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オレは夢を見ていた。
いつから見ていたか分からねぇが。
ただ、キャサリンとあの屋敷で過ごした日々を見ていた。
走馬灯っていうやつみたいだ。楽しい夢だけを俺は、眺めていた。
俺はもう死んじまうのか?まだキャサリンを…。
「この方、一体どこから…」
「ん!ここで倒す!」
「や、やめてってシロコ先輩!怪我人だから!」
「うへ〜、シロコちゃんって本当に負けず嫌いだね〜」
「うふふ、シロコちゃん、あんなにケガしてたのに元気ですね〜♪」
段々と光を取り戻す。それと同時に中途半端な暗闇から誰かの声が木霊する。
それと、さっきぶちのめしたアイツの声もするな。
そうだな。確か振り下ろそうとして…アイツの仲間かなんかに殴られたような。
「はぁ…負けちまったか」
…ん?
オレ、喋んなかったか?
さあんなにうるさかった声が、急に聞こえなくなった。
重かった瞼が軽くなった。
様子見で僅かに見えるよう、目を少し開けた。
談笑してる最中だった感じだ。だけど今は、皆んなこっちを見てる。
オレはどうかバレねぇようにと懇願して、眺める。
「今この人、喋っていませんでしたか〜?」
「だよね?明らかに喋ってたわ」
「ん!」
「あぁー!?シロコ先輩!やめてください!死んでしまいます!」
確実に聞こえていたようだ。正直、起きてから何をされるか分からない。
この前の不良どもみたいに無茶な要求されるかもしれない。
このまま耐え…。
バァン!!
「ぎゃあぁぁぁぁ!?」
「シロコ先輩ィーーー!?」
しらを切っていたら、突然右肩に激痛が走る。
弾が掠めた右肩をわざと攻撃された。ふざけるな。
「おぉ〜起きてるね〜」
「シロコ先輩!傷がまた開いてます!」
「ん!起きた、じゃあ戦おうか!」
「おまっ!?怪我人に言うことか!?」
「シロコちゃ〜ん?落ち着いてくださいね〜? 」
目を覚めして、いくつか気づいた事があった。
場所はさっきの路地とは違い整備されたどこかのようだ。
それとオレはベットの上で眠ってて、目を凝らせば至る所に包帯が丁寧に巻かれている。
次に目が入ったのは、目の前の5人だ。
さっき聞こえた声の持ち主、銀髪にオオカミの耳、オッドアイの女もその中にいた。
ソイツはあんなにボコボコにしたはずが、それに比べて包帯があまり巻かれていない。
「お前、銃を下せ」
「断る」
「シロコ先輩、一旦落ち着いて!」
「シロコちゃん、外行きましょ〜♧」
「ん!まだ決着つけてない!」
そう言ってソイツはもう1人の茶色のロングヘアの大きい女に連れられ外へ行ってしまった。
「ごめんねぇ〜、後輩ちゃんが乱暴しちゃって」
小柄なピンク髪の女が伺う。
「お、おう」
「怪我の方は大丈夫ですか?」
今度はメガネをかけた尖った耳の女がオレの身体に心配をする。
「大丈夫だ。誰かさんのお陰でな」
「よ、よかったです!」
「それよりこいつ、一体なんなの?」
黒髪で猫耳のついた女がオレを変な目で見ながら言った。
「聞きたいのはこっちなんだがな…」
「もしかしたら新入生かも〜?」
「何言ってるの!?」
さっきの会話でここは学校で、こいつらは生徒だと理解できた。
まあ、ここのまま寝ていても進展はないだろう。
結構巻かれているが、なんとか動けそうだ。
「よし…」
「あぁ!?動かないでください!ケガが…」
「大丈夫だ、こういうのは慣れてる」
「待って、アヤネの言う通り、一回休もう」
「はぁ?オレは別にお前らと…」
「シロコちゃんを傷つけたんでしょ?」
「…」
突然、空気が変わった。
特に変わったのはピンク髪の女。
殺気だ。ここからは慎重に答えなかれば。
「仕方がなかったってやつだ」
「仕方がなかった?」
「急に目の敵にされんでな、自己防衛だ」
「へぇ?でもおじさんの目には過剰に見えたけどな〜?」
「すまないな、お前らの事情とかも、オレなりのやり方がな」
「…そう」
その殺気からは予想外に尋問は終わった。
「これ以上、何も出なさそうだし、いいよ」
「いいのか?」
「おじさんたちも君の事情も知らないからね〜」
