テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
学校に登校し、教室に入る咲楼(さくろう)。
「咲楼ーおはー」
教室に入るとクラスのほとんどから挨拶され
「おはよー」
と返す咲楼。席につくと
「咲楼、おは」
と彩愛(あい)に挨拶される。
「おはよ、彩愛。…」
周囲を見回す咲楼。
「…六奏(ろっか)は?」
「まだ来てないけど?」
「…そ」
「ん?六奏になんか用あったの?」
「いや別に。なんとなく聞いただけ」
「なんだそれ」
そんな六奏はというと、少し寝坊をして大あくびをして駅にいた。
「…ねっむ」
音楽を聴きながらそう呟き、ポケットに両手をつっこんだままホームを見渡す。
すると亀池(きゅうち)学園の制服の生徒がいた。しかしなんとも思わなかった六奏。
眠すぎてボーッっとしていた。するとその亀池学園の生徒と目が合う。
「…あ」
六奏はボーッっとしていて気づいていなかったが、目が合った亀池学園の生徒のほうは気づいた。
あの人って、夏が好きな木場野(こばの)さんだよね?
と沙耶(さや)は気づいた。なのでペコッっと頭を下げた。下げられた六奏はそれでようやく頭が少し働き
…誰だ?
と眉間に皺を寄せて、目を細めて沙耶を見る。そして少ししてから
「…あぁ〜!」
と気づいた。そしてワイヤレスイヤホンを外しながら近寄っていく。
「おはようございます!」
うるさいくらい元気な挨拶をする六奏。
「あ、おはようございます」
と返す沙耶。しかし
…なんて名前だっけ
と思う六奏。なので
「こないだはありがとうございました!」
と名前を言わずに会話を続けることを決意した。もちろん
…。えぇ〜…あぁ〜…
と頭の中の小さな六奏が頭を抱えるように思い出しながら。
「あぁ。いえ。こちらこそ楽しかったです」
とペコッっと頭を下げる沙耶。
「いやいや。こっちこそ、楽しんでもらえたならなによりでございやす」
ニコッっと笑う六奏。
「木場野さんは夏とは同じ中学だったんですよね?」
「あー、そうなんですよ」
「仲は良かったんですか?」
「…」
腕を組む六奏。
「悪くはなかったー、と思うっすけどぉ〜…」
めっちゃ仲良かった記憶はないな
と思う六奏。
「ま、そんな感じっすね」
「話したことはあるんですか?」
「もちろんもちろん!オレクラスで、いや、たぶん学年で話したことない人いないっすから」
「むっふーん」というように鼻の穴を広げ、得意げな顔をする六奏。
あぁ〜。The陽キャだ
と思って隣で頷く沙耶。
「そうなんですね」
「でもなんで急に蒲名(かばな)の話出てきたんですか?」
と不思議そうに聞く六奏に
…なんで。さすがに「夏が木野場さんのこと好きらしいので」とは言えないし…
と思う沙耶。
「…仲が良くて、同じ中学だったって聞いたので」
「なるほど?」
なんて話ながら途中まで2人で登校し
「おっはよーございまーす!」
と六奏は上機嫌で教室に入った。
「咲楼ー彩愛ーおっはよー」
「やべぇ。いつも以上にウゼェ」
と彩愛が言う。
「おいぃ〜誰がウザいだコラァ〜」
と笑顔で彩愛の肩に腕を回す六奏。
「どしたん?」
咲楼が聞く。
「いやぁ〜…。朝から癒されたわ。うん」
と浄化されたような顔をしながら頷く六奏。
「なに?JKのパンツでも拝めた?」
と彩愛が言う。
「いやぁ〜残念ながら今日はなかった」
「残念ながら」
と呟く咲楼。
「じゃあなに?この異常なテンション」
と彩愛が聞くと
「あぁ。聞いちゃう?聞いちゃいます?」
とウザい六奏。
「…、あ、別にいいや」
と言う彩愛。
「実はなぁ〜?」
関係なく喋り出す六奏。
「こないだ合コンした女子の1人と朝会って、一緒に登校したんですょ〜」
「なあぁ〜にぃ〜?」が聞こえそうな言い方で言う六奏。すると実際に
「は?どーゆーことだよ六(ロク(六奏のアダ名))」
