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第五話 失われた星の都
レインとリリアが森を抜けてから、三日が経った。
目的地は北にある古代遺跡。
かつて「星の都」と呼ばれた場所。
千年前、星喰いが存在していた時代に栄えたと言われる都市だった。
「本当にそんな場所があるのか?」
荒れた道を歩きながら、レインは尋ねた。
リリアは地図を見ながら答える。
「存在する」
「ただし、普通の人間は辿り着けない」
「なぜ?」
「封印されているから」
レインは首を傾げる。
「街なのに?」
「正確には、街そのものが封印装置なの」
リリアは遠くを見る。
「昔、星喰いを恐れた人々は、力に関する全ての記録を隠した」
「その中でも最も重要な場所が、星の都」
レインは胸の紋章に触れる。
「そこなら……俺のことも分かるのか」
「可能性はある」
リリアは少し間を置く。
「でも、覚悟して」
「何を?」
「真実を知った時、今の自分でいられる保証はない」
その言葉に、レインは黙った。
自分はただの村人だった。
普通に暮らして。
普通に歳を重ねるはずだった。
それが今は。
世界を滅ぼせる力を持つ存在。
運命というものがあるなら、あまりにも突然すぎた。
「それでも行く」
レインは答えた。
「知らないまま逃げるほうが嫌だ」
リリアは小さく頷いた。
「……やっぱり変わってる」
数時間後。
二人は巨大な岩山の前に辿り着いた。
地図には何もない場所。
しかし、リリアが手をかざすと――
空間が揺れた。
岩壁がゆっくりと開いていく。
その奥に現れたのは。
巨大な扉。
扉には、レインの胸にあるものと同じ黒い星の紋章が刻まれていた。
「……」
レインは息を呑む。
「俺の紋章と同じ」
「そう」
リリアが答える。
「ここは星喰いを迎えるための場所」
レインが扉へ近づく。
すると。
紋章が光った。
ゴゴゴゴ……。
長い年月、閉ざされていた扉が開く。
中から冷たい風が流れ出した。
『認証確認』
『星喰い適合者』
『入場を許可』
アークの声と同時に、古代都市への道が開かれた。
「……すごい」
レインは言葉を失う。
そこには巨大な建物が並んでいた。
空中に浮かぶ塔。
光る水路。
動き続ける古代機械。
千年前に滅びたとは思えないほど、美しい都市だった。
「ここが……」
「星の都」
リリアが呟く。
「昔、星喰いたちが暮らしていた場所」
レインは振り返る。
「星喰いたち?」
「星喰いって、一人じゃなかったのか?」
リリアの表情が曇る。
「違う」
「本来、星喰いは世界を守るために作られた存在だった」
「え?」
レインは驚く。
「じゃあ、なんで悪者になったんだ?」
リリアは答えようとした。
しかし、その前に。
都市全体に声が響いた。
『侵入者確認』
『星喰い継承者を確認』
二人が振り向く。
巨大な石像が動き始めていた。
人の姿をした守護者。
全身が金属と石でできている。
『試練を開始します』
リリアが剣を抜く。
「守護兵……!」
「知ってるのか?」
「星の都を守る古代兵器」
「倒すのは不可能と言われている」
レインは苦笑する。
「また無理そうな相手かよ」
守護兵の目が光る。
『星喰いの資格を確認』
『戦闘開始』
次の瞬間。
巨大な拳が振り下ろされた。
地面が割れる。
レインとリリアは左右へ飛ぶ。
「速い!」
見た目とは違う。
巨大な体からは想像できない速度。
リリアが攻撃する。
「《光刃》!」
斬撃が命中。
しかし傷一つつかない。
「硬すぎる……!」
レインは守護兵を見る。
『解析開始』
『名称:星守護者』
『能力:星核装甲』
『通常攻撃無効』
「通常攻撃無効……」
なら。
レインは右手を見る。
「試すしかないか」
黒い光が集まる。
《星喰い・吸収》
守護兵へ触れる。
しかし。
バチッ!
強烈な衝撃が返ってきた。
「ぐっ……!」
『警告』
『対象は星喰い対策用に作られた存在』
『吸収困難』
守護兵が再び拳を振り上げる。
その時。
レインの胸の紋章が強く輝いた。
知らない声が聞こえる。
『資格者よ』
『力だけを見るな』
『星喰いとは、奪う者ではない』
『選ぶ者だ』
「誰だ……?」
目の前に、一人の少年の幻影が現れる。
黒い髪。
レインと同じ紋章。
「初代星喰い……?」
幻影は微笑む。
『答えは、お前自身が見つけろ』
そして。
レインの中に新たな力が流れ込む。
『第二能力解放』
《星喰い・共鳴》
その瞬間。
守護兵の動きが止まった。
『認識変更』
『敵対対象から継承者へ変更』
巨大な守護兵は跪く。
リリアは驚く。
「戦わずに……認めさせた?」
レインは自分の手を見る。
「俺は……」
「一体何者なんだ」
その問いに答えるように。
都市の中心で巨大な扉が開いた。
その奥にあったもの。
それは――
千年前の星喰いが残した記録。
そして。
『最後の星喰いは、仲間に殺された』
という衝撃の真実だった。
レインの冒険は、ここから本当の意味で始まる。
コメント
1件
第5話、読ませていただきました! 星の都の描写がとても美しくて、一気に引き込まれました。特に「星喰いとは、奪う者ではない。選ぶ者だ」という初代の幻影の言葉が心に残っています。レインが戦わずに守護兵を認めさせたシーン、じんと来ましたね…。そして最後の「仲間に♡♡♡れた」という衝撃の真実!続きが気になりすぎます✨ れあさんの紡ぐ世界観、とても好きです。次話も楽しみにしていますね🌷