テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
411
朝が来た。執事が起こしにくる前、外は薄暗い。太陽が昇りかけてるとき、私は隣で寝かせているムーを静かに起こした。
「ムー、起きて。ごめんねこんなに早く起こしちゃって」
「あ、あるじさまー、おはようございますぅ珍しく早起きなんですね」
なんとも失礼なことを言う執事だろう。クスッと笑ってしまった。とりあえずベッドに乗せる。
「ムー、眠いとは思うけどしっかり聞いて欲しいの。そしてこれは決まったことだから、どうにもならないから、、っちゃんと聞いてね」
やはり言葉にしようと思うと辛い、ムーも大事な話だと感じ取りパッチリ目を開けてこちらを見つめた。 大声を出さないことを約束しムーに話し始める。
話し始めてどんどんムーの顔色は悪くなる。
きっと私も例外ではない。最後まで話しムーを見ると泣きながら私に抱きついてきた。
こんな顔させたくないのに、っ申し訳なく、
私も強くムーを抱きしめた。
「主さまっ泣、執事さん達のためとはいえ悲しすぎますっ」
「うん、っ、そうだよね、でもみんなを守りたいのっ」 ごめんねと言いながらムーを泣き止ませる。
もう執事が起こしにくる時間が迫っているからだ。
「急にこんなことになって本当にごめんっ、ムーは私についてきてくれる?」
わかりきっているだろうと言う顔でムーが答える。
「もちろんです!泣主さまを一人にはさせません!泣」
それからベリアンが起こしにくるまで二人で抱きしめ合った。
朝食
「主様!おはようございます!今日はグロバナー家に行く予定でしたよね?たくさん食べて元気出してくださいね!」
「笑うん!ありがとうね〜」
ムーはまだ浮かない顔だが、私は笑って見せた。最後のロノの、ご飯。じっと見ているとバスティンが顔を覗いてきた。
「主様?どうした、今日の朝食はお気に召さないだろうか?」ご飯に手をつけない私を心配してくれたのだ。本当に優しい。こんな人たちが危険なわけない、それでも世間は許してくれないのだ。ましてや権力のある貴族は絶対的存在
私は一人が戦える相手ではない、
「そんなことないよ〜今日も美味しそうだなって笑」
「そうか、それは良かった」
こんな日常も終わりを告げる、急だったな。
それから朝の散歩をし、2階の執事達と話し、
地下に行き地下のみんなと話した。今日はもう全員と話したかったからだ。みんな私を見ると笑って駆け寄ってくれる。目を合わせて笑いかけてくれる。それだけで涙が出そうだ。3階ではいつも通りラムリとナックが喧嘩してユーハンに怒られているハナマルを見て笑った。そして時間はあっという間に過ぎてしまい、私はベリアンとグロバナー家に向かった。パレスにみんなにバレないように小さくお辞儀をした。今日はムーも連れて行くねとベリアンにお願いし、一緒に向かった。
馬車の中
「主様今日は天気がすごくいいですね」
「あ、そうだね、」
馬車が揺れるに連れ緊張が増していく。もうついてしまうのではないかと、顔も強張ってしまう。
「、?主様どうかなさいましたか、」
「あっいや!ボーっとしてただけだよ!こんなにいい天気なのにグロバナー家に行くのがね〜笑笑」
「そうだったのですね、主様にはゆっくりしていただきたいのですが申し訳ありません、」
「ベリアンは悪くないでしょ〜笑」
「パレスに帰ったら紅茶をお淹れしますね。
晴れていますから夜は星も綺麗でしょうしみんなで見ましょうか」
ベリアンは当たり前のようにこれからも私がいる話をする。なんて心苦しいんだろう。
ムーも悲しい顔をして私のお腹に顔を埋めていた。ムーも精一杯執事にバレないようにしてくれているのだろう、、
ここで私が了承してしまえば、約束を破ることになる、っ
「できたらいいね」そう答えるしかなかった。
グロバナー家
あぁ、お別れだ。ベリアン、
最初にこの世界にきて出会ったのがベリアンだった。最後も貴方なんだ、
ベリアンにバレない程度に最後の言葉を交わす
「ベリアン、フィンレイ様と話すのが少し長くなるかもしれないから、」
「分かりました、大丈夫ですよ、待っていますので」
「っ、今日は暑いから体調にも気をつけるのよ、」
「?、分かりました」
どうしよう、一歩目がでない、ここから動きたくないのだ。泣き出してしまいそうだ。
動かない私にベリアンが心配そうに見ている。
「では主様行きますよ、」
私を見兼ねたムーが答えた。
「うん、」バイバイと手を振るとベリアンも微笑んで手を振ってくれた。
さようなら、ベリアン、みんな
