今、全速力で走る面フクロウが流行っていると教えてもらいました。
英日です。歴代日本=日本ひとり で解釈してます。
イギリスさんの目の色は琥珀さまの「語り部屋」を参考にさせて頂きました。
「…私にも、嘘を吐き続けるおつもりで?」
見舞いに来てくれた同僚がまず発したのは、挨拶などではなかった。
「…?仮病じゃないですよ…?」
「わかっています。…第一そんな人じゃないでしょう。」
この間お尋ねしましたよね、という呟きに、海馬が著しく反応した。
風邪如きでお見舞い。流石紳士、律儀だなぁ…。などと呑気に思っていた自分をぶちのめしたい。
数日前、問い詰められていたことを完全に忘れていた。
「あなた、日帝…というか江戸さんでしょう?」
『ま ず い』。
その三文字が頭を埋め尽くす。
そう、ぬくぬくとした核の傘の中に慣れた自分でも、この状況のまずさくらいはわかるのだ。
治りかけの風邪とは無関係の冷や汗が背を伝う。
畜生。病人相手に容赦ねぇな、ブリカスめ。
心の内で悪態をついても、現実は何も変わらない。
とってもとっても自分好みの整ったお顔が、ニコニコしながら次なる言葉を待っているだけだ。
「…折角イケメンな上スパダリなんですからそんな萌え殺しスマイル向けるのやめてください。オタは死にます。」
「現代語を多用しようが無駄ですよ。」
思いついた作戦も、即刻で切り伏せられる。
『お前本っっっ当真面目アルなぁ…。いつかそれで大コケしそうネ。』
そんな中国さんの言葉が頭をよぎった。
それを理解した上での奇襲なのだとしたら、僕に打てる手はあるのだろうか。
何千年経っても克服できない弱点と、中国さんの観察眼の高さを再認識した。
あんた凄ぇよ中国さん、と胸中で嘆く。
作り笑いの裏で百面相をしていると、ため息が聞こえた。
「あなたにも事情がおありでしょうし、ふたりきりで話し合おうと思っていたのですが……」
「他の方々も入れて議論でもしましょうか…。」
「そっ、それは…!」
弾かれたように顔を上げ、凍りつく。
「おや。てっきり私の勘違いかと思い始めていたのですが?」
端正な笑みが深まった。
「なぜ、そうお思いに…?」
心なしか声が震え、ときめきとは異なるスピードで心臓が脈打つ。
必死に頭の交渉経験録をひっくり返す。
「反日国の皆さんに不快感を与えないためにも、お聞きしたいのですが。」
中国さんは知っているとはいえ、あの人以外の侵攻先もまだまだいる。
その人たちにバレるわけにはいかない。
最悪の事態を避けるため、僕はとっくのとうに詰んでいそうなゲームに乗った。
***
「そろそろ認めたらどうなんだ。」
日本特有ののらりくらりとした答弁にイラついたのだろう。
彼が交渉ごとにおいて曖昧さを何より嫌うことは百も承知だ。
「何のことやら。」
本当に忘れているのか…、やら何やら。ぶつぶつと呟きが聞こえる。
今の内に、疲れたフリをして寝てしまおうか。
「…日本さん。」
「はい?」
「…わかりました。あなたは『日本』。…そうですね?」
こっくりと首を沈めると、イギリスさんは深く息を吐いた。
「…それでは。お暇しましょう。」
「あ、はい…。お気をつけて…。」
安心し、肩の力を抜く。
わーいお布団だお布団だー!とめくったふかふかの布が、バサリと宙を舞った。
視界がぐるりと回る。
「…へっ?」
「謝らなければいけませんね…。私としたことが。後一つ、確かめていないことがありました。」
「あっ…あの…っ?」
情けなく声がうわずる。
「何してっ…!」
長い指が衣服を容易くすり抜ける。
自分はここを知っている、ほら思いだせ、とでも言うかのように小慣れた手つき。
抗議しようと開けた口から、甘い声が漏れ出た。
「ほら、やっぱり。」
くつくつと愉しげに喉が鳴らされる。
「私の、でしょう?」
ここ、と腹を優しく押された。
「ひぅっ…!?」
首筋を這う舌先、愛おしげに絡められる手、移り合う熱、体内を甘く突き抜ける異物。
体が勝手に快楽を思い出す。
怪しく光るエメラルドの双眸に目を奪われる。
そうだ、いつもこうやって……
紳士の皮を脱ぎ捨てた捕食者に跨られる。
その重みでさえ、甘い電流となって背筋を駆けて脳に伝わる。
「残念。チェックメイトだ、日本。」
高らかな宣言。
昂る身体を前にして、僕はキスを受け入れた。
(終)
コメント
7件
うへなんかもう神すぎて、、、、こんなもの無料で見れて良いんですか!!!!!!??? イギリスさんの砕けた口調も祖國の可愛さも全部だいすけです。本当に。 何故もっと早くにわか様を見つければよかったものを、!、、なので今からファンになります。責任とってください。よろしいですね?(訳:貴方が好きです)
なんて素敵な英日なんでしょう、最高でした。しかも私の設定を使ってくださるとは…ファンサかなにかでしょうか、嬉しいです。 英さん、最初は口交渉だけで聞き出そうとしてるのに結局直接身体に聞いてる所に、紳士らしさと強引さを感じてすごく萌えました。感情高ぶると敬語無くなってるのもいいですね、好きです。そして最後の日くん…江戸か日帝の時に英に愛されてた!?とワクワクしました。教え込まれた快楽が今になっても残ってるってめっちゃえっちぃですね。そのせいでバレるのほんとに好き…天才の所業ですよこれは。 素晴らしい英日を供給いただきありがとうございました!長文コメントと、遅ばせながらフォローも失礼いたします。
ふぁあ?あなた神ですか✨物語の書き方とかもうすごいです!(うまい)あと古参名乗っていいですか?