…悪魔執事になってから数日。
数日も経っているので、悪魔執事になったということに慣れを感じていた。
そんな時にこそ、悩みが生じる。
そう…我の主についてだ。
我の主は、未だ8歳の幼女。
まだまだ若く、今も元気に庭をはしゃいでいる。
元気があって良いものだが…見続けると少し疲れる。
…何故、我を担当執事にしたのだ。 悪魔執事の主。
『シロ〜!見て!シロツメクサいっぱい!』
そう、無邪気な声で我の周りをぴょんぴょんと跳ね回る。
「…何だ。そう花を粗末に扱うのではない」
地面に置いて何か作っているようだが、無視した。
何せ、我は絵を描いているのだからな。
あぁ…この風景も描こう。
そう思って、筆を進めた時。
『なにかいてるのシロ〜?ね、わたしに見せて?』
集中を奪うように、我の前に現る小さな頭。
「…お前も作業を進めろたわけ」
『えぇ…はーい……たわけってなんだろ?』
そう言いながらも、作業を進める。
どうやら先程集めた花の茎を結んでいるようだ。
何をしているのかさっぱり分からんが…とりあえず絵の続きだ。
もう少しで、完成しようとしたその時。
『でーきた!』
そんな相変わらず元気の良い声が聞こえた。
『シロ〜!見て!花かんむりできた!』
そう言って我の前に献上してきたのは、茎を結んで、輪にした冠。
「そんなものどうするつもりだ」
目線も合わせずそう言うと、また元気な声を発する。
『こーやって…シロのあたまにのっけて…へへ、にあう!』
我の頭の上に乗せられたのは、先程見せて来た花の冠。
「おい、何をしている」
『ん〜?シロはえほんに出てくる王さまみたいにかっこよくてすてきだからこーしてるの』
そう変な理由を言いながら、楽しそうに我を見る。
「はぁ……やっと描けた」
『え!どれどれ?みせてみせて!』
案の定目を輝かせながら、我の隣に来た。
『え、これって…わたし?』
そう、描いていたのは我の主が花の冠を作る工程。
「どうだ?…ほら、我の膝の上に座れ。よく見えるだろう」
隣にいる主を抱き上げ、我の膝に乗せる。
『わぁ…すごい…シロのおひざの上すわってる!』
きゃっきゃと騒ぐ主。
「言っておくが特別だぞ我は滅多にこんなことはしないのだからな」
そう言うと、疑問がある顔で
『じゃぁ〜…どーしてシロはわたしをおひざにのせたの?』
振り向きながら言った。
「…お前が見にくそうにしていたから乗せた」
はぁ…。
まだ何も知らない子供の質問に回答するのは大変だな。
そう思いながらも、その重さが心地いいと思えてきた時。
ふと、気がつくと、我の前に座っている主は眠っていた。
すやすやと…それはそれはいい夢を見ているような顔で。
「はぁ…仕方ないこいつの部屋まで運ぶか」
その小さな体を抱き上げ、立ち上がった。
『ん、む…しろ…へへ、だいすき…』
幸せそうな微笑みだった。
「はぁ…全く…」
何も気に留めず、歩みを進めようとした時。
我の顔が赤くなっていることに気づいた。
「っ…こやつ…」
この姿がこいつや他の執事にに見られなかっただけまだマシだ。
「仕方ない…我をここまでしたお前に褒美をやろう」
すやすやと熟睡している愛らしいその頬に、口付けをした。
「…この口付けはお前だけのものだ。可愛らしい…我の主」
一瞬、幸せそうに笑うこやつの顔が見えた気がした。
コメント
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シロ可愛い~.ᐟ.ᐟ.ᐟ シロが照れてるの見たことない、、 凄いわ、主ちゃん
…あかん主を自分に当てはめたらニヤニヤ止まらん…