※グロ表現があります
sm視点
村から離れた森の中。
「ここ…だな。」
リュックを下ろし、白衣のポケットからルーペを取り出して、生い茂る草を観察する。
ここらへんは薬草がよく生えている。ポーションを作って売って日銭を稼ぐ俺は、よくここを訪れていた。
ガサ……
「……」
風が通り抜ける音、羊が草をはむ音。
音を置き去りに、俺は観察に没頭していた。
ヴヴヴ………
忍び寄る殺意に気づくこともなく。
ガウッ!!
「ぃ”っ…!?」
背中に激痛が走り、手を地面につく。
何かに引っかかれた事を反射的に理解した。
ガウ、ヴヴヴ……
唸り声、それも複数の。
早く逃げないと死んでしまう、俺は瞬時に悟った。
グォオオッ!!
「ぃ”あ”っ!あ”ぁあ”あ”!!」
脚に鋭い牙が抉り込む。
倒れた俺を確実に仕留めるかのように、複数のオオカミが俺の身体を爪や牙で切り裂いていく。
「や”ぁあ”っ!し”ぬっ…!た、す”け”……っ”…!」
さけぶ。
こんなもりのおく、ひとなんているわけない。
そんなことは、わかってる………
きゃいんっ!?
おおかみ、いなくなってく……
ぁ……なにか、いる
『ぉぃっ…お……………か…………』
ひと、だれ?
くらくなる…ねむたい…………
「……ん”……ぁ…」
知らない天井、俺は……何してたんだっけ……
??「…あ、起きたか?」
「はぇっ…」
??「よかった……ちょっと待ってな…っしょ…」
暗いシルエットがふわりと色を持つ。
所々はねた深緑の髪。ベッドの端に腰掛け、俺をまじまじと見つめる翡翠。
??「ここ俺の家な、俺のことはシャークんって呼んで」
「…しゃー、くん」
sh「ん。名前は?」
「…スマイル……」
sh「おっけ、スマイル。…ここに来る前の事、思い出せるか?」
「…っ、ぁ…」
そうだ。植物見てる時にオオカミに襲われたんだ。
腕や脚、胴に巻かれた包帯がそれを物語っている。
彼が、助けてくれたのだろうか?
sh「たまたま通りかかってさ。助けた時にはもう虫の息だったから……はぁ、マジでよかった……あ、痛いところとかは無い?」
「ゃ、ない。ありがとう、助かった」ニコッ
sh「っ…!?///、ぁ、ど、う、いたしまして…///」
翡翠が逸らされる。
sh「な、治るまでここに居てくれていいから!飯、作ってくる…」
かけ足で部屋から逃げるように出ていったシャークんの背中をじっと見つめる。
シャークん……なんか………
「……かっ、こよかった…な…///」
一目惚れ、というものだろうか。
綺麗な翡翠、ちらちらと覗くギザ歯……
「っ、いやいや…!」
変な思考をぶんぶんとふるい落とす。
俺たちは男同士だ……
でも……
彼女、居るのかな……
「……っ!!///」
邪な考えを払うように布団に埋まる。
火照る顔を誰にも見せないように。
sh視点
「あぁ”〜…////顔あっつ……///」
部屋を飛び出て来てしまった。
なんだよあの笑顔、反則すぎるっ……
「はぁ”〜…//」
この際、黙っておこうか……
スマイルが襲われる前から、彼を、名前も住んでいるところも知っていたこと。
そしてバレないように何度も何度も彼の後をつけていたことも。
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