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教室リーグ~底辺モブ生徒が分析スカウターで超名門校の序列をぶっつぶす~
第35話 - 第35話 システムをバグらせる絶対的王者の初接触!「太陽」に捕捉されたモブ生徒の戦慄
7
2,741文字
2026年05月10日
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35-1◆太陽の追跡、そして最初の邂逅◆
その日の放課後。
俺は一人、校門へと続く並木道を歩いていた。
夕日が、長く影を作り出す。
今日の成果を反芻しながら、俺は静かな思考の海に沈んでいた。
その静寂を最初に破ったのは、遠くから聞こえてくる甲高い声だった。
一つではない。
いくつもの女子生徒の声が、重なり合った一つの塊。
(なんだ?)
俺は眉をひそめる。
その声は、だんだんと近づいてくる。
悲鳴のようでもあり、歓声のようでもある奇妙な響き。
そして俺は見た。
体育館の方角から、こちらへ走ってくる一人の男子生徒の姿を。
そしてその後ろを十人以上の女子生徒たちが「キャー!」と叫びながら、追いかけてくる異様な光景を。
(アイドルの出待ちか何かか?)
俺は面倒ごとを避けるように、道の端へと寄る。
だが先頭を走るその男子生徒。
その姿には、見覚えがあった。
バスケの練習着のまま息を切らして、走ってくる男が見える。
そして、その男が俺を呼ぶ声が聞こえた。
「待ってくれ!音無くん!」
まるで後光が、差しているかのようだ。
夕日に照らされた彼のその姿は、あまりにもキラキラと輝いていて
俺は目を細めた。まぶしくて見えない。
彼は追いかけてくるファンたちには目もくれず、その進路を真っ直ぐに俺へと向けた。
俺に、向かって走ってくる。
(なぜだ?なぜ俺の方へ?誰だ?)
俺の思考は混乱する。俺はさらに目を凝らす
え?まさか?天宮 蓮司?
これは、俺の脚本にはない。
完全に予測不可能な事態だ。
天宮は、俺の目の前でようやく足を止めた。
彼の後ろで追いかけてきたファンたちも足を止め、遠巻きに俺たちを見ている。
なんだなんだと、野次馬も集まり始めた。
『誰だよ。あいつ。え、あれ?音無とかいうやつ?』
『まさか?天宮くんが話しかけてるの?あいつに?』
その全ての視線が、俺と天宮の二人に突き刺さる。
天宮の額には汗が光り、肩で息をしている。
彼はバスケの練習着のまま、どうやら練習を中断して、俺を追いかけてきたらしい
天宮は肩で息をしながらも、その完璧な笑顔を俺に向けた。
まぶしい太陽を、背にした彼のその姿は、本当に後光が差しているかのようだった。
そして彼は言った。
「はあはあ。やっと追いついた」
「君が、うちのクラスの音無くんだよね」
その瞬間。
俺のスカウターが激しく明滅し、警告音を発した。
【ERROR】
【ERROR】
【SYSTEM OVERLOAD: 観測不能な対象です】
――強制再起動中。 ――対象を”特殊解析モード”に切り替えます。
【Target: 天宮 蓮司】
・筋力値:88(A)
・知能指数(IQ換算):147(S+)
・運動能力:96(S++)
・カリスマ性:S+(光輝的支配力)
・魅力度:限界突破(測定不能)
・社会的影響力:EX(規格外)
・あなたとの関係性:???
・注意:対象は”観測理論”を超える存在です
(バグってるのか?)
ミラー:「いや、違う。これは”現実”だ。お前のスカウターは正しく機能している」
奏:「”観測不能”って。カーストスカウターの計測能力の限界を、初めて感じている」
ミラー:「こいつこの世界のルールの外にいる」
(理解不能。だが、一つだけ確信した)
――天宮 蓮司は、この世界の構造そのもの”を変える存在だ
俺は生まれて初めて、自分では決して、分析できない本物の「太陽」を目の前にしていた。
そしてその太陽が今、俺に話しかけている。
この物語は今新しいステージへと突入した。
35-2◆太陽との対話、そして世界の広さ◆
俺は生まれて初めて、本物の「太陽」と向き合っていた。
そしてその太陽が今、俺に話しかけている。
【SYSTEM OVERLOAD: 観測可能範囲を超えています】
【思考読み取り不能】
俺のカーストスカウターは、意味不明な文字列を繰り返すだけ。
初めての事態に、俺の思考は、珍しくパニックに陥っていた。
奏:「状況が読めない。なぜ天宮は俺を追いかけてきたのか?わからないことだらけだ」
ミラー:「落ち着け。脚本家だろ。相手のセリフを待て。まずは、そこからだ」
ミラーのその言葉で、俺はかろうじて、冷静さを取り戻す。
天宮蓮司は、太陽のような笑顔を俺に向けていた。
「同じクラスなのに、ほとんど話したことなかったね」
「ああ。そうだな」
俺は短く答えるのが精一杯だった。
天宮は続ける。
「実は音無くんに、一刻も早く礼を言いたかったんだ」
「礼?」
「まず隼人・律・莉奈の中間試験の成績。あれだけ素晴らしい成績を取れたのは君のおかげだと、律から聞いた。本当、嬉しかったよ。ありがとな」
俺は何も答えない。
「あとあれだ。長峯と三好の揉め事を仲裁してくれたとか。これは隼人から聞いたんだけど、本当にありがとう。長峯は、俺がもっとも期待している後輩なんだ。」
奏「やめてくれよ 天宮くん 当然のことをしただけだ」
天宮「とにかく大きなケガもなくよかったよ。君のおかげだ」
(礼、か。当然だ。クラスのその他大勢と同じ。この太陽もまた俺の脚本通りに完璧に踊ってくれたというわけだ)
俺の心に一瞬だけ、傲慢な満足感が浮かぶ。
だが、すぐにそれは別の感情に取って代わられた。
(だが本当にそうか?)
俺は目の前の男の、そのあまりにも純粋な瞳を見つめる。
そこには、一点の曇りもない。ただの善意の塊。
(俺の全てを見透かす上で、あえてこの言葉を口にしているのではないのか?)
(俺という新しいプレイヤーを試すために?)
分からない。
こいつだけは、本当に分からない。
俺の目の前にいるのはただの「お人よし」なのか。
それとも俺の想像を遥かに超えた「怪物」なのか。
その判断が、全くつかなかった。
俺は、思考を切り替える。
観測者として、情報を引き出すことに集中する。
「それはそうと、天宮くんは今日は学校に来てなかったよな?」
「ああ。今日はちょっと大事な用事があってね。夕方の部活から学校に来ているんだ」
「へえ、どんな用事?もしよかったら教えてくれるか?」
俺は単純に、王の高尚そうな用事に興味がわいた。下世話な好奇心だ。
俺のその不躾な質問に、天宮は嫌な顔、一つせず答えた。
「天宮財団が主催する全国高校生英語ディベート選手権が、今年は京都で開かれるんだ。その準備会議だよ。俺も特別顧問として参加してるんだ。高校生の立場から意見を出しているんだ」
「高校生の英語ディベート?」
俺のよく知らない言葉。
俺の生きてきた世界とは、全く違う次元の言葉。
「11月の下旬から開催予定なんだ。会場は、できたばかりの天宮記念ホール。全国から優秀な高校生が集まる。亜里沙も出場するはずだから。君も興味があれば、見に来てくれよ」
天宮は、屈託なく笑った。
その笑顔の前に、俺はただ呆然と立ち尽くすしかなかった。
彼が見ている世界の広さを、今初めて思い知らされた。
#三角関係