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教室リーグ~底辺モブ生徒が分析スカウターで超名門校の序列をぶっつぶす~
第36話 - 第36話 善意の爆弾投下!クズの救済を迫る「太陽」の無自覚な暴力と、暴かれた完璧超人の欠落
16
2,241文字
2026年05月10日
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36-1◆太陽の善意、そして悪魔の踏み絵◆
俺のスカウターが、機能不全に陥る中、天宮 蓮司は太陽のような笑顔を俺に向けていた。
俺は必死に、賞賛の言葉を口にする。
「へえ、さすが天宮くんだね。俺とはスケールが違うな」
すると天宮は、困ったように笑った。
「俺なんて、ただの親の七光りだよ。むしろ君からは何か人とは違う凄みを感じるよ」
「俺なんて、超凡人だよ」
その鋭い指摘に、俺は内心で、激しく動揺していた。
「あ、もう練習に戻らないと。じゃあ、またな音無くん。話せてよかったよ」
天宮はそう言うと、体育館の方向へと踵を返す。
(なんてさわやかで、いい奴なんだ。天宮の周りには、いつも人が集まるのがよくわかる)
奏「ああ、わざわざ追いかけてきてくれて、嬉しいよ また明日な」
天宮と別れて、俺は家路を急ぐ。そのときだった。
「あーそうそう、忘れてた」
天宮が振り返り、俺を呼び止めた。
その瞳には、一点の曇りもない。
純粋な善意だけがそこにある。
そして彼は、その日、最高のそして、最悪の爆弾を俺に投下した。
「もしよかったらなんだが、俺の親友の三好のことも、助けてやってくれないか?」
「え???」唖然とする俺
「三好は、本当はいい奴なんだ。あんなことするには何か理由があったはずだ」
その言葉が、俺の思考を完全に停止させる。
脳内のウィンドウが緊急警報のように開いた。
ミラー:「何だそれ?。最悪のお願いだな」
奏:「こいつは何を言ってるだ?あんな最低のクズ野郎に」
ミラー:「そうだよな。こいつ、本心なのか?」
奏:「どうする。どう答える。YESと言えば、俺が完成させた脚本が破綻する。NOと言えば天宮の善意を無下にし、彼との関係が悪化するかもしれない」
ミラー:「逃げ場はない。お前は今、神に踏み絵を迫られている。どうする?音無 奏」
俺は数秒の沈黙の後、ゆっくりと口を開いた。
その顔には最大限の「共感」の仮面を被って。
「三好のこと心配なんだな。親友なんだろ。分かるよ、その気持ち」
声がわずかに震えていることに、自分でも気づいた。
喉が乾く。舌がうまく回らない。
「協力したい。だが俺には、彼を助けられるような器量はないよ」
言葉を吐き出すたび、胸がひくつくように痛んだ。
掌にじわりと汗がにじむ。
ポケットの中で、握りしめた拳が冷たく湿っている。
しかし、天宮はそれを見透かすように微笑んだ。
まるですべてを見ていたかのように。
「そうかな。君ならそれくらいできそうだけど」
その瞬間、俺の背筋に冷たいものが走った。
額から流れる汗が一筋、顎を伝って落ちる。
呼吸が浅くなるのを、必死に隠す。
(こいつ!)
俺はその鋭すぎる観察眼に戦慄する。
俺は最後に、曖昧な言葉で、その場を凌ぐしかなかった。
「俺に何ができるか?わからないけど、俺なりにやってみるよ」
「うん。頼んだよ」
天宮は満足そうに頷くと、今度こそ、本当に体育館へと走り去っていった。
後に残された俺の心臓は、破裂しそうなほど脈打っていた。
36-2◆姉の観察眼、そして太陽の黒点とは?◆
自宅の玄関のドアを開けた時、俺の足は鉛のように重かった。
天宮 蓮司との邂逅。
その衝撃は俺が思っていたよりも深く、俺の思考回路を蝕んでいた。
リビングのソファに、倒れ込むように座る。
「おかえり。あんた、いよいよ本格的に幽霊になったんじゃないの?顔色最悪よ」
スマホから、顔を上げた姉の彩葉が呆れたように言う。
俺は答えない。
答える気力もなかった。
その俺のただならぬ様子に、彩葉は何かを察したらしい。
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彼女はスマホを置くと、俺の向かいに座り込んだ。
「で?何があったのよ。最近調子がよさそうだったあんたが、そこまで魂の抜けた顔するなんて」
俺は、しばらく逡巡した。
この姉に教室リーグの話をしても、理解されるはずがない。
だが俺は、誰かに話さずにはいられなかった。
この俺の理解を超えた存在のことを。
「姉さん」
俺は、ぽつりと呟く。
「もし、この世に完璧な人間がいたらどう思う?」
彩葉「そんな奴、いるわけないじゃない」
「それがうちの学校にはいるんだ。俺にも信じられないんだ」
俺は今日の出来事を説明した。
俺のクラスにいる天宮 蓮司という男のこと。
家柄も資産もルックスも、人格も人望も学力も運動神経も。
その全てが高スペックで、非の打ちどころのない人間であること。
そして話したこともなかった男が今日、わざわざ俺を追いかけてきて、礼を言ったこと。
俺は、復讐や策略などではなく、ただただ純粋な疑問として彼女にぶつけた。
「こんなやつに、何か欠点とか人間味ってあるのかな」
俺のその問いに、彩葉は一瞬だけ、遠い目をした。
そして、まるで世界の真理でも語るかのように、静かにこう言ったのだ。
「彼はいつでも誰からも、大切にされていそうね。だからこそ、あるんじゃない?たった一つだけ」
「一度も転んだことがない人間は、本当の痛みを知らない」
「そして人の痛みや、弱い部分・人間の汚い本質を本当の意味で理解することもできない」
「なぜなら、多分、彼は周囲に持ち上げられるだけの人生だったから。」
「誰もが彼に悪意を向けたことがない。そういうことじゃないの」
その言葉。それは俺のスカウターが、決して導き出すことのできない答えだった。
俺の凝り固まった思考を破壊する天啓。
(人の痛みを理解できない?人間の汚さも知らない)
その言葉が、俺の思考の中に新しい光を灯した。
天宮蓮司という太陽。
その輝きの中心にあるかもしれないたった一つの「黒点」。
俺は初めて、その存在の輪郭を捉えた気がした。
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