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第11話です。
今回は阿和と烨霖の絡み重視です。そして次回辺で新キャラ出てきます。
ではどうぞ。
第11話【温もりを感じて】
烨霖と阿和の視線がかち合う。まるで魅入られたかのようにお互いを見つめ合う両者のこの光景は実に異様であったがその2人に都合よく降り注ぐ陽の光によってその異様さは神秘的な雰囲気も含んでいた。陽の光の反射のせいなのか、阿和の黒い瞳はまるで星のように美しく煌めいていた。
「、、、私はそなたを知っている者だ」
「知っているって、、、一体いつから気付いていたんだ?」
「出会った時から」
つまりそれは今日まで気付いていながらずっと素知らぬフリをしていたという事だ。 だが気付かれた理由が思い至らず、何も言わずに視線で訴える。
「、、、温かかった。」
器用にもその視線を感じ取った阿和はそう一言だけ告げた。その意味が分からず烨霖は首を傾げる。
「それは、、人肌がか?」
「そなたと居ると、温かかい」
「そなたの温もりは心地いい。」
言われれば言われるほど意味が分からなくなり烨霖は更に混乱し、頭を抱える。
「あ、温かいと私になるのか、、、??」
そう口にすれば阿和の表情が一瞬曇り、まるで捨てられた子供のような寂しげな表情を見せたが、すぐにいつもの無表情に戻り、それ以上口を開かずに平然とした顔で話を変える。
「、、、ここは少し暑いな、場所を変えよう」
「君、、、は、話を変えたな、、、!!」
既に唐突な阿和の告白とこのあまりに平然とした態度に先程から烨霖の身体はわなわなと震えていた。そんな烨霖に黙っているのが申し訳なく思ったのか、阿和は目を伏せる。
「、、すまない、これ以上は、、、」
「、、、、、、そなたに、気付いて欲しいと思うことは、、、、傲慢だろうか、、、?」
何時もの淡々とした様子とは違い、少し口篭りながらそう口にする。その珍しい様子にじっと阿和の顔を見つめているとほのかに耳や頬が赤くなっているのに気付き、これ以上聞く気も段々と失せてきてしまう。
だが分かるのは、阿和は決して自分を陥れようとはしていない事、そして、とてつもなく可愛らしい子だということだけだ!!!
胸が締め付けられるような感覚に陥った烨霖は思わず阿和の髪の毛をぐしゃぐしゃにしながら忙しなく撫でる。
「(何故私はこの子の事が思い出せないんだ!?1部記憶喪失だったとしてもこんなに無垢な子なら絶対に覚えているはずなのに!!)」
充分に満足するまで撫でた烨霖は何故か呆けている阿和の腕の中から勢いよく降り立ってからすぐに歩き始め、顎に手を添えながら思考をめぐらす。
阿和が自分の事を忌み嫌っていない事は今の事で充分に分かったが分かっていてもどうしても気になってしまった烨霖は顔を俯かせながらとある事を聞く。
「君は、、、私を、どう思っているんだ?何故、、、私にそこまでする、、、?」
「普通は私を恨むはずだ」
手に汗が滲む感覚がし、慌てて手を後ろに隠して阿和に恐る恐る視線を向ける。
「恨む?何故そなたを恨む必要がある?」
「、、、いや、もしかしたら私のせいで君の大切な人達に被害が出ていたんじゃ、、、」
「私の大切な人は1人しかいない」
「(楼真山の洞窟で言っていた”あの方”って人か、、、)」
「それに、私はそなたを大罪人だと思った事は1度もない。」
その言葉を聞いた烨霖は反射的に顔を上げ、阿和を見つめる。
「なぜだ、、?あんな事をしたんだ、私はっ、、、私はあれだけ人をっ、、、」
烨霖の瞳の中では過去の情景が鮮明に映し出される。
誰も彼もが肉片となし、脆くなった思考の中ではまともな判断なんか到底出来なく、まるで身体が自分のものではないかのような感覚に陥る。