「うわっ!?急な差で息詰まりそうになったわ!?」
「あはは…」
さっきの尋問の後、2人の女が部屋に戻ってきた。
「あ、シロコ先輩。落ち着いた?」
「うん。まだムカつくけど」
「本当に落ち着いてんのか?」
「まあまあ、シロコちゃん。ここは一時休戦で〜」
「ん…」
ピンク髪の女の発言で銀髪の女はさらに落ち着いた。
「さぁ〜♪落ち着いてきたきましたし、質問タイムといきましょ〜♧」
「はぁ?まだあんの?」
「そうですね、私もいくつか質問を…」
「はぁ…」
オレは思わずため息を吐いた。
「それじゃあ」
わずかの沈黙を突き破ったのは猫耳の黒髪女だ。
「あんたはどこから来たの?」
「どこから…?」
ああ、そういえば言っていいことか?これ。
あのファウストもなんも言ってなかったし…。
「まあ信じてもらえねぇかもしれねぇが…」
オレは一息ついて…。
「オレは別世界から来た」
…。
「「「「「え?」」」」」
「いやいや、そんな現実味のないこと言われても…!」
「これって最近流行りのやつ〜?おじさんだから分かんないな〜」
「ん、頭打ったからおかしくなったのかも」
「はぁ、やっぱそうだよな」
「あはは、まあ仕方がないですよね…」
「あっ!それでは自己紹介でもしましょうか〜♪」
「お互い、分からない状況でも気まずいですし〜♧」
「おっ!名案だね〜ノノミちゃん!」
「確かに、お互いの事を理解できないと難しいところでした」
「ん、じゃあ私から…」
オレが何か言う合間に、目の前の5人が自己紹介が始まった。
さっきからずっと喧嘩腰な銀髪オオカミ耳の女は、シロコ。
とんがった耳の黒髪のメガネの女は、アヤネ。
茶色のロングヘアの女は、ノノミ。
黒髪猫耳の女は、セリカ。
最後に、小柄なピンク髪の女は、ホシノというらしい。
「じゃあ、最後は…あんたの番ね」
セリカがオレを見て促す。
「オレはヒースクリフだ、まあ戦闘専門ってところだ」
なんとか印象よく紹介してみた。
「戦闘専門…ですか?」
「えーっと、バットだけで戦うつもり?」
「お、おい!確かにこれしかねぇけど、ちゃんと戦えるからな!」
「うへ〜、流石におじさんもそんな強がったりしないよ〜」
「うふふ⭐︎大人なのに可愛いですね〜♪」
「あぁもう…オレがいた世界はちゃんと戦えんたんだよ!」
「ん、そういうところが弱そう」
「はぁ!?」
こいつら…完全に舐めてやがる。
確かにこの世界、銃が通常武器ですよって言ってるような顔して使われてんだよな…。
でもオレだってバットだけでもこのうざったらしい顔したオオカミぶっ倒したんだぞ!?
「面白いね〜、おじさんに負けた上でそんな事言っちゃって〜」
「お前に…?」
「あ、まさかあん時の…!」
ホシノの言動から考えるに、オレがシロコのドタマ潰そうと瞬間、ホシノがオレのドタマを打ったというところか。
「ふふ〜ん、おじさんに負けるとはね、まだまだ専門名乗るには早いね〜」
今時の子供は、こんな大人を揶揄うのか?ちょっと、思いもしなかったな。
ていうか、お前は不意打ちしただけだろ!
「お前ら!大人を揶揄って何がー」
「はい⭐︎お静かに〜♪」
「うおっ!?あっ!?がぁああああ!?」
気づかない内に、ノノミが背後により傷口を少しつねった。
怒りより痛みが勝り、また情けねぇ悲鳴を放出した。
「あわわ、みなさん、これ以上はちょっと…」
「やめなさいよ!ヒースクリフが可哀想でしょ!?」
流石に気が引いたか、1年生のアヤネとセリカが止めに入った。
「はぁ…大人を…いじめて…何が…楽しいんだ…?」
少し話しただけなのに、こいつらのお陰でいらない疲労がいっぱい蓄積されてる。
バスのやつらぐらい愉快だなこいつら…。
「ん、楽しんでた。あんまり大人と関わる機会がなかったら」
「楽しんでたぁ!?」
シロコの発言で、オレはまたキレそうになったが。
ここで、ひとつの疑問が生まれる。
「…ん?ここは学校だろ?」
「ん、そう。結構汚いけど」
「まあ、確かに砂だらけだけど、オレが言いたいのはな」
「オレの常識が間違ってなかったら、先生がいるよな」
こいつらは大人の扱い方をわかっていない言動ばかりだ。でも、ここは学校だ。 先生の1人や2人いるだろ?
