーよ」
俺の言葉が2人のツボに入ったようで、2人して俺の誇張増し増しの真似をしては爆笑している。
「……」
俺は考えているだけ。ただ、考えているだけ。
broooockのことで。
お互いにクラスが離れて、お互いに違うコミュニティを築いている。
中学は同じコミュニティだったのに。
もう俺には興味はなくなったのかな。
最近話したら俺がどうにかなってしまいそうで話せていない。なんだか、broooockからも距離を取られている気がする。
俺はこんなにbroooockでいっぱいなのに、彼はただのほほんとしている。俺の事などきっと、忘れてしまった。
「あー、面白かったあ」
「それはよかった」
「次の時間4組と一緒だよね。」
俺はこの授業が億劫だ。broooockが仲間と並ぶ背中が見えてしまうから。最初は耐えられなかった。だって彼の隣が自分じゃない。中学は隣が自分だったのに。その場所に見知らぬ人がいる。
ただ、嫌いなのはbroooockでもなく、彼の仲間でもなく、こんなことで悩んでいる自分が大嫌いだった。
この言葉のつけようがない考えが気持ち悪い。broooockに対する言語化出来ない思いが不快だった。
億劫だったテストも終わり、あと3日で夏の長期休みに入ろうとしたときだった。
「…、スマイル、あのさ、夏休み遊び行かない?」
たまたまbroooockとすれ違った時に手を引かれ、そう言われた。broooockが急にそんなことしたからその隣にいた友人らしき2人もふりかえって目が合った。
「え?っと、…いいよ、また連絡して」
俺は今すぐこの場から去りたくて仕方がなかった。彼の返事を聞く前に俺は少し振り払うようにこの場を後にした。
「…はぁ」
つい勢いと見知らぬ人に気を取られて二つ返事で返してしまった。俺は急ぎ足で教室に戻り椅子に腰掛けた。
「どしたん」
「…いや、ちょっとしたこと」
「なーんかよくぼーっとしてるよね。」
「えっ、そんなことないけど」
「いーや俺の目はごまかせないね」
nakamuは椅子の背もたれに体重を掛けた。
「まぁ、まだ半年も経ってないけどさ、わかるもんなんだよ。」
「…て、てかきりやんは?」
「きりやん?知らない。なんか用あったの?」
「え、いや見ないから…」
「あーそう、確かに見ないね〜」
「…手を動かせ」
「スイマセン」
今は3人で教室に残って夏休みの課題を一足先に進めているところだった。廊下に出たら帰宅しようとしたbroooockと偶然鉢合わせてしまった。
「もう遊びに行くって行っちゃったら行くしかないよな」
「えっ?まぁ…基本的にはそうなんじゃない?
なに?断りたいの?」
「いやー言っちゃったんだよー」
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「じゃあ早めに言えばいいじゃん」
「そうだけど…」
教室の扉が開く音が聞こえてドアの方に振り返る。そこには息を切らしたきりやんがいた。
「おかえり」
「あぁ、ただいま」
彼は参考書とテキストを持っていた。
「何しに行ってた?」
「先生に聞きに行ってた」
「俺もわからないから」
「誇らしくするところじゃないぞー」
きりやんはnakamuの肩を軽く小突く。時間が進まなければいいのに。
「あ、そういえば4組?の人と会ったよ」
「え」
「え?」
「えっ?」
「なになになに?」
「いや、報告だけだよ?なんもしてない。帰るの遅いなーって思ったってだけね」
「あぁ…すまんすまん」
「4組に好きな人いるの?」
「はぁ?」
「え?いるの?」
nakamuときりやんは俺の顔を覗き込む。俺にひとつの考えがよぎった。
「好き…?」
「なんで疑問形?」
「なんもない!!勉強するぞ」
「えーーっ?!」
「スマイルぅ遅いぃ〜」
「まってまって」
夏休みが始まって、ついに来てしまったこの時間。この前、変な考えがよぎったせいで最近まともに寝れてない。好き?好きなわけないだろ。コイツを。