朦朧とした意識の中でかつて己を慕ってくれていた門弟の恐怖に震える声が耳に入る。
「お、、おい!!彼奴だ!!彼奴が皆を殺したんだ!!」
「なんだこれ、、、この肉塊、全部彼奴がやったのか、、、!?!?」
「なんだよこれ、、、こんな事出来るやつが、本当に人間なのか、、、?」
恐怖に震える人々の声に烨霖は嘆くように口を開く。
「ちがう、、、私は、、、私は、、、人間だ!!」
「黙れ!!!」
その怒鳴り声と共に激しい痛みが迫り上がる。
どうしてこんな事に?私は、私はただ
普通に生きていたかっただけだ、、、、
暗い視界の中で声が響く。
「陳烨霖!陳烨霖!!」
遠のいていた意識が阿和の声によってようやく戻って来る。
「あ、、、すまない、、、大丈夫だ、、、」
烨霖は早鐘を打つ鼓動を落ち着かせるためにため息を付き、阿和を見上げる。再度、顔を上げ、何時もの柔らかい笑顔を向ける。だがその顔には未だ血の気が戻ってはいなかった。
「君の考えは分かったよ、、、」
「ならば私はそう言ってくれる君に応えられるように頑張って思い出すよ、、、君程の人を完全に忘れるとは思わないしね、」
そう言えばあからさまに阿和の表情が明るくなる。
「嗚呼、、、!」
「結界が壊れた場所に着くまでに何とか思い出せればいいが、、、」
「無理に思い出さなくてもいい、ふいに思い出したくらいでいいのだ」
「ただの私の我儘にそなたを無理に付き合わせるつもりはない」
関われば関わる程に阿和という人間は、とても掴み所がないとつくづく思う。傲慢であり強引な行動をとったかと思えばこのように全く逆の言葉を言ったり酷く謙虚な行動をとる。それを感じる度にまるで己の感情の意味がまだ分からずに迷っている幼子を見ている気分になり、烨霖は阿和から離れる事が出来なくなってしまう。
烨霖はさり気なく阿和の手を握り、歩き出す。
「!」
「阿和、聞いてたと思うが今から結界の場所へ行く」
「何かしら痕跡が残っているかもしれないからね」
「、、、あぁ、、わかった、、」
結界の場所まで行っている間、烨霖は何とか阿和の事を思い出そうとしたが特に気になる事は一切出てこずに心の中で気落ちする。
「はぁ、、、すまない、阿和、記憶喪失は自然に任せるしかないようだ」
「、、、そなたはどれだけ覚えているんだ?」
「そうだな、、、門派での日々や死んだ時の事は覚えているが君の事や幼少期の事は全く覚えていない」
「、、、まるで思い出したくない事のような、、、記憶に鍵を掛けられているような気分だ」
そう言ってすぐに思い出したくない記憶、とは誤解を招く発言をした事に慌てて手と顔を振りながら訂正する。
「あ、いや!君の事を思い出したくない訳じゃないんだ!!」
「私の勝手な想像だから!!気にしないでくれ!!」
阿和は何も言わずに頷くだけで応える。表情には特に悲しみの色は特に見えず、分かりにくいが意外と顔に出やすい阿和の事をわかっていた烨霖は本当に気にしていないのだと分かり、安堵の息を吐く。
「所で、聞きたいことがあるんだが、、今の門派間の状況は分かるか?」
「、、、興味がなく詳しい事は分からないが、そなたも知っている通り永琳派と金河派の協力関係はなくなり、領土の取り合いに発展し、戦が起こったのだ」
「どうして協力関係が絶たれたんだ?」
「今までは魔教教主の討伐という目標の元、紐一本程度で繋がれた交流が続いていたが、」
「30年前、魔教教主が理由も不明に各地に邪気や瘴気をばら撒き、様々な屍共や魔族が出没し始めたうえにそれが原因で土地が枯れ始めた事から領土の収縮し、各門派に焦りが芽生えた」
「そんな時に更に陳烨霖の復活、金河派の夫人が倒れるなどの事が起こり、その混乱に紛れて永琳派が金河派に先に攻撃したのだ。」