オレの発言で、急にみんなの暗い顔が現した。
「…これ話してもいいかな?」
「いいんじゃない?別に秘密にしてないし」
5人が揃って相談し合い、しばらくしてアヤネが話し出す。
「ヒースクリフさん、その質問については今から話すことと一緒にお答えします」
「…?」
アヤネの真剣さに押し込まれ、オレはただ頷く。
「この場所について、この場所で…何があったのか」
オレはコイツらの事情を静かに聞いた。
ここ…アビドス高等学校は、元々大きな学校と街だったらしい。
その証拠として、砂漠には大きなビルがいくつかそびえ立っていた。
だがある日突然、砂漠化が始まってしまった。
恐ろしくもアビドスの様々な分野を侵食し、経済も人口も何もかも衰退を止められなかった。
唯一残ったこの学校も大量の借金に見舞われ、廃校の危機に迫っている。
それを見過ごせなかったこの5人が、「アビドス廃校対策委員会」という組織を立ち上げ、
なんとか廃校を防ぐため、青春を諦め、過酷な現実にしがみついているようだ。
悲惨だな。こんな幼くして、こんな大きな責任を負ってしまうとは。
少し気が引けるな…。
「ヒースクリフさん?大丈夫ですか?」
「あぁ、忙しい中、少し邪魔しちまったようだな」
「大丈夫ですよ〜、お互い訳があったので」
コイツらの話を聞いて思い出したことがあった。
T社でデットラビッツの輪の中で過ごしていた頃にある仲間がこう言ってたな。
誰にも関わらず、助けろって。
その頃はよく分からなかった。もし敵だとして、助けたってなんの意味があるんだ?
なんなら今でも分からなかった。だからこそ、オレなりの解釈の仕方がある。
ひとまず、この言葉はこう捉えることした。
「いや、もしよかったらなんだが…」
「オレも手伝わせてくれないか?」
…。
オレの言葉にみんなは大きく驚いた。
「えっ!?えぇ!?いいんですか!?」
「い、いや、でもなんでその答えに辿り着いたの?」
「いや?なんでって…消去法だよ」
「オレの仲間を探して野垂れ死ぬよりも、ここで一緒にいた方が生存率が高まるだろ?」
「ん、一理ある」
「うーん、どうする?セリカちゃん?」
「わ、私!?いやそれだったら先輩の方がいい判断出そうだけど…」
「いや〜、若者の考えも取り入れようかな〜って」
「いや、ホシノ先輩ってあんまり差ないでしょ!?」
「でもいいんじゃないですか?仲間もできるだけいた方がいいですし」
「はい、私もここで見捨てるより、仲間に取り入れるのがいいと思います」
「私も…いいかな」
「ん、賛成」
「なんか思ったよりも進んだな…まぁいっか」
なんだかんだで受け入れられたようでよかったが。
なんだかホシノが言いたげな様子だ。
「ん?どうしたんだ?」
「あっ、ヒースクリフ君は、そのバットだけで大丈夫かな〜って」
「そうね、ほんとそれだけで大丈夫なの?」
「へ?だから…」
「あっ、そういえば武器庫があるんでした⭐︎もしかしたらピッタリな武器が見つかるかもしれません」
「いいと思います、ノノミ先輩」
「うへー、じゃあここはおじさんが案内してあげるよ〜 」
「あの、だからな…」
ダメだ。全く話を聞いてねぇ。
オレはなすすべも無いまま、ホシノに連れてかれた。
…道中でホシノに念を押されたが。
「…ヒースクリフ」
「なんだ?」
「おじさんも君が仲間になるのは快く受けるよ…でも」
その言葉と同時に、ホシノは振り向きオレに冷たい殺意を込められた筒を突かれる。
「次、手出したら、その頭に風穴を開けるから」
今までより鋭く冷たい視線を向けられる。
銃には指をかけられてないが、避けられる隙があるかと言われたら無いと言える。
「まぁ、お前のおかげで脳裏に刻まれたんでな、到底しないな」
