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「らっだぁあれ!金魚すくいやろ!」

「金魚すくい?そんな子供みたいな…」

「ぺいんとさん金魚すくい下手なのに今年もやるんですか?」

「なっ…!!いや今年は大丈夫だし!いける!勝負だ2人とも!」

「その自信がどこから出てくるのか…らっだぁさんもやりましょうよ、あ、やったことあります?」

「あるよ、ありがとうね」

最初こそドギマギしていたものの、らっだぁとしにがみくんはもう打ち解けたようで安心した。あまり人と関わっていないらっだぁが不安だったが、穏やかな顔をしているから大丈夫なのだろう。

去年はクロノアさんに大敗したが、今年の俺は一味違う!根拠はないが!それにらっだぁは初心者。しにがみくんは置いといて、らっだぁに負ける気はしない!

「ウォォ!ぺいんと、お前ならできる!」




「……僕が4匹、らっだぁさんが6匹、ぺいんとさんがゼロと…じゃあぺいんとさんがドベってことで。みんなわかってた結果になりましたね」

「お前ほんとに何でこれで勝負挑んだ?」

「らっだぁには勝てると思ったんだよ………何でお前そんなに強いの!?」

「運動神経」

「おい黙れ納得のいく答えは求めてない」

「横暴すぎる…」

まさか1匹も取れないとは…てか6匹っておかしいだろ!何でだよ!!あと2人してそんな冷ややかな目で見るな。悲しくなるわ。

もうこうなったら美味しいものを食べないと気が済まない。クロノアさんたちの店に行こう。



「クロノアさーん!!トラゾー!!」

「おぉ、ぺいんととしにがみくん…と、らっだぁさん、かな?」

「あ…らっだぁです、どうも」

「俺はトラゾーって言います、こっちはクロノアさん。ぺいんとがいつもお世話になってます」

「何でみんな俺がお世話になってますって言うの??逆だからね?俺がらっだぁのお世話してんだよ??」

「毎回果物もらって帰ってくるくせに何を」

クロノアさんたちは焼きそばの露店をやっているようだ。とりあえず3つ買おうとしたら、俺はいらないとらっだぁに断られた。

「クロノアさんたちいつあがる?」

「うーん…夕方にはあがれると思うけど正確な時間はわかんないなぁ。まぁ俺らのことは気にしないで3人で回ってきなよ」

すぐにはあがれないということで、お言葉に甘えて3人でまた回ることにした。少々疲れ気味のらっだぁを休ませることも兼ねてどこか座れるところでも探そうか。しにがみくんと俺に手を引かれながらだるそうに歩くらっだぁは口では文句を吐きつつ、口元が弧を描いていることには気がついていないのだろう。

「…あっ、ぺいんとさん噴水前のベンチ空いてますよ!」

「お、ラッキー!らっだぁあそこ座ってな!俺ら目の前の串焼き買ってくる!」

「まだ食うの〜!?胃袋底なしやん」

「まだまだ若いですからねぇ!じゃ、しにがみくん行こー!」

「はぁい、らっだぁさんちょっと待っててくださいね、すぐ戻りますから!」

「ん、急がなくて大丈夫よ〜」



■■■




「はぁ〜…」

久しぶりの森外は思ったよりも明るくて、楽しげで、充実していた。それらを短時間で受け止めてしまったばかりに体は悲鳴をあげている。まぁでも、たまにはこういうことがあっても良いだろう。ラタミにも運動しろとは常日頃言われてたし…

そういえばラタミ達へのお土産はどうしよう。彼らは俺と違ってなんでも食べるから、森ではあまり手に入らない物がいいだろうか。いや、むしろ魔石などのほうが?…聞いてくれば良かったかもしれないな。

お土産を見繕うために前を向けば、なにか違和感に襲われる。何だ?何がおかしい?

「…ぺいんと?」

……あぁ、そういうこと。俺以外の時間が止まっている。そしてこんな広範囲の時間静止は人間には到底無理。ということは、きっと───

「………」

「……久しぶりやな、らっだぁ」

金色に輝く天使は地に足をつけ、俺を睨みながら静かな声で呟いた。

本当に久しぶり、

──────きょーさん。

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