それからは早かった。フィンレイ様が準備をしっかりとしていてくれたおかげでフィンレイ様と合って10分もしないうちに私はムーを抱えて静かにグロバナー家から出て新しい場所へと旅立った。小さな馬車に乗せられ、とうとう私は泣き出してしまった。わかっていても一緒にいたかったんだ。その間ずっとムーが慰めてくれていた。
執事side ベリアン
30分経ったときだった。フィンレイ様が足早にお部屋から出てこられ私の方へ来られました。
「ベリアンよ、主が急に消えてしまったんだが、、」
背筋が凍りました。急いで部屋に行くと、壊れて割れた主様の指輪が机にポツリと置いてあるだけでした。
「急に消えたんだ、これはどう言うことなのだ?」
指輪が壊れたと言うことはこちらに戻る算段は主様にはない、、。立ってられず、近くの壁に手をつく。どうしよう、、もう会えない、、
世界でただ一人守ると決めた最愛の方がいなくなった。、、会えない、それも私がついていながら。 漠然とした事実に頭が追いつかない 。
「主様は消えられた。、、フィンレイ様、一度パレスに戻ってもよろしいですか、」
「あぁもちろんだ、」
それからどう帰ったかは覚えていない、
外は暑いと言うのに冷や汗が止まらなかった。
どうして、置いて行くのですか、
玄関を開け執事達全員を食堂へと集める。
ベリアンの様子がおかしいため執事達が少し混乱しつつあった。
ベリアン「皆さん揃いましたね、」
ミヤジ「全員いるね」
フェネス「主様がいないけど、どうしたんですか、ベリアンさん」
ベリアン「落ち着いて聞いてください。そのことで皆さん、今日グロバナー家に行った際、主様が消えられました」
全員「、っ!?」
ボスキ「どう言うことだよ、ベリアンさん」
ベリアン「そのままの意味です。この指輪を残し、消えられました。フィンレイ様とお話し中だったそうです。」
ルカス「うーん、全然信じられないけど、主様にはもう会えないってことかい?」
ベリアン「指輪が壊れた今、そうでしょうね、」
執事全員が頭を抱える。泣く者や、外へ探しに行こうとする者、それを必死に止める者。
色々だ、
ナック「ですが、主様はもう指輪は天使の討伐後すぐ壊れたとおっしゃっていました、」
ラムリ「そうだよ!泣使えないって言ってたよ!」
ユーハン「きっと誤作動でしょう、主様すらわからなかったのではないでしょうか」
テディ「こんなお別れ嫌です、」
号泣なテディをハナマルが静かに慰めていた。
シロ「勝手にいなくなるなど、、っ」
ベレン「、シロ」
クロウザー「、確かに急すぎるねこれは」
どうすることもできない。
気まずい静寂が流れる、生きがいだった者がなくなりそれからパレスに笑顔が消えていった。
主がいなくなり3日後
ハウレスが全員を主の部屋に呼び込んだ。
フェネス「どうしたの、ハウレス」
ハウレス「主様のお部屋を掃除しているときにこれが、、」
分厚くなった一つの封筒だった。封筒にはみんなへと主の字で書いてある。
フルーレ「それ、主様が書かれたものですよね」
ラト「そのようですね、」
アモン「とりあえず読んでみるっすよ」
ハウレスが代表して読み始める
みんなへ、
遺書的な感じでとりあえず私がいなくなった時用に書いています。
みんな落ちみすぎているでしょ?主だからそれぐらいわかっています!悲しんでくれるのは嬉しいけどそろそろみんな立ち直って欲しいな。
泣いてる人とか仕事手につかない人とかいると思うけど私が大好きなパレスをみんなで守ってね。もちろんパレスから出て自分の好きなことしてもいいんだよ。みんなの人生なんだからしっかり楽しまなきゃ!別れてもいつかまたきっと会えるからね。みんな体調に気をつけて元気にしてください。ではまた会う日まで、
そこからは一人一人に一言ずつほどのメッセージだった。読みながらハウレスが泣き出してしまい後半はミヤジが変わって読んでくれた。
本当に主にもう会えないのだと、実感が湧いてくる。執事達は二度目の絶望と対峙することとなってしまったのだ。それでも誰も悪魔化しないのはきっと主の元気でいて欲しいと言う願いを守る執事の姿なのだろう。手紙を聞き終わると自然と全員が各々の仕事を再開しだす。言わなくてもわかる。みんなで主の大事なパレスで待ち続けることを決意したのだ。
コメント
1件
うわあ…めちゃくちゃ切なかった…。主人公がみんなを守るために、笑顔で別れの準備を進めてるところがもう辛すぎる。特にベリアンとの最後のやり取りと、あとから執事たちが手紙を読むシーンで涙腺やられたわ。一人ひとりに想いを残してるのが、どれだけ大事に思ってたか伝わってきてグッときた。「また会える」って信じたい気持ちにさせられる話だったな…。