「ふん、流石の君でも分かってるね」
と、こんな風に言ってるが今すぐぶん殴りたいほど、感情は高まっていた。
そんな感じで念押しされて、学校の廊下を進む。
所々見える教室には、どれも砂が散りばめられている。
それに行ってた通り、アイツら以外の人が見当たらない。
その景色を見るたびに、ここは廃れていると理解できる。
「はい、着いたよ〜」
「あー、普通の教室だな?」
案内されたその場所はオレから見れば普通の教室の様だ。
だが中へ入ると、打って変わって武器が仕舞われたロッカーがいくつも並んでいた。
「おお、結構あるな」
「これでも昔の方がは、いっぱいあったけどね〜」
「ほとんど砂でダメになっちゃったよ」
ホシノの言った通り、密室なのに砂の山がよく見られる。
また、それぞれの武器にも少しか砂埃が目立つ。
「どうぞ、選んで〜」
「ふーん…」
そうは言われたが、あまりパッとお気に入りの武器はそうそう見つからなかった。
自動小銃か?いや、ウサギチームの時みたいに無駄撃ちしそうだな…。
スナイパーライフルか?うーん、ホンルがいねぇとバンバン打てねぇな…。
ダメだ…どれもパッとしないな…。
悩んで選んでいると、ある銃に目が止まる。
「これりゃなんだ?」
その銃は、ライフルにしてはでかい口径を備えた、比較的銃身が短いものだった。
「おぉ〜、まだあったんだ〜」
「なぁ、これなんだ?」
「うーん、これはね〜ショットガンって言うんだよ〜」
柔らかい声で、赤子を慰めるような声色で話しかけたがまあいいだろう。
これ以上気にしたら、ばくはつする!!かもしれねぇし。
「近距離向けで、弾が拡散するんだよ〜」
「へ〜、カッケェな!」
その勢いとかっこよさでオレはそのショットガンという武器を選んだ。
「ふふっ、じゃあ晴れて仲間入り…だね」
アビドス廃校対策委員会に入ってからは、意外と悪く無い生活が始まった。
「…意外と慣れるもんだな 」
「ん、そうでしょ?」
オレはシロコと一緒に砂漠のスクラップ集めに取り組んでいる。
砂漠に踏み入れてた回数はまだ1の桁だが、シロコのおかげか足取りも慣れてきた。
まあ、過去にもこんなことはやってきたし。
「今日はあそこのビルを狙う」
「うーん、今までよりちょっと小さくねぇか?」
お狙いのビルは5階建てで今までより小さいことは明確に分かった。
「ん、過去の地図と合わせると、そこそこ儲かってた企業ビル同じ位置にと当てはまる」
「さらに高い機械もあったみたいだ」
「おー、さすがだな」
シロコの思考回路ってなんか少しズレてるよな。普段、どう考えても生きてんだ?
「それじゃ行くよ」
シロコの合図で、オレらはビルの探索に入った。
「おーい、これどうだ?」
「ん、今だとあんまり売れない」
「クソっ…ハズレか…」
手当たり次第売れそうなものを見つけては鑑定して貰っているがうまくはいかない。
「そっちはどうだ?」
「ん、進展なし」
「なぁ本当にあんのか?」
「いや、間違いないはず」
進展がないまま、適当に探索していると。
「…あ、この部屋なら」
「ん?ああ、倉庫か?」
「大体倉庫には売れるものがある」
「そ、そうか?」
オレの参考資料がボンボンな場所しかないから分からねぇな。
どっちかっていうと使えねぇものしまう場所だな。
「んじゃあ、開けるぞ」
「割と乗り気じゃん」
「お前らのお陰で、こうしねぇといけなくなったからな」
そう言って、ドアノブを回したが、何故か開かない。
「…あ、鍵かかってる」
「…ん」
「うっせな! なんでこうも恥ずかしい場面ばかりみせねぇといけねぇんだ!?」
怒りはシロコにぶつける代わりに、目の前のドアをぶち破るためにバットでぶつけた。
バギャッ!