「そもそも合コンってなんだよ。オレら呼ばれてねぇぞ」
とクラスメイトの目つきが変わり、襟首を掴まれて連行され、囲まれていろいろと取り調べが行われた。
「えっ?木野場くんに会ったの?」
一方亀池(きゅうち)学園では、沙那が朝、六奏に会ったことを夏に伝えていた。
「朝たまたま」
「マジかぁ〜…」
と項垂れる夏。
「夏家とか近いんじゃないの?」
恵流(える)が、別に興味があるわけではないが、何気なく聞く。
「いやぁ〜…。遠くはないはずなんだけどね?同じ中学だし」
「じゃあ朝待ち合わせすればいいんじゃね?」
「待ち合わせするような仲じゃないんですわぁ〜…」
なんだ今の言い方
と思う恵流。
「え。好きなんでしょ?」
どストレートに聞く恵流。
「えっ?ストレートがすぎん?」
「いや、合コンのときの説得のとき言ってたじゃん」
「そうなんだけどさ?」
「アタックしたほうがいいよ。他校ならなおsー」
「なおさら」と言おうとしたところで気づく。
「そっか。男子校か」
「そう」
「じゃ、別に誰かに惹かれる可能性も低いのか」
「そこはね?あんま心配してないんだけど」
「でも男子って「あ、こいつオレのこと好きだな」って思わせたら、相手を意識するようになるらしいよ」
「そうなの?」
それを聞いて「そうなの?」と思ったのは夏だけではなかった。
そうなんだ
と思った沙耶。
「え。じゃあアタックしようかな」
「ま、好きオーラ出しときゃいいんじゃね?」
「恵流先生。好きオーラとはどうやったら出せるんでしょうか」
「ボディータッチとか」
「…」
六奏に対してボディータッチをする自分を考える夏。
んん〜…。元モブの私にはハードルが高い
と思った夏。
「先生。もっとハードル低いやつないですかね」
「…んん〜…。めっちゃ目合わせるとか」
と言う恵流に
目を合わせるくらいならできそう。でも会う前提かぁ〜…
と思う夏。
「LIMEとかでできるテクニックとかないですかねぇ〜」
「私も恋愛上級者じゃないんだけどね?」
「またまたぁ〜」
「…。幸乃萌(このえ)とか凪友(なゆ)に聞いたほうがよくない?」
と教室の後ろに溜まっている女子グループを見る恵流。
「いやぁ〜。あの陽キャ女子集団に「ねえねえ!恋愛のいろは教えて!」なんて言う勇気は
私にはないのですよ」
「夏のテンション感ならいけそうだけど」
と言う恵流に
高校デビューの元モブですよ?今年棒高跳びを始めたばっかりな人に
10メートル飛べって言ってるようなものですよ?無理がありますって。
※棒高跳びの世界記録は、男子ですら6メール31です。10メートルは素人どころかプロでも無理です。
と思う夏。
「無理。なので恵流センセー。お願いしますだ」
「…。ま、頻繁にLIMEすることかな」
「おぉ。めっちゃ簡単」
「ただ時間は空けたり、即返したりまちまちね」
「時間空けるのは聞いたことあるけど、即返すのもありなんだ?」
「いや、メリハリ?即返すというか、あまり時間を空けずに2、3回くらい返して
次は時間空けることによって、相手は「あれ?返ってこなくなった」って思って
返信が待ち遠しくなるんだって」
「勉強になります」
と目を輝かせて言う夏。
たしかに。勉強になります
と心の中でお辞儀をする沙耶。
「LIMEでもミラーリング?が効果的らしいよ」
「ミラーリング!聞いたことあります!同じような仕草をするやつですよね!」
「そそ」
「でもLIMEでミラーリングってどういうことなんですか?」
と聞く夏に、興味があって沙耶もこっそりと聞く。
「まー、たとえば、メッセージ2つ届いたら、1つにまとめて返すんじゃなくて2つに分けて返すとか
メッセージとスタンプが来たら、メッセージとスタンプで返すとか」
「なるほど。…同じスタンプ買うのはどうですかね」
「いいんじゃない?話の話題にもなるだろうし。ただ」
「ただ?」
ただ?
