文字化化
ボロボロになった赤い傘に アカガサ(通称アカちゃん)と名前をつけて下僕にしてやった … のは少し前の話し
私は今日も元気に趣味に勤しんでいる
下僕を連れ歩くようになって私の趣味の狩りはとても簡単になった
なんせ 狩場のセッティングから獲物を追いたてる猟犬 の役目
狩りのあとは
獲物の解体➡️後片付けまで全てこなしてくれるのだから
逆に今までコレを一人でこなしていた
私 天才!とまで思えてくる
問題は簡単すぎて飽きてきたことぐらい
『あれ?もう終わり?全員捕まえた?』
『いやいや、簡単すぎてワラエル』
深く食い込んで抜けなくなったバール
獲物に足をかけて無理やり引っこ抜き
ながら一人ごとを言う
『うげっ!目ん玉とれた!キッしょ!』
ホレ、とバールの先のソレをアカガサの前に差し出すと
大興奮で バクッ で、満面の笑み
『いや、別にアーンしてあげたわけじゃないからね』
そしてその笑み怖いからね
這いばい男さん だったら可愛いのに!
何か違うからアンタの笑顔は!
そんなことを思っていると今度はベろりとバールについた血を舐めとり始めた
長い舌が器用にバールに絡み付く
『うわ!なっが!』感心して眺めていると調子に乗ったアカガサは私の手の甲についた血も舐めてきた
コイツの体液は基本 水だ 雨傘が
本体だからか?雨水?とか考えたら
笑っちゃうけどベタベタしないし
無臭だから 汚い訳ではない
汚くはないんだけど
反射的に手を引いた
ガラン、とバールが床に転がる が
手を引っ込めることは出来なかった
アカガサがうやうやしく手をとっている
ビクともしない
そして手の甲に
噛みつくような口づけが落とされる
暗い 暗い 深淵のような瞳の片方が
私の瞳の奥を 見据えている
キバのような犬歯が触れる
ゾワっと、おぞけがたつ
長い舌が指の又や甲を這い
ぬるりと巻き付き 手首の内側を
撫でて レインコート の袖口に侵入しようとしてくる
『この!調子に乗んな!下僕が!』
言うと、グギゃっと変な声を発して
アカガサは崩れ落ちてひざまずく
物理の効かないアカガサだが
私の与えた名前は拘束力を持つらしい
アカガサ アカちゃん 下僕
今のところこの3つ ややこしくなるのでこれ以上呼び名を増やすつもりはない
ご褒美を強制終了させられて
さぞ 悔しがっているかと思いきや
なぜだか ウットリと私を見上げてくる
『こっわ! 』心の声が漏れて出た
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