破られる音が木霊し、見事にドアに穴が開く。
「ほら、開いたぞ」
「ん、ありがとう…これで」
シロコは警戒せず倉庫に素早く入る。
「どうだー?」
「ん、やっぱりここのものは他と比べて品質がいい」
「あー、でもその大きさじゃ一気には持てねぇな」
「ん、じゃあ少しずつ持ち出そうか」
単純で繰り返しの作業をいくつかやって、残りも少なくなった頃。
ギギッ
「ん?」
「…ん、まずいかも」
なんだか建物が軋む不安な音が聞こえた気がするが…。
それでもシロコは構わず運び出している。
「おい、もういいんじゃないか?なんだか、嫌な予感がすんだが…」
「大丈夫、まだ猶予はある」
余裕言っていた瞬間、倉庫の奥から天井が崩れ、砂山が押し寄せてくる。
そして床は砂山の重量に耐えきれず、地の底へ沈む。
「ん!」
声色から余裕で察せる、予想外にようだ。
「あぁ!早く手ェ出せ!」
なるべく安全で、かつ速く脱出できるように手を差し出す。
シロコは、持っていた機械を捨て手をつかむ。
「行くぞ…ぐっ!?」
引き上げるために、腕に力を入れた瞬間、古傷が痛み悶絶したが、なんとか引き上げることができた。
「はぁ、お前っていつも危なっかしいな…!」
「ん、恐怖に負けては進まないから」
「名言っぽいこと言ってるが、普通に死にかけるぞあれ!?」
「ん…」
「はぁ、お前が余計なことしたせいで、汚れたじゃねぇか」
「大丈夫、はたき落とせば」
「まあ、それは帰ってからにしようぜ、夜がきちまう」
「そうだね、帰ろう」
砂漠の夜は危険だと、こいつのお陰で何度も実感した。
オレらは少しの成果を持ち、学校へ戻る。
「そういえば」
「ん?なんだ?」
帰り道、シロコが急に話を持ち出した。
「さっきのあのこと。あれでも流石に耐えられた」
「いやさ、流石にあれは…うーん…」
「ここにだけ存在する、お前らの上に浮かぶ『ヘイロー』っていうものもオレの考え以上の力を持ってるかもしれないと分かったうえだ。」
「仲間は助け合うもんだろ?」
「…ふふっ、そうだね」
「あと、助けなかったら殺されるからな」
「…ん」
「んあ?どうしたんだ?」
「ん、なんでもない」
「…おき…起きて…てください!」
「…うっせえなぁ、まだ12時間経ってねぇだろ…」
「起きてください!」
「…あぁ?あぁ、お前か」
「もう約束の時間です、早く起きてください」
「あぁ、ちょっと待ってろ」
オレが寝てる最中に、保健室に来訪したアヤネによって起こされた。
今日は、何かあるようだ。
目的の場所に来てみれば、珍しくみんなが揃っている。
「ではこれより、アビドス定例会議を始めます。今回は初参加のヒースクリフさんがいるので
できれば真面目にご参加頂けると…」
「アビドス定例会議?」
「みんなで案を出し合う会よ。大体は借金の返し方について話し合っているいるわ」
「まあ、議論って言えるかどうか怪しんだけどね〜」
「なんか不安なんだか」
「…では、今回の議題についてですが…」
アヤネが一層真剣になり、議題を伝える。
「銃弾などの枯渇問題です!」
「ん、やっぱりあの襲撃のこと?」
「その通りです。ここ最近、カタカタヘルメット団による襲撃の頻度が増し、銃弾の供給が間に合わない状況に陥っています」
「なら、ここのどっかで買えば…」
セリカが意見を出すが…。
「そうはいきません。周辺の資源は全て使用、または奪われてしまい、すぐに供給ができないこと」
「そして、唯一銃弾を調達できる場所が、ここから何キロも離れたブラックマーケットしかないということ」
「つまり、銃弾を調達しようと、この学校から離れると、そのヘルメット団に奪われるってことでしょ?」
「じゃあ、誰か残ったらいんじゃねぇか?」
今度はオレが質問する。
「流石のおじさんでも、1人で大量の敵と対抗するのは無理あるよ〜?」
「事態は思ってたより深刻そうですね」
「ん、やっぱり銀行強ー 」
「それだけはやめてください、シロコ先輩」
「ん…」
やっぱシロコって普段何考えてんだ?
名案が思い浮かばないまま、時が進んでいくと、ノノミがあることを言い出す。
「では、シャーレに頼ってみてはいかがでしょうか〜♪」
「ん、シャーレ?」
「シャーレってなんだ?」
「シャーレって何よ?」
3人、口を揃えてシャーレについて問う。
「うへ〜?知らないの?最近話題の『先生』っていう大人がいる部活だよ?」
「へぇー先生か…なんか頼りなさそう」
「おい、なんでオレを見るんだ?」
「いや、だって、ねぇ…?」
セリカがわざと言葉を濁す。
「ともかく、シャーレに頼るのは名案だと思います。 しかし、届くかどうか…」
「ん、当たって砕ける。送っておいて損はない」
「うへ〜、とりあえずシャーレに依頼してみたら〜? 」
「私もです〜♪」
「いいんじゃない?」
みんなの意見が合致したことで、シャーレに助けを求めることになった。
どうやら久しぶりに大人と会えそうだ。もしかしてら、時計ヅラや仲間達も…。
「ヒースクリフ君」
「ん?」
シャーレについて考えていると、ホシノが話しかけてきた。
「もしかしたら、仲間と会えるんじゃない?」
「…仲間か。そっか、もしかしたら会えそうだな」
「ヒースクリフさんのお友達は、一体どんな人達でしょうか〜♧」
「ん、ヒースクリフみたいに変な人かも」
「あんま仲間のこと、変て言うんじゃねぇぞ」