でも、好きなのかもしれない…。
「魚たちも呆れて帰るよ?」
「どこに?」
「えーっと、海に」
「そんなわけあるか」
少し俺はぎこちなく返事をする。まともに会話したのは数ヶ月だろうか。これでもなんとか感覚を取り戻そうとしているところだ。
「またこうやって遊びたいねー…」
「だな」
「ま、遊ぶのこれからだけどね〜」
broooockは背丈が高い方なので目を合わせるには目線を上げないといけない。俺は目線を自分の背丈に合わせて歩く。
「楽しかったね」
「うん」
俺たちは日が差し掛かる電車に揺られながらコソコソ話す。今日は平日なので比較的人がいない。
「どうだった?」
「たのしかった」
「それなら良かった」
2人に沈黙が生まれる。
「…暑いね」
「そうだな」
「今日、それしか言わないじゃん」
「そう?」
「なんか…”ぎこちない”っていうか」
「…」
言われてしまった。やっぱり来るんじゃなかったな。
「ねぇ、やっぱり僕…」
電車がちょうど駅に着いた。俺は席を立って小走りで電車から降りた。
「ちょ、ちょっとスマイルっ」
俺は扉が閉まる電車を背にした。
咄嗟に止まった駅に降りたので最寄りでもなんでもない、初めて見る駅。時計を見ると4時くらい。俺は駅のベンチに座った。もうスマホを触る気にもなれなかった。
ぎこちなくさせたのも、
broooockがあの表情をしたのも、
…今日を台無しにさせたのも、
全部、俺が悪い。
初めからわかってた。距離をとってるのも自分。気まずいと思ってるのも自分。本当の彼と向き合おうとせず避けたのも、自分。
彼はただ待ってくれたのに俺はそれを裏切って反対に走って逃げてしまったのだ。
空を仰ぐように見ると厚い雲が集まってきていた。
「雨、降るかな」
誰もいないホームで呟いてみた。
1ヶ月があっという間に終わり、残暑の時期になったばかりだというのに学校は始まる。
「どこ行った?!」
「北の方の親戚の家に逃げてたー」
「暑さから逃げるよな、わかる」
あれからbroooockとは連絡を取ってないし、面識もなくなった。これで良かった。良かったんだ。そう言い聞かせた。
「スマイルはどこ行った?言ってたやつは?」
「ん?水族館行った」
「えーめっちゃいいじゃん夏って感じ」
「電車?」
「そー」
「俺多分一緒の電車乗ってたかも」
「えっ」
俺は心臓が飛び跳ねる感覚を初めて知った。それくらい強烈に衝撃を食らった。
「いや、部活でさ、乗ったのよ。でも俺は誰と乗ってたーとかわからんよ?」
「…はぁ」
一気に安心した。ことの全てを見られていたらタダでは済まなかった。
「なんかあったろ」
「え、いやそんなわけないじゃないっすか」
「一緒に降りたbroooockいつもと雰囲気違うかったぞ」
「…知ってるじゃん」
「まーあね」
「え?スマイルbroooockと遊びに行ったの?」
「…まぁ、はいそうですぅ」
ここまでバレてるならもう隠す必要もない。ただ俺は友達と水族館に行った。ただそれだけ。なにもない。
それなのにこんなに動揺してしまうのはなぜだろう。
「めっちゃいいじゃん」
それをnakamuが言ったことを機に話題が変わった。俺は安堵し、バレないように少し深呼吸をしてから会話に混ざった。
ジメジメとした暑さがまだ続く。もうそろそろ涼しくなるべき時期なのだが、まだまだニュースは熱中症の話で持ち切りだ。
「今日雨だねー」
外ではザーッと強めの雨が降っている。
「えっ、傘ないよ」
「朝降ってなかったしな」
「最悪、傘ない?」
「あるわけないでしょ」
2人が掛け合ってる中俺もカバンを漁る。
…俺も忘れた。仕方ない走って帰るしかないか…
「じゃまた明日な」
きりやんはnakamuの傘に入れてもらって帰っていった。俺はあるていで言ってしまった。俺は走る準備をする。後ろから声が聞こえた。
「…あ、スマイル…」
