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花言葉と恋模様

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花言葉と恋模様

9 - 第9話

♥

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2025年09月02日

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正直、最初は気のせいだと思ってた。

Ifくんが花の画像ばっかり送ってくるとか、初兎ちゃんの口から自然と「まろちゃんがさ〜」って名前が出るとか。


でも、ある日スタジオで見た光景が決定打だった。


「ねぇまろちゃん、このリリックのここの言葉さ、桜の花びらみたいに散らしてもよくない?」

「お、ええな。じゃあ“風に舞う”って入れよか」

「わ〜それ絶対良い……!あ、あとで帰りに桜餅買って帰ろ?」


――いや、なにその流れ。どこで恋愛ドラマ始まってんの?

つーか僕、スタジオ入りたいんですけど?


あれだよ。最初はツッコむのが楽しかった。

「花より団子ちゃうんかーい!」とか、「スタジオはイチャイチャする場所じゃねぇぞ!」とか。


でも最近、ちょっとだけ……胸がチクっとする時がある。


「……いいな、そういうの」って、思っちゃう。


いや待て僕。

そういうのはIfくんとか初兎ちゃんに似合うことで、僕が求めたらなんか違う。たぶん、らしくない。


でもさ――


ふたりが並んで笑ってるの見たとき、

「負けたなぁ」って、ちょっとだけ思っちゃった。



「いむ、お前、最近ふたりにツッコミ甘くね?」ってないちゃんに言われたけど、違うんだよ。


甘くしてんじゃない。

わかってんの。

あのふたりは、もう《ほっといても大丈夫なレベルで“想い合ってる”》んだよ。


僕がガタガタ言わなくても、お互いの不安とか寂しさとか、花みたいに柔らかく包み込んでる。


だから僕は、見守る側でいい。

ふたりが枯れないように、背中から日差しでも送る係でいい。


(……ちょっとくらいツッコミのタイミング、待ってくれてもよくない?って思うけど)


まあ、そんなこと言ってる間に、またIfくんが「今日の花はな~」って語り出すんだろうな。


そしてまた初兎ちゃんが、「それ、僕にくれる?」って笑うんだ。


……もう、仕方ない。

僕のツッコミが途切れることがない限り、あの人たちの恋は、今日も安定してる。

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