「そのスタンプの話題になって自分にその知識がなかったときね。相手の印象がどうなるかは知らん」
「…なるほど」
なるほど
と全然恋愛上級者でもない恵流先生の授業を聞いていた夏と沙耶。
「…長ぇ長ぇ。取り調べが長ぇ」
取り調べから帰ってくる六奏。
「六(ロク)ー、今度開催されるときはオレらも呼べよー」
クラスメイトが言う。
「呼ぶかバーカ。雰囲気ぶち壊れだわ」
と返す六奏。
「で?」
と言う咲楼。
「ん?」
「誰と会ったの?」
「あぁ〜それね。結局最後まで名前思い出せんかった。沙耶ちゃん」
「思い出せてんじゃん」
「いや、苗字。さすがに会うの2回目で名前で呼ぶわけにはいかんくね?」
「まあな?鹿雨(しかざめ)さんな」
「おぉ〜。咲楼よく覚えてたな」
「まあ、な」
LIMEしてる相手の名前覚えてなかったら、なかなかにヤバいだろ
と思う咲楼。そう、咲楼と沙耶は合コンのときからLIMEをする仲になっていた。
「鹿雨さんねぇ〜。可愛かったよな」
「んん〜まあぁ〜」
なんとも言えなかった咲楼。
「狙っちゃおう、かな?」
と言う六奏。
「…。…や、めとけよ」
思わず口を吐いて出た咲楼。
「なんでーよー」
当然そう言われる。しかしそれに対しての返しはなにも思いついていない。
むしろなんで「やめとけよ」なんて言ったのか、自分でもわかっていない。
「…好き、になりにいくのは、相手に失礼だ、とオレは思う」
辛うじて言葉を絞り出した咲楼。ジーッっと咲楼を見る六奏。
なんか…おかしかったか?
とヒヤヒヤする咲楼。すると六奏の顔がパーッっと晴れて
「なるほど!」
と納得した。
「おいおい咲楼。恋愛マスターかよ。名言製造機かよぉ〜このこのぉ〜」
と肘でつつく六奏。窮地を脱してホッっとする咲楼。
そんなこんなで黒ノ木学園も亀池学園も朝のホームルームが始まり、1時間目の授業が始まった。
六奏は授業中、授業をまともに聞くタイプではなく、というか六奏だけではなく黒ノ木学園の生徒は
真面目に授業を聞く生徒のほうが少ないくらいで、六奏もスマホでゲームをしていた。
すると画面の上にLIMEのメッセージの通知が届く。
ん?
名前を見ると「夏」と表示されていた。
蒲名?なんだ?
と思い、通知欄からそのLIMEの通知をタップし、夏とのトーク画面に入る。
夏「おはよー。授業中?」
という内容で
なんだ?急に
と思いながら返信する。夏は夏で六奏にメッセージを送っておいて
元々中学卒業まで割りかし真面目に授業を聞くタイプだったので
高校で見た目を少し派手にしたものの、中身は変わらず、高校でも授業を割りかし真面目に聞いて
1時間目が終わるまで六奏の返信に気づくことはなかった。そして1時間目の授業が終わり、スマホを確認して
六奏「おはー。授業中。そっちもじゃん?」
という六奏からの返信がだいぶ前に来ていたことに気づいて焦る。
どうしよ。待たしちゃった?
