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※いるなつ注意
7月14日(火)
捺といるまは、帰り道を歩いていた。
夕方の空気は少しだけ冷たくて、言葉がいつもより重く感じる。
捺「らんにもばれちゃったな」
捺がぽつりと呟く。
捺「先生に言われたらどうしよう」
捺の声は、確認するようだった。
いるまは少しだけ間を置いてから言った。
いるま「大丈夫だ」
そして続ける。
いるま「なつ、俺が守るから」
守ると言われた瞬間だけ、
少し呼吸が戻る。
捺は顔を上げる。
捺「ほんとに?」
いるま「……ああ」
その返事は迷いがなかった。
でも、どこか“そう言うしかない”みたいな硬さもあった。
捺がぽつりと言う
捺「…俺もういるましか信じられない」
捺「お前以外いらない」
いるま「俺も。愛してるよなつ」
夏の日差しの中、2人の唇は優しく重なった。
後ろから声がする。
須千「何してるの?」
振り返ると、須千が立っていた。
一瞬、空気が止まる。
捺「……あ」
捺の声が小さくなる。
いるまも言葉を失う。
捺「これは〜……えっと……」
捺が視線を逸らす。
いるまも続ける。
いるま「いや、別に……」
須千は二人を見たまま、表情を変えない。
須千「まあいいや」
その一言のほうが、むしろ重かった。
そして少しだけ視線をずらして言う。
須千「それよりさ、ひまちゃん」
須千「なんでこさめちゃんをいじめてるの?」
空気が一気に凍る。
捺が即座に反応する。
捺「お前には関係ないだろ!!」
怒りというより、防衛だった。
いるまがすぐに割って入る。
いるま「なつ、落ち着け」
すちは一歩も引かない。
淡々と続ける。
須千「説明してよ」
須千「理由もなく殴ってるわけじゃないでしょ?」
その言葉で、空気がさらに沈む。
捺「それは……」
捺の言葉が途中で止まる。
言いたいことはあるのに、形にならない。
でも、それを“説明できる言葉”にするのは難しかった。
いるまが少しだけ迷ってから口を開く。
いるま「なつの母親さ……」
一度止まる。
言っていいのか迷う間。
でも続ける。
いるま「昔から、ちゃんと向き合ってくれてなかっただろ」
捺の肩がわずかに動く。
いるまは言葉を選びながら続ける。
いるま「それで、こさめが……悪気なくてもなつを傷つけるようなことを言って」
いるま「それで、爆発した」
須千は少しだけ目を細める。
須千「……それでいじめる理由になるの?」
その声は責めていない。
ただ確認しているだけだった。
いるまは詰まる。
捺が拗ねた様な声で言う。
捺「だってしょうがねぇじゃん」
すちは一瞬だけ黙る。
そして、静かに聞き返す。
須千「何で?」
その問いは、責めていないのに逃げ道がなかった。
捺は少しだけ顔を歪める。
捺「……わかってないとこが余計ムカつくんだよ」
捺「俺の気持ちとか、絶対わかんねぇだろ」
捺「どうせ、そういうの知らないで生きてきたんだろうなw」
言葉が止まる。
空気が少しだけ荒れる。
いるまがすぐに入る。
いるま「なつは悪くない」
いるま「俺がなつを守ってるだけだ」
言い切る。
強く、迷いなく。
須千はそれを聞いて、静かに言う。
須千「それって、本当に守れてる?」
その一言で、空気が完全に止まる。
須千「いるまちゃんもっとちゃんと考えたほうがいいよ…」
風の音だけがやけに遠い。
須千は視線を外す。
もう答えを求めていない目で。
須千「じゃあ。」
須千「俺は帰るね」
そして歩き出す。
捺もいるまも、その場に残る。
何も説明できないまま。
何も否定できないまま。
◇◇◇
ただ、夕方の道だけが続いていた。夕方の帰り道。
足音だけが、やけに静かに響いていた。
須千はさっきの場面が、まだ頭の中から離れない。
(守るため)
(しょうがない)
言葉だけが、ぐるぐる回る。
でもどれも、正しくは聞こえなかった。
須千は歩きながら思う。
『説明はあった』
『理由もあった』
『気持ちもあった』
でも。
(それで、いいのか?)
一番引っかかっているのはそこだった。
捺の声。
怒っていた。
でも、その奥にあったのは怒りじゃない。
『分かってもらえないことへの怖さ』
いるまの声。
迷いはなかった。
でも、それは“正しさ”じゃなくて。
『決めてしまった人の声』
そして、自分。
須千は立ち止まる。
少しだけ空を見上げる。
(俺は…何を見た?)
いじめる理由を聞いた。
説明も聞いた。
感情も聞いた。
でも一番はっきり残っているのはそれじゃない。
須千は小さく息を吐く。
須千「守るって、なんだろう」
声に出した瞬間、自分でも分からなくなる。
守るって言葉は、あんなに簡単だったのに。
今日聞いたそれは、全部違って聞こえた。
こさめの顔が一瞬浮かぶ。
泣いていた。
でも、その理由を誰も同じ形では見ていなかった。
捺の顔も浮かぶ。
怒っていた。
でも、それは“悪意”じゃなかった。
(じゃあ、こさめちゃんは我慢するしかないの?)
(違う)
(でも……)
いるまの顔も浮かぶ。
迷っていなかった。
でも、それが一番怖かった。
すちは歩き出す。
須千「こさめちゃんも辛い…けどひまちゃんも辛い」
(じゃあどうすればいいの?)
(誰も間違ってないのかもしれない)
でも同時に思う。
(だからこそ、誰も止められない)
空はもう暗い。
さっきまでの言葉が、頭の中で静かに沈んでいく。
須千「理解するって、こういうことなのか」
少しだけ苦笑する。
嬉しくもない。
正しくもない。
ただ、重いだけだった。
そして最後に小さく言う。
須千「……もう、戻れないかもしれない」
風が通る。
その音だけが、やけに優しく聞こえた。
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コメント
5件
♡1000にしといたよー! 理解することに気づいたんすごいわぁ( ᐕ) 好き☆ これどうなるんやろ!(っ ॑꒳ ॑c)ワクワク
更新ありがとう! 🍵っちー気づいちゃったよ、、もう戻れないかもって 🦈ちゃんの親御さんのことも気になるし、もどかしいっ 続きも待ってます✊️
捺たちの関係がどんどん重くなってて、胸が苦しくなったよ……。須千の「それって本当に守れてるの?」っていう問いがすごく刺さった。誰も悪者にできないのに、誰かが傷ついてる。そういう“正解のない暴力”の描き方が本当にリアルで、考えさせられた🥀 いるまの「守る」が、もう誰のためなのかわからなくなってる感じが切なかった。続きも気になるけど、ちょっと息継ぎしたいかも……🌙
白玉くん
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ことみ
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