魔教教主という言葉を聞けば訳も分からず烨霖の身が恐怖に震え始め
る。
「(またこれだ、、、何故魔教の話を聞く度にこんな風に震えてはたまったものではないのに、、、)」
この魔教に対する恐怖の震えももしや前世の記憶がない事に何か関係しているのだろうか。
阿和に震えを気付かれたくなく、必死に片手で身体全体を抑えるがそんな抵抗も虚しく、それに加え勿論阿和程の洞察力で震えがバレない訳がなく、正面からまるで包み込まれるかのように身体を優しく抑えられる。傍から見れば抱擁されているように見えるのだろう。
前世、人にこうしたスキンシップを取られる事には慣れていたはずの烨霖は今世では100年もの間で慣れがなくなったのか少し居た堪れない気持ちになり、鼓動が微かに早くなる。
「あ、阿和、、、」
「すまない、ゴミが付いていた。先へ行こう」
軽く背中を支えられたまま阿和は再度歩み始める。阿和がさり気なく気を使ってくれている事に胸内が温かくなる。
「、、、はは、出会ってから私は君に支えられてばかりだな、、、」
「、、、支えられているのは私だ」
「、、ははっ、そうか、ならお互い様だな」
その後はお互いそれ以上今の門派について話し合う事はせずにくだらない話をしながら目的地へと着く。
結界に近付けば近づく程に段々と空気が薄くなり、気分が悪くなっていく事に気付いた烨霖は保護結界を身に纏い、阿和にも同じ結界がつくように強く手を握る。
「何故急に手を?」
「?保護結界を君にもつける為だが、、、」
「、、、そうか、、、」
「少し空気が淀んでいるな、今はもう結界が修復されているようだが少し弱まっているのだろうか、、、?」
あまり長いし過ぎるのはただでさえ瘴気や邪気を体内に溜め込みやすい阿和にとっては悪影響だと思った烨霖は早急に壊れた結界の方へと足を向ける。
「、、、これは、、、」
「定期的に結界を修復しているようだ」
「今の門派でこの結界を完全に治せる者は居ないのか、、、?はぁ、、これじゃあすぐにまた壊されてしまうだろう、、、」
そう言いながら周りを注意深く見回すと例の半月の形をした陣の痕跡が見つかる。だがそれ以外には特に何も痕跡は残っておらず、仕方なくもう一つの手がかりである文字が刻まれた岩を探すために陣の奥への茂みへと進むと茂みの中で唯一、まるで嫌われているかのように周りに草のひとつも生えていない岩が目に入り、近付こうと1歩足を踏み出す。
「あれか、、、」
だが足を動かそうとした瞬間、傍の木の上から人の気配を敏感に感じ取った烨霖は素早く近くの枝を取り、無駄のない動きで早急にその木に向かって矢のように枝を投げつける。すると烨霖のその投擲に応えるかのように稲妻のように剣が一本投げつけられる。その剣は綺麗に枝を半分に割き、突き立てられた地面からは亀裂が広がる。
地面に刺さった 剣には妙に見覚えがあり、思い出そうと剣を凝視していれば頭上から澄んだ男性の声が聞こえてくる。
「お前達、知らない顔だな!!」
「そこで何をしている!!」
第11話【完】
ここまで見てくださってありがとうございます。何か不手際がありましたら申し訳ありません。🙇♀️
ではまた次回、お会いしましょう!
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るみあ
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コメント
1件
「そなたの温もりは心地いい」って阿和が言ったところ、すごく切なくて胸が締め付けられました…烨霖が抱えてる過去の重さと、今の阿和との優しい距離感が絶妙で。最後の新キャラ声も気になる!次回が待ち遠しいです🌙