と思うものの、その焦りをメッセージには出ないように返信する。
夏「ガッツリ授業中だったw」
2時間目の授業の準備を終え、スマホをつけると夏から返信が来ていて、それに返信する六奏。
六奏「急にどうした?蒲名授業中にスマホいじるタイプだったっけ」
という返信にどう返信していいか迷っていると2時間目の授業が始まってしまった。
しかしそんな時間の“空き”というのが功を奏し始めた。六奏は2時間目もスマホゲームをしていたのだが
ときどき入る広告のときにLIMEのアプリを開いて、夏とのトーク画面に入り
…既読ついてねぇ
と夏からの返信を待つようになっていた。
そんなこんなで黒ノ木学園も亀池学園も4時間目までの授業が終わり、お昼ご飯の時間。
「ふと気になったこと聞いていい?」
と言う六奏に不思議そうな顔を向ける彩愛と咲楼。
「え。どっち?」
と咲楼が聞く。
「んん〜…。2人とも?」
「どうぞ?」
「なんで2人ともオレのこと六奏って呼ぶん?」
と聞く六奏に「は?」という表情をする彩愛と咲楼。
「頭でもぶつけた?自分の名前わかんなくなったんか」
と言う彩愛。
「ちゃうわいっ!」
「なに?なにが聞きたいの?」
「いやさ?朝他のやつらに呼ばれてふと気づいたってか、気になったんだよね。
他のやつはオレのこと六(ロク)って呼ぶやん?」
「うん」
「でも2人は六奏って呼ぶじゃん」
「あぁ〜」
「あぁ」
質問の意図に気づいた彩愛と咲楼。
「なんでなのかなぁ〜って思ってさ?」
顔を見合わせる彩愛と咲楼。「オレから?」というように自分を指指す咲楼。
「まあぁ〜…。いやさ?小学生んときかな?幼稚園か忘れたけど
自分の名前の由来?意味?を聞きましょう。みたいなのがあってさ?」
「あったあった!」
「んで、自分の名前の由来だか意味だか聞いたのよ。
んで先生が「その人にはそれぞれご両親が真心込めて、意味と愛を込めた
素晴らしい名前がそれぞれにあるんですね」みたいなこと言ってて
オレも幼心に「あぁ〜そうだなぁ〜」って思ってさ?で、ま、正味オレもアダ名で呼ぶやつもいるけど
自分が大切だなって思う人、自分のことを好いてくれる人くらいは
ちゃんと名前で呼ぼうかなって、ぼんやりと思ってて、それを実行してる、って感じ?」
と言って目線で「次彩愛」と言う咲楼。
「右に同じ」
とだけ言う彩愛。
「それはズルいわ」
「なにが」
「違うじゃん」
「え。リアルにほぼ同じだし」
「マジ?」
「マジ。ちっさい頃名前のあれこれ親に聞いて、オレ名前女っぽいじゃん?漢字なんてわかんない小さい頃でも
ひらがなでもカタカナでも「あい(アイ)」ってさ、めっちゃ女っぽいじゃん?
それがめっちゃ嫌でさ。でも由来とか意味とか聞いたら、なんか、ま、ね?
それからなるべくちゃんと名前で呼ぼって思ったから、マジでほぼ同じ」
と言う彩愛に、咲楼はグーを出す。彩愛もグーを出して、グータッチをする2人。
「めっちゃオレのこと好きじゃん、2人とも」
と言う六奏。
「…」
「…」
「じゃ、これから六(ロク)って呼ぶか」
「だな」
「なんでだよ」
「六奏こそオレのこと名前で呼ぶじゃん」
と言う咲楼。
「んー?そうだね」
「オレの名前呼びにくくない?」
「みんな咲(サク)って呼んでるもんな」
「そうそう」
「んん〜?それはぁ〜、オレも咲楼と同じで、咲楼のこと愛しているからだよ」
と言った後、キス顔をし、手を使わない投げキッスをする六奏。
「ハーイ。アリガトウゴザイマース」
「彩愛も。愛してるよ」
「ハイ。アザマース」
「おぉ〜い。2人とも流すなよぉ〜。照れ隠しかぁ〜」
なんていつも以上に絡んでくる六奏とお昼ご飯を食べ終えた。
お昼ご飯の後の多少のお昼休みも終わり、午後の授業へ。
はあぁ〜あ。…ねっむ…
と思いながらスマホをつける六奏。すると夏からLIMEが来ていた。
お。来てる
夏からの返信をどこか楽しみにしている自分に、まだ気づいていない六奏。
そんなこんなで午後の授業もすべて終わり
「恵流先生、今んとこ順調、です」
「順調」と言いつつも
順調なのか?
