テラーノベル
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異変は、最後の授業の途中で起きた。
「――では、ここが重要だ。試験にも出る。復習しとけ─」
教師の声が、そこで途切れた。
教室の扉が、内側から押し潰されるように歪む。
次の瞬間、轟音とともに扉が吹き飛び、破片が床を跳ねた。
「きゃっ――!?」
「な、何だよ今の!?」
笑顔のまま、リンクにとって、知らない少女が教室に足を踏み入れる。
――アリス。
教師たちだけが知る怪物。
空気が、一気に冷えた。
「……来たか……」
教師の一人が、誰にも聞こえないほど小さく呟く。
「全員、動くな!」
別の教師が叫ぶが、声は明らかに硬い。
生徒たちは状況を理解できないまま、席に縫い止められている。
リンクは即座に前へ出た。
背中で、生徒たちを庇う位置。
――知らない顔だ。
だが、空気が違う。
「……君、生徒か?」
返事はない。
少女は楽しげに視線を巡らせ、怯える生徒たちを眺める。
「せ、先生……?」
「何あれ……人、だよな……?」
教師の一人が、歯を食いしばる。
「……下がれ。刺激するな……」
その忠告より早く、
少女が一歩踏み出した。
空気が歪む。
リンクの中で、警鐘がはっきりと鳴った。
「下がってくれ。ここには――」
言葉の途中で、少女が踏み込む。
床が鳴り、机が浮いた。
「危ない!」
リンクは迷わない。
生徒との距離を一瞬で測り、
そこで初めて――生徒の前でマスターソードに手をかけた。
――抜刀。
刃が鞘を離れた瞬間、
刀身が横に振られ、
澄んだ金属音とともに聖なる光が宿る。
「何……?」
「剣が、光って……」
教師たちの表情が変わる。
「…え?」
「そんなもの、聞いていない……」
少女の一撃。
リンクはハイリアの盾を立て、ジャストガード。
力を正面で受けず、角度をずらして流す。
衝撃が床へ逃げ、机が跳ねる。
「受け止めた……!」
「先生、あの子……!」
「動くな!」
リンクの声が、教室を貫く。
踏み込み―躱し―ラッシュ。
肩、腕、足元。
連続する7つの斬撃はすべて、
生徒のいる方向から押し返すためのもの。
少女はリンクの真後ろにテレポートし、横薙ぎの反撃。
「きゃはっ!」
リンクはハイリアの盾を構え、直撃を受け止める。
再び盾が鳴り、床にひびが走る。
「盾まで本物……」
「何者だ、あの生徒……」
反動を利用し、
リンクは盾を踏み――二段ジャンプ。
「跳んだ!?」
生徒の頭上を越えて位置を入れ替え、
古代兵装・弓を、構える。単なる高威力の攻撃ではない。長射程・盾貫通。シーカー技術の結晶が少女を貫く。
すぐさま着地と同時に斬り下ろす。
聖なる光が軌跡を引く。
少女は壁を蹴って距離を取り、再び突進。
「まずい……このままじゃ……」
教師の一人が呻く。
リンクは前に出る。
ジャスガ。
弾き、体勢が崩れた。攻撃の隙が見えた瞬間にラッシュ。
盾受け、跳躍、斬り返し、そしてたった1秒間での7連撃。
すべてが、生徒を守るための動きだった。
もはや、彼らの周りを「異次元」と誰もが呼ばざるを得なくなる。
最後の交錯。
正面の一撃をギリギリで避け、
リンクは横へ跳ぶ。
空中で体を捻り、「隙」に向かって
マスターソードを振り抜いた。
聖なる光が、音を伴って一直線に走る。
「――っ!」
鈍い衝撃。
少女の動きが止まり、
そのまま教室の床へ崩れ落ちた。
沈黙。
リンクはすぐに剣を下ろし、振り返る。
「……全員、無事か?」
「は、はい……」
「だ、大丈夫です……」
教師たちは、倒れた少女とリンクを交互に見つめる。
「……アリスを……止めた……?」
「そんな報告、前例が……」
リンクは小さく息を吐く。
「……誰なんだ、コイツ」
だが、はっきりしている。
――守るべき場所で、抜かせた剣だった。
マスターソードの光は静かに消え、
教室には、重い沈黙と動かしようのない現実が残った。
そしてリンクの胸に、確信が刻まれる。
――これは、もう学校ではない。
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