傘を持ったbroooockが出てきた。
「傘入る?」
俺はそう言われた瞬間雨の中に走った。また、逃げてしまった。話せるチャンスだったのに。俺はアスファルトに打ち付けられた雨音と水たまりに靴を突っ込む音が余韻を残しながら反響する。
すると突然後ろから手を引かれた。
「…はぁっ、スマイル、捕まえた」
振り返ると傘を刺さずに俺と一緒にずぶ濡れになったbroooockがいた。
「broooock?!」
「話、しよ」
彼は肩で息をしながら俺の手を離すまいと言うように指に力を入れた。
「ち、ちょっと、今日は濡れるし、また」
「いや、今。」
彼の目には長い付き合いでも見たことがない、雨に汚れることのない目。
…あぁ、もう無理だ。
「…わかっ、た」
あの後一緒にbroooockの家に走って行った。その間も、今タオルで水気を拭き取ってる瞬間も会話はなかった。それが余計に気まずさを増したし、彼の感情も読み取れなかった。
「…スマイル、僕なにかした、?」
彼は俺に背中を見せながら言った。
「…なんにもないってば」
「なんにもないなら…なんで逃げるの」
そんなの…そんなの…
「俺にだって、わかんないよ」
「え?」
「俺も分からない、broooockの隣に知らないやつがいるとなんか嫉妬するし、俺の知らないところで俺の知らないことしてるのが嫌なんだよ、」
俺の口は止まることなく本心を曝けだす。
「…でも、broooockにこんな事考えてる自分が…もう、わかんない」
俺は視線を下に向けたままあげることができなかった。目を合わせられなかった。
「僕のこと…好きってこと?」
俺はその言葉を聞いた少しだけ息が揺らいだ。
「…いや、違う…と思う」
「え?じゃあどゆこと!」
「だから!わかんないんだって」
彼は照れくさそうに体を揺さぶる。
「いやースマイルくんはそんなに僕のこと好きだなんてー照れちゃうなー」
「…違う、やっぱりきらい」
「えーっ!」
「俺はお前で半年以上悩んでたんだぞ」
「…うれしーな
スマイルの頭を僕で満たせて」
「…は?」
彼はいたずらそうに微笑んだ。俺はしばらく動けなかった。
「スマイルも、同じだったんだね」
「おい、やっぱり」
「ん?笑」
「ん?じゃねーよ。どういう意味だよ」
「…意外とそのまんまかもよー?」
「おい」
俺はbroooockの目を見るように見上げる。彼はまた微笑んだ。さっきとは違う哀愁を感じさせる目つきだった。
「やっと目合ったね」
「…はいはい、俺帰るから」
俺は顔に帯びた熱をわざと気にしないフリをして雨でぐっしょりと変色したリュックを持った。
「うん、また明日ね」
明日。この言葉をどれだけ待ち望んでいたのか。あの時毎日のように聞いていた言葉だ。その時の俺なら素っ気なく返事をしていたが、俺は変わった。
「またな」
…そう胸張ったけどまだ俺には早かったみたいだ。俺は玄関の扉を開けた。
「…まだ降ってるよ」
そこには先程より勢いが増した雨が降っていた。
「あー雨ん中帰るんじゃなかった…」
「だから風邪ひいたの?ばかじゃん」
「うるせー」
彼らはまた俺の言葉にツボったようで、誇張増し増しの真似しては爆笑を繰り返している。
「…あ」
俺は呆れて目を教室のドアに目をやるとbroooockがふっと教室の前を通った。彼は俺に気づく暇もなく通って行った。
「…」
まぁ、さすがにそんなことが起こるわけが…
するとbroooockは後ろ歩きをしながら教室のドアから顔をのぞかせた。いつも一緒にいる友達たちと一緒に。
彼は俺にひらひらと満面の笑顔で手をふりかけ、すぐに去っていった。
「…broooockじゃん」
「やっぱ仲良かったんだー水族館行くくらいだもんねー…スマイル?」
「…ごめん今ちょっと話せない」
俺は足に顔を埋めるように塞ぎ込んでしまった。…また気づいてないふりをしなきゃいけないなんて、聞いて、ない。
「…あー、ずる」
そう呟かざるをおえなかった。