と思いつつ、恵流に報告する夏。
「おぉ。ま、LIMEして返ってくるのがふつーだけどね。返ってこなかったら相当嫌われてるよね」
「…たしかに」
という恵流と夏のやり取りを聞いて、実は放課後に咲楼にLIMEをしようとしていた沙那は
返ってくるってことは、嫌われてはないってことなんだよね?
と思った。帰りのホームルームが始まり、学校の1日が終わった。
「返ってこなかったら相当嫌われてるよね」という恵流の言葉で
咲楼から返信が来るということは嫌われてはないんだよね?と思う沙那だったが
「返ってくるのがふつー」という、これまた恵流の言葉で
…ふつー、か
と思いながらも咲楼にメッセージを送ることにした。亀池学園が放課後になったということは
「んん〜!終わったぁ〜!」
黒ノ木学園も放課後になったということ。
「彩愛ー咲楼ー。帰りどーする?亀池寄ってみる?」
と言う六奏に
「いや、今日部活だし」
と言う咲楼。
「…。あ、そうか。今日は彩愛もサッカー部あんのか」
「ある」
「つまんねぇ〜なぁ〜」
と言う六奏を笑いながら何気なくスマホを触ろうとしたら
「咲(サク)ぅ〜。いるぅ〜?」
と廊下のほうから声がして、スマホを触らず、声のほうに視線をやる咲楼。
すると教室の後ろのドアを押さえるようにして、学ランの襟部分が黄色の生徒がいた。
黒ノ木学園の制服は学ランで、襟部分の外側がビニール素材のカバーのようになっており
学年によって、横長のカラーバーのようなものを差し込む。1年生は白、2年生は黄色、3年生は赤。
つまり学ランの襟が黄色ということは2年生。咲楼たちの1個上の先輩である。
「響也(きょうや)先輩」
「お。いた」
彼は咲楼と同じバスケ部の先輩、砂舞掛(さむかけ)響也。
「どうしたんすか」
スマホをポケットにしまう咲楼。
「いや、今日の練習なんだけどさ?」
「おっ。中止っすか」
と言う六奏。
「違ぇよ」
「なんだぁ〜」
「今日の練習、アップ(ウォーミングアップ)ちょっと変えるから、他の1年にも咲(サク)から伝えt」
響也が「伝えといて」と言い終える前に
「響也ー咲(サク)いた?」
と響也の肩に手を回す襟が赤い人。襟が赤いということは3年生である。
「お。いんじゃん」
咲楼を見て言う3年生。
「お疲れっす。水奏(みな)先輩」
彼は咲楼と響也と同じバスケ部の3年生、暗輝野(あての)水奏。
「おすー。お疲れー。聞いた?練習の話」
「あ、はい。ちょっと変えるんすよね?」
「そうそう。今日はスタミナつけるための練習にしようと思ってる」
「マジっすか…」
「嫌そぉ〜」
と笑う響也。
「ま、キツイ練習にはなると思うけど頑張れ。陽学((ヨーガク)太陽之光学園の略称)倒すためだと思え」
「うっす」
「嫌だわぁ〜」
「2年のお前もしっかりしないとダメなんだよ」
パシンッっと響也の背中を叩く水奏。
「いっ!はいパワハラー」
「うるせぇ」
と話していると
「なーに1年の教室にたかってんすかぁ〜」
と言う襟が黄色の生徒。つまり2年生。
「一馬(かずま)」
と言う響也。
「ういー」
「あ、一馬先輩、お疲れ様です」
と彩愛が頭を下げる。
「おぉ〜。あ、ここ彩愛のクラスか」
「一馬」と呼ばれている2年生は淡田(あわた)一馬。彩愛と同じサッカー部の先輩である。
「そっす」
「んで?なにしてんの?カツアゲ?」
「なわけあるか」
「あ、暗輝野先輩か。ちっす」
「気づくの遅ぇよ」
「バスケ部も今日練習っすよね」
「そ」
「んじゃー響也、着替え行こーぜー」
と響也の肩に腕を回す一馬。
「あいあい」
「咲(サク)も、行くぞ」
「うっす。彩愛も行こ」
「おん。じゃ。六奏、またな」
「六奏またね」
「んー。またぁ〜。2人とも頑張えぇ〜」
ということで練習に向かった咲楼。家に帰った沙耶。手洗いうがいを済ませ、部屋に戻って
「ただいまぁ〜ギロくん」
家族のニシアフリカトカゲモドキのギロくんに挨拶する。
ギロくんもゆっくりと声のほうを振り返り、少し沙耶を見つめ、またゆっくり顔を戻した。
沙耶はスマホを出して画面をつける。
「…」
返信の通知はなし。いつも返信が早いわけではないが
恵流の「返ってこなかったら相当嫌われてる」という言葉で、ちょっと不安な気持ちが芽生える沙耶。
制服から部屋着に着替える。着替え終わったら返信が来てるかな?と思い、スマホを見るが通知はない。
「…ギロくん。返信ないよ?」
ギロくんは沙耶に大きな目を向ける。
その後も30分くらいしたら返信来てるかな?と思いスマホを確認したが返信がなく
え。私なんかダメなこと送った?嫌われた?
今からメッセージ取り消す…いや、もう通知で確認してるかもだし…
と不安を積もらせていっていた。
空がオレンジに染まった頃、部活を終えて正門に集まるバスケ部。
「…。明日脚ヤバいかも」
と呟く咲楼に
「ういぃ〜」
と太ももを握る響也。
「やめてくださいよ」響也先輩」
「お?まだ痛くないん?」
「ギリ」
「おめぇはどうなんだよ」
と響也の太ももを蹴る水奏。
「いった!いや、それ筋肉痛とかじゃなくて、普通に蹴りの痛みっす」
なんて正門前でわちゃわちゃした後解散し、咲楼は駅へ行き、ワイヤレスイヤホンを取り出し耳につけ
音楽を聴こうとスマホの画面をつけたとき、初めて沙耶からのメッセージを確認した。
なんか来てる
と思いながら通知をタップし、トーク画面に入り、メッセージを読む咲楼。
沙耶「お疲れ様です。今日は学校楽しかったですか?
私はいつも通り、恵流と夏と楽しく過ごしました」
とのメッセージだった。
いつもなんか離れて暮らすお母さんみたいなLIMEくれるんだよな…鹿雨さん
と思う咲楼。返信してから音楽を聴く咲楼。
スマホで動画を見ていた沙耶。すると画面上部に咲楼からのメッセージの通知が届く。
ビクッっとしてスマホが滑って宙を舞う。スマホをキャッチし
「返ってきた」
返事が来るのが当たり前なのだが、「もしかしたら?」という不安もあったので
返ってきただけで一安心する沙耶。メッセージを確認する。
咲楼「返信遅れてすいません。今日は部活でした。
学校はいつも通りでした。オレも六奏と彩愛とくだらない話してました」
咲楼「そういえば、今日の朝、六奏に会ったらしいですね」
というメッセージを読んで
そうそう。会いました会いました
と思う沙耶。そして気づく。咲楼からのメッセージが2つに分かれていることに。
そして思い出す。「LIMEでもミラーリングが効果的らしい」という恵流の言葉を。
なるほど。2つで分かれてきたら、2つで返す。わかりました。先生
となぜか斜め上を見て頷く沙耶。「沙耶。私はまだ逝ってないぞ」という声が聞こえてきそうである。
そして少し時間を空けて、ちゃんと2つに分けて返信をした。
沙耶「いえいえ。部活だったんですね。
男子校の皆さんってどんなお話をされるんですか?」
沙耶「会いました。木野場さんから聞かれたんですか?」
「お。返事来た」
と呟く。メッセージを読んで
「…。どんな話…。うち(黒ノ木学園)、女子いない分下ネタも多いしなぁ〜…。
くだらない話しかしてないから大抵覚えてねぇんだよな…」
と呟きながらも、咲楼自身はまだ気づいていないが
どこか沙耶とLIMEで話せるのが楽しみになっていた咲